ピグマリオン効果
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ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、期待が大きいと特定の分野でのパフォーマンスが向上する心理現象のこと。
ピグマリオン効果の由来
ピグマリオンという言葉は、古代ギリシャ神話に由来しており、ピグマリオンという彫刻家が自作の女性像に恋をしたことによります。
その思いから、ピグマリオンは女神ヴィーナスに、この像が生き返るようにと祈願しました。
ピグマリオン効果に関する実験
ラットを使った実験
ピグマリオン効果とは、ロバート・ローゼンタールがラットを使った実験で実証しました。
その実験の内容は次のようなものでした。
あるグループの学生に与えたラットは「このラットは知能が高い」と説明し、他のグループの学生に与えたラットは「このラットは知能が低い」と説明しました。
実際はラットには個体差はありませんでした。
実験の結果、知能の高いと説明したラットは、そうではないラットよりもはるかに良い成績を収めました。
「このラットは知能が高い」と説明を受けた学生グーループは、ラットを丁寧に扱ったことでラットの成績が向上したのです。
子供を使った実験
ロバート・ローゼンタールが1968年に行われた実験を紹介します。
その実験では、子供が知的能力を評価するためにテストを受けたことと、その中で最も良い成績を残した子供の名前を教師に伝えました。
コース終了時、優秀と告げた子供ほど高い成果を上げていたのです。
本当は子供の知的能力を評価するテストが行われていませんでした。
ランダムに「一番」と指定された子供たちの中に、そうなってしまう子供がいるのは、どういうことなのでしょうか。
その答えは、教師が彼らに対して大きな期待を寄せ、それが満たされるようにサポートしたことにありました。
負のピグマリオン効果
犯罪を犯す子どもたちに関する研究によると、多くの子どもたちが非行に走る理由のひとつは、期待されていないことが分かっています。
子供の頃に犯した過ちから「非行少年」のレッテルを貼られたことから、子供たちは自分も「非行少年」だと思い込み、やがて非行に走ってしまうのです。
ピグマリオン効果は、「できると言えばできる、できないと言えばできない」という、人を良い方向に導くポジティブな期待と、悪い方向に導くネガティブな期待でよく表現されます。
人をよりよく成長させるためには、ポジティブな期待を伝えることが必要です。
ピグマリオン効果の注意点
ピグマリオン効果はプラスの効果がありますが、それはポジティブな場合だけです。
期待されていない人にとってはマイナスになる可能性があります。
期待は、期待される人へ影響を与えるだけでなく、期待する人の行動にも影響を与えます。
例えば、ある教師が、ある生徒が本当に頭が良く成功すると信じている場合、その生徒に注意を払い、より詳しいアドバイスを与えるかもしれません。
しかし、他の生徒には同じように接しないかもしれません。
そして、その不平等な扱いによって、ある生徒は遅れをとり、他の生徒は成長します。
人に期待することは、他人への接し方に影響を与えるので、ピグマリオン効果は、期待を受けている人にだけ、プラスの影響を与えます。
まだ自分が確立していない幼児に対して期待しない(見捨てる)ようなことをすると、将来ロクな人間にならない可能性があります。
影響力のある人はそのことに注意する必要があります。
関連心理学用語
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