家主へのリクエスト | ||
現在のアパートに入居してから、早いもので1年3ヶ月が過ぎた。立地条件、広さ、家具、電器製品など概ね満足している。しかし長いこと住んでいると細かな点で不満が出てくる。特に主婦は毎日使う冷蔵庫、洗濯機、バスルームに対する不満が膨らんでゆくようだ。 ペナン駐在員の多くは会社の支給する家具、電気製品完備のアパートに住んでいる。これは便利なようだが自分で選べず、不便な生活を強いられることもある。私の女房は友達の家を訪問し、一軒でも自分より優れている点を発見しようものなら大変である。帰宅した私に「みんなの家には・・・・。」と文句をいう。やがてそれがストレスとなり、海外生活への不満、会社の批判、夫婦喧嘩へと発展する。 |
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彼女の要求は「大型の冷蔵庫」と「新品の洗濯機」であった。そこで駄目元でオーナーに掛け合うことにした。なぜならこれらのリクエストは入居前に拒否されたアイテムである。 私の住むアパートのオーナーはシンガポール在住であり、直談判は困難である。そこでカンパニーレターヘッドに右記の文面を印刷し(つまり会社名義で)、オーナーに郵送した。 そして数日後、全く期待してなかった私の元にオーナーから電話が入り、私のリクエストは全て受け入れられた。オーナーの対応は意外であった。言ってみるものである。 そして今日、新品の冷蔵庫と洗濯機が届けられた。古びたサムソンの洗濯機は「三洋電機の全自動ファジータイプ」に、Pensonicの2ドア冷蔵庫は「三菱電機の3ドア」に変わった。彼女の機嫌は直り、あんなにケチな奴と嫌っていたオーナーが「良いひと」になってしまった。 |
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昨今の経済情勢を考えると、オーナーの対応は当然の事かもしれない。2000年秋から減速を始めた米国経済の影響は、輸出型電子機器製造業の多いペナンにとっては甚大である。人員削減は勿論、撤退や工場移転が相次いでいる。そして外国人駐在員も帰国する。そうなればアパートの入居率は落ち込み、買い手市場に転ずるわけである。 売り手市場のときは何を言っても聞いてくれぬオーナーでも、買い手市場になれば手のひらを返すものだ。現在住んでいるアパートの設備などに不満があれば、今は要求するチャンスであろう。「さもなくば出て行く」強気で言ってみてはどうだろうか。或いは引っ越すチャンスかもしれない。引っ越す当てがあればね・・・・。 (2001年9月22日) |