パブロフの犬

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パブロフの犬とは

パブロフの犬とは犬にベルを鳴らしたあとにエサを与えることを繰り返すと犬はベルの音を聞いただけで唾液が出るようになることです。

ロシアの生理学者イワン・パブロフが偶然発見しました。

パブロフの犬についての実験を始めたきっかけ

1890年代、ロシアの生理学者イワン・パブロフは、犬にエサを与えたときの唾液分泌についての研究していました。

パブロフは小さな試験管を犬の頬に差し込んで、犬にエサを与えているときの唾液を測定しました。

パブロフはエサを目の前にすると唾液が出るだろうと予測していましたが、実際は助手の足音を聞いたときから唾液が出ていることに気づきました。

犬は唾液を出したのは、食べ物が出されたからだけでなく、足音を聞いて食べ物が与えられることを連想したのです。

パブロフは、犬が食物と関連付けて覚えたことがあれば、同じ反応を引き起こすことを発見しました。

パブロフの犬の実験

パブロフは犬から本能的に反応を引き出さない刺激を与えることで反応を引き出すことを考えました。

そこでパブロフは犬にエサを与える直前にベルを鳴らすことを繰り返すという実験を行いました。

すると犬はベルが鳴ると唾液の分泌を増加させるようになりました。

これは犬がベルの音とエサが与えられることを結びつけて学習することで、体が反応するようになったことを表します。

その他の発見

時間

パブロフは、条件反応が生じるためには、2つの刺激(ベルの音とエサ)が時間的に近くに提示される必要があることを発見しました。条件刺激(ベルの音)と無条件刺激(エサ)の間の時間が長すぎると、学習は起きません。

無条件化

パブロフは、ベルの音と聞くことで唾液の分泌が増えた犬に今度はベルの音と聞かせたあとにエサを与えないことを繰り返しました。エサなしで何度も音を出すと、犬の唾液の分泌量が減り、条件付けが消滅しました。

パブロフの犬に関する用語の解説

無条件刺激と無条件反射

犬はエサを見ると唾液が出ます。

このことは犬は学習する必要がありません。

パブロフは、エサを「無条件刺激」、唾液の分泌を「無条件反射」と名付けました。

中性刺激と条件刺激と条件反射

犬から本能的に反応を引き出さない刺激は「中性刺激」と言います。

ベルの音は中性刺激です。

しかし、ベルを鳴らしたあとに犬に食べ物を与えることを繰り返すと、ベルを鳴らしただけで、犬は唾液を分泌するようになりました。

つまり、犬はベルの音とエサを結び付けることを学習しました。

この反応は学習された(条件付けられた)ので、唾液の分泌は「条件反射」と呼ばれます。

ベルの音は「中性刺激」から「条件刺激」になりました。

古典的条件付けとは

パブロフの犬は、1890年から1930年にかけて研究されて以来、有名になりました。

パブロフの犬は、学習と条件付けの基本法則を初めて体系的に研究したという意味で古典的です。

そのためパブロフの犬から得られた結果を「古典的条件付け」と言います。

すなわち古典的条件付けとは、すでに特定の反応(唾液を出す)を引き起こしている無条件刺激(食べ物)と新しい条件刺激(ベルの音)を関連付けることで、新しい刺激が同じ反応を引き起こすように学習することです。

つまり、ベルが鳴れば食べ物がなくても犬は唾液を出すということです。

パブロフの研究の応用

人への応用

風船にピンを刺すと「バーン」という音と同時に風船が破裂します。

このことを学習すると、パブロフの犬のように古典的条件付けによって、中性刺激(ピンが風船に近づくこと)と風船の破裂が関連付けられ、人はこの条件付けられた刺激に対して条件反射(たじろぐ、震える、耳をふさぐなど)を起こすようになります。

味覚嫌悪に応用

パブロフの研究は、古典的条件付けの原理を味覚嫌悪に応用する研究にも影響を及ぼしています。

例えば、吐き気を催す薬を羊肉に入れてコヨーテに食べさせると、コヨーテは羊の群れを襲わず、避けるようになります。

この古典的条件付けを利用して、牧場の牛を保護する方法が発見されました。

関連心理学用語

学習性無力感

学習性無力感とは努力をしても報われないことが長期に渡って続くことで意欲を失う状態のこと。

サブリミナル効果

サブリミナル効果とは人が意識できない刺激によってその人の思考、感情、または行動に影響を与えることできる効果のこと。