緊急入院
 

199933日(金)のことである。残業でいつもより遅く帰宅し、玄関のチャイムを鳴らすと女房の足音が聞こえ、その後けたたましい音がした。慌てて鞄からカギを取り出し家に入った。すると女房は廊下で転倒したらしく、うつ伏せに倒れたピクリとも動かず唸っている。我が家のエアコンはパイプが詰まっているため、排水が逆流し常に石タイルの床がびしょ濡れになっている。彼女はそこで足を滑らし、顔と頭を強打した訳である。ペナンのコンドミニアムの床はタイル張りなので、転倒した際の衝撃は大きく大変危険である。お子様のいらっしゃるご家庭は注意が必要である。

最初は「そそっかしい奴め、何を大げさにしておるか。」と思ったが、みるみるうちに頬が腫れ上がり、エレファントマンのようになってしまった。笑いをこらえ「動けるか?」と聞くと「お願い救急車を呼んで」と泣くばかり。そういえばアンディーフグにハイキック一発でKOされた佐竹もこんな顔してたな。頬骨にひびの一つでも入ってるかもしれないし、頭も打っているだろう。愛妻家の私は迷わずペナンで一番医療費の高いアイランドホスピタル(Island Hospital)の日本人担当スタッフに連絡を取ろうとしたが、つかまらない。次に女房の友達の日本語の話せる中国人に電話するが、ノーリプライ。更には日ごろ世話になっている監査法人の日本語の話せるスタッフの携帯に電話するも、奥さんの出産でKLに帰っているという。「うーん。日本語の出来るローカルは全滅か・・・・。」 

バヤンレパスの会社は現地スタッフがペナンに多く住んでいてケアしてくれるが、私の会社の現地スタッフはスンガイペタニの田舎に住んでいるので頼りにならん。やむなく自分でアイランドホスピタルに電話し「女房が転んで頭を打って意識が無い、すぐに救急車をよこしてくれ。」命の値段の安い国である、こんなときは大げさに言うに限る。しかしここは貧乏人だらけの東南アジア「パスポートナンバーは?会社はどこだ?デポジットはRM3,000(約10万円)だが良いか?」とおっしゃる。まさに地獄の沙汰も金次第。

1時間後病院に到着する。ふらふら歩く女房(外国人)を見つけるとスタッフが風の様に駆け寄り、車椅子に乗せて彼女を救急窓口脇の処置室に運んだ。さすがは「アイランドホスピタル」。その間、別のスタッフが私を別室に招きRegistrationする。デポジットRM3,000は即座にクレジットカードで支払わされ、お洒落な入院キットを手渡された、さすがは「アイランドホスピタル」。ドクターが来るまで待つこと更に1時間。その間に看護婦の介護を受けたエレファントマンはショック状態からずいぶん回復してきた。

レントゲンを撮り、脳波を測定しどうやら骨折もなく大事には至ってないようである。細かな問診はドクターが友人の日本人にコンタクトし通訳してくれた。頭を打っているので大事を取って1日入院することにした。

200033日)

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