投影

オリジナル記事はこちら⇒https://setsinrigaku.com/18.html

投影とは

投影とは防衛機制の一種で自分にとって受け入れがたい感情を他人に移すこと。

要は責任転嫁です。

受け入れがたい感情は自分ではなく他人が持っていることにすることで自尊心を保つためのメカニズムが投影です。

投影の特徴

投影の対象に対して感じることは、その人が自分自身について感じていることを反映したものです。

投影される感情は一般的にネガティブな感情で支配欲、嫉妬心、怒りあるいは性的なものなど。

投影は通常、無意識のうちに行われます。

多くの人は、誰かに指摘されない限り、自分がやっていることに気づきません。

フロイトが言う投影の対象は常にネガティブな感情が対象ですが、無害な投影もあります。例えば、緑色を見て他人も緑色に見えると思うことです。

投影の具体例

例えば、本当は自分が嫌っているのに相手が自分を嫌っていると思うことは投影です。

自分が相手を嫌っていることを認めたくないので、相手が自分を嫌っていると考えようとします。

その他、投影の具体例

  • 本当は有罪なのに自分は無罪だと主張する。
  • 浮気をしている人は配偶者も浮気をしているのではないかと疑う。
  • 盗みを働きたいと思っている人は自分に家にドロボーが入られないか不安を感じている。
  • 泣いている子をからかういじめっ子(泣くことを恥じる気持ちを投影している)。
  • 整理整頓が苦手な人が散らかしている人に口うるさく言う

投影しやすい人の特徴

投影をしやすい人は、劣等感が強い人です。

自分が他人よりも劣っていることを認めたくないので投影しやすいと言われています。

また、投影しやすい人は、自分ではそう思っていても、自分のことをよく分かっていません

逆に自信がある人は、投影することはありません。

自信があれば、自分の失敗や欠点を受け入れる余裕がありますし、自分のネガティブな感情を認識する耐性もあるため、投影する必要がないのです。

投影のデメリット

投影は人間関係に支障をきたす可能性があります。

例えば、人生失敗したと思っている父親が、息子に「世の中は不公平だ」「夢を追いかけるのは愚かだ」と言うことがあります。

父親は自分についての不満を息子に投影しているのですが、その言葉を聞かされた息子は、自分は成功しないんだと思い込んでしまうかもしれません。

逆に親が自分の希望を子どもに投影することもあります。

度が過ぎるとそれが子供にとってプレッシャーとなり、子供は自分は落ちこぼれだと感じることがあります。

投影することへの対処法

ほとんどの人が気づかないうちに投影をしています。

そのため投影をする人は自分の行動を客観的に観察し、自分の本当の気持ちを掘り下げることで解決することができます。

他人に不快な感情がわいたときは投影しているのではないかと考えましょう。

他人を非難したり、責めたりと、自分がよくやってしまうネガティブな行動について、自分自身を省みてください。

自分の中で投影していると疑われることを書き出してみるといいでしょう。

他人から投影された場合は「私はそうは思わない」と明確に否定することで、相手が投影していることに気づかせることが効果的です。

心理学者が説明する投影とは

ケーニッヒ

ケーニッヒによると自分の嫌なところを他人に投影することで、自分の嫌なところを認めなくてすむ、また人間は本来、自分よりも他人のネガティブな性質を見るほうが心地よいものだ言います。

逆に自分の失敗や弱点を受け入れることができ、自分の中の悪い点を振り返ることに抵抗がない人は、投影しない傾向があります。

「彼らは、自分自身のネガティブな部分を認識したり、経験したりすることに耐えられるので、その必要がないのです」とケーニッヒは付け加えます。

マイケル・ブルスタイン

マイケル・ブルスタインは「劣等感が強い人は自分が劣っていると思う気持ちを投影するクセがある」と言います。

彼は、この種の投影がより広いスケールで行われる例として、人種差別や同性愛嫌悪を挙げています。

メラニー・クライン

自己の良い部分を投影することは、対象を過剰に理想化することにつながる可能性があると考えました。

関連心理学用語

防衛機制

防衛機制とは不安な気持ちから自分を守るために無意識に行われる心理的なメカニズムのこと。