メタ認知

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メタ認知とは

メタ認知とは自分の行動を最適にコントロールするために自分の認知を客観視することです。

つまり、メタ認知とは認知している自分を認知すること。

例えて言うと、メタ認知とは幽体離脱して上から自分を眺めているような状態です。

メタ認知という言葉は、スタンフォード大学の心理学者、ジョン・H・フラベルという人が1976年に初めて紹介しました。

※認知とは何かを見たり知ることで、考える・感じる・記憶する・判断する知的活動の全般を意味します。例えば人の話を聞いて「なるほど」とか「共感できない」などと思うことが認知です。

※メタとは「より高次の」を意味する接頭語で、メタ認知はより高次の認知ということになります。

メタ認知能力が高い人の特徴

メタ認知能力とは自分自身を客観的に見ながら自分自身をコントロールできる能力のことで、メタ認知能力が高い人には次の特徴があります。

感情的にならない

メタ認知能力が高い人は、器の大きい人だと思われます。

なぜならイライラしたり悲しいことがあっても自分の気持ちを客観的に理解できるので、すぐ冷静さを取り戻すことができるからです。

キレると人間関係にヒビが入り取り返しのつかないことになることもあります。

どんなときでも冷静に対処できるのはメタ認知能力が高い人の長所です。

空気が読める

メタ認知能力が高い人は、自分を客観視することができるため、相手の立場や全体の状況を踏まえて振る舞うことができます。

集中力が高い

メタ認知能力が高い人は、集中力が切れてもすぐに元に戻ることができます。

失敗が少ない

メタ認知能力が高い人は、失敗をしないように配慮したり、失敗したときに反省をすることができます。

メタ認知能力が高い人のデメリット

  • プレッシャーを感じて萎縮する。
  • 空気を読みすぎ、考えすぎて疲れる。
  • 周りの目が気になり自意識過剰になる。
  • 相手の気持ちを考慮しすぎて自分の気持ちを出すことができない。

メタ認知能力が高いと、以上のようなデメリットがあるため、本来の自分の力を発揮できなくなることがあります。

メタ認知をする際はほどほどして、困ったことが起きたら自分だけで考えることはやめて、周囲の人に相談することが重要です。

もし周りにメタ認知が高すぎる人がいたら、実力が発揮できるようフォローをしてあげましょう。

メタ認知能力が低い人の特徴

  • 仕事が遅い。
  • 一方的に話す。
  • 思い込みが激しい。
  • あいまいに答える。
  • 夢中になると周りが見えない。
  • 思いつきや感情に任せた行動を取る。

メタ認知能力を高める方法

セルフモニタリングをする

セルフモニタリングとは自分の行動を思い返して分析することです。

そのためには紙に書くといいでしょう。

悩みやトラブルの原因は何か、あのとき取った自分の行動と気持ち、相手はどう考えているのか、どうやったら解決できるかなどを紙に書きます。

そうやって多面的に考えることで客観視することができます。

紙に書き出すことを繰り返しているうちに紙がなくても客観視することができるようになります。

めい想をする

イスに座ったままでよいので、背筋を伸ばしてゆっくり呼吸しながら呼吸に全神経を集中させます。

目は開けていても閉じていても構いません。

集中力が途切れてしまったら、再び呼吸に集中を戻すことを繰り返します。

メタ認知の源流はソクラテスの無知の知

メタ認知の歴史をさかのぼると「無知の知」を提唱したソクラテスにたどり着きます。

ソクラテスは紀元前5世紀の古代ギリシャの哲学者で、無知の知とは自分はものごとを知らないことを知っている状態のことです。

ソクラテスは「彼らは何も知らないのに知っていると思い込んでいるが、私は何も知らないということを知っている(分だけ私のほうが賢い)」と言いました。

また、ソクラテスは「ソクラテス式問答法」を発案しました。

ソクラテス式問答法とは、自分が知っていると思い込んでいることについて「それはなぜ?」を問いかけを繰り返すことで、思考を深めていく問答法です。

ソクラテスは弟子たちにソクラテス式問答法を試すことで「自分がよく知っているつもりでいたことについて、実は無知であった」 と気づかせようとしました。

これぞまさしく自分が何を認知しているかを認知しているソクラテスのメタ認知能力の高さを示していると言えるでしょう。

まとめ

メタ認知力は仕事でも生活でも役に立ちます。

特に仕事ができる人はメタ認知能力が高く、仕事で信用を失う人はメタ認知能力が低い傾向があります。

悩みを抱えている人は、メタ認知能力を鍛えてみてはいかがでしょうか。

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