タイ トラン沖でのダイビング

     
315 2000年のハリラヤハジ休暇は、タイ南部へ45日のダイビングの旅へ出かけた。私は昨年暮れにライセンスを取ったばかりのビギナーであるにもかかわらず、今回のツアーは14ダイブ(1ダイブ約40分)、それにナイトダイブや洞窟ダイブも含まれたハードな内容。本来ナイトダイブはアドバンス・ライセンスが必要だがそこはマレーシア、ネバマインである。夕刻ペナンを発ち、Johnの運転する車でタイ国境を超え、TRANGという港町で1泊した。

316 昼過ぎにダイブボートに乗り込む。マレー半島北部西岸はジェームスボンド岩でも有名な石灰岩質の切り立った岩がいたるところにあり、それぞれ侵食により洞窟が出来ている。幻想的な風景である。今日から3日間命を預けるダイビングボートは漁船を改造したもので、豪華クルーザーを想像していた私はいきなり肩透かしを食らった。2段ベッドは2等寝台列車よりも狭い。メンバーはダイブマスターを含めタイ人クルー8名と我々6名の総勢12名。すべて男・・・・悲しい。


JHONピックアップトラックで
国境を越え一路TRANを目指す。

TRAN沖合いに停泊するダイブボート
桟橋からまで小型ボートで10分。

石灰岩質の切り立った奇岩
が幻想的な雰囲気をかもし出す。
     

3日間お世話になったダイブボート

後部デッキにはダイブギア満載
エントリーも楽チンである。

酔っ払い船長いつも私の
ギネスビールを飲んでいた。
     
午後3時前に最初のポイントKo-Rokに到着、いよいよ緊張の第1回ダイブ開始である。後部デッキからジャイアントストライドでエントリー、ダイブマスターの合図でいっせいに潜りだす・・・はずが私だけ沈んでいかない。どうやらウエットスーツの浮力に対してウエイトが軽すぎたようだ。ひとり海面に取り残された私はたいそう惨めである。バディのTEXはすぐに海面に浮かんできて、ウエイトを私のBCDのポケットに突っ込み何とか潜水できた。

たかだか30mと多寡をくくっていたアンダーウォーターワールドは、20m過ぎると太陽の光が届かず急激に暗くなる。水深は50mほどだというが海底は暗闇でちょっと怖い。慣れてきて緊張から解きほぐされると、自由な浮遊感覚がなんともいえない。オウム真理教の空中浮遊じゃないけど、海底の岸壁に沿って上下左右行きたい方向に自由に移動できるのだ。「ああ私は今とっても自由である。」

透明度は良い筈だが100m先は見えず、いきなりマグロやバラクーダの大群が押し寄せてきてはあっという間に去ってゆく。珊瑚礁には名前も知らない熱帯魚が群れをなし、岩陰には美味しそうなロブスターやウツボが顔を出している。傘を開いたほどの巨大なクラゲや50cmはあろうかというガルッパをなでなでできる。

40分はあっという間に過ぎダイブボートに戻って休憩する。2本目のダイビングを終えると、ダイブボートに良い匂いが漂っている。タイ人シェフがタイ料理を作って待っていたのだ。今日のディナーは美しいアンダマン海を背景に、アッパーデッキでフライドフイシュに野菜炒め。もちろんトムヤムスープやマンゴーサラダもある。誠に美味である。ただしナイトダイブを控えているので残念ながらビールはお預けである。  


最初のポイントKo Rok

ブリーフィング(全て英語)を終え、
いざエントリー。緊張の一瞬である。

潜行開始・・・のはずが。
     

2Fデッキでナイトダイブの打合せ

Ko Rokの夕暮れ・・・・美しい。

ディナーはタイ飯、美味い。
     
     
しかし何が悲しゅうて夜の海に潜らなきゃならんのだ。だいいち暗くて何も見えないじゃないか。マリンスポーツとは輝く太陽と青い海、小麦色に日焼けしたギャルに冷たいビールの組み合わせが必須である。

しかし仲間はずれも嫌なので、いやいやながら装備を身に付け、夜の海に飛び込む。アンカーロープをたどって20mほど潜ると月明かりはほとんどなくなり、暗闇の世界。さながら宇宙遊泳をしている気分である。トーチの光量は十分とは言えず、ちょっと目を離すとバディを見失ってしまう。溺死はごめんなので必死にバディの後を追う。昼間の海底に届いた太陽の光で見る珊瑚の色と、暗闇の中トーチで照らしたそれとは別物で、実に綺麗である。普段雑誌の水中写真で見るあの色を想像してもらいたい。魚は眠っているのでまじかで見ることが出来る。結構エキサイティングな体験である。1日目はナイトダイブを含め3ダイブであった。

ナイトダイブを終えるとお待ちかね酒盛りの始まりである。私は23日の船の旅に24本のギネスビールを持ち込んだ。しかし酒には肴が必要である。我々の酒盛りを見ていた酔っ払いキャプテンは、近くで漁をしていた漁船に無線で連絡してイカとエビの買い付け交渉をはじめた。イカ5kg、エビ5kgがギネスビール3本で交渉成立。キャプテンは自分にもコミッションとしてさも当然の様に1本持っていった。彼は今日3本目である。エビはボイルして、イカはTEXが持参した醤油とわさびで刺身にして食す。美味である。幸せである。ギネスビール3杯飲んだところで気を失ったように寝てしまった。尚、2日目の酒盛りはダイブボートの灯りに集まるイカを釣って刺身やボイルにしてこれを肴とした。


嫌々ながら(?)のナイトダイブ

酒の肴にイかを釣ってくれる
クルー。面白いように連れる。

近くで操業する漁船に
イカとエビを売ってもらった。
     
317 今日は洞窟ダイブとナイトダイブを含め5ダイブの予定である。今回のツアーはアドバンスダイバーが前提である。昨晩のナイトダイブ、今日の洞窟ダイビングも本当は連れてってもらえない。でもそこはマレーシア(タイ領海だけど)。そんな野放図な私をTEXは時々脅かす。「海底洞窟を移動中にフィンで砂を巻き上げると水が濁って戻れなくなる。」とか「洞窟内に浮上しても酸素がある保証は無いのでレギュレータをはずしてはいけない」とか・・・。洞窟は思ったより広く直径3mはあり、長さは10m程度。奥まで行くと垂直に浮上して水面に出るがそこは闇の世界。持参したトーチで天井を照らすとそこは幻想的な鍾乳洞。

洞窟ダイブが終わり別のポイントに移動するが、ここは深い。水深20mの海底山脈の峰に沿って移動するが、山の麓は奈落の底である。時々カレント(潮流)もきつい。私はフィンの使い方が慣れるまでは、バディに付いて行くために海底でぶざまにも平泳ぎをしなくてはならなかった。そんな本日4ダイブ目の事である。ふと気が付くと水深40mまで下がっていた。急速に水深を下げた事と、耳抜きがちょっと遅れた事で「ボコッ」という音と同時に鼓膜に穴があいた。それ以降耳抜きをしてもボコボコ空気が抜けるだけで痛くて深く潜れなくなってしまった。夕食後に浅瀬のナイトダイブは出来たが、今回の私のダイビングは3日目の1ダイブを残し、これにて終了。 


2日目のポイントHin Mong

緊張の洞窟ダイブの開始

海面のわずかな隙間
その奥に洞窟が広がる。
     

とても深いピナクルダイブのKo Ha

美しいアンダマン海の夕暮れ

5日間の船旅を終え帰港する。
疲れたけど来て良かった。
     
今回のダイブツアーでは合計8ダイブ、ダイブコンピュータを持っていないので詳細は不明。TEXのログをいただくことにした。>Dive Log 予算はRM950で日本円に換算すると3万円弱ってとこ。帰宅後医者に行くと「全治3週間、3ヶ月はダイビング禁止」の診断が下った。次回4月末に予定していたマレー半島東海岸のレダン島ツアーは中止と相成った。
     

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