| 2002年9月10日、スンガイペタニのホッカ−で昼飯を済ませ、会社に戻ろうとした際の事である。縦列駐車した車発進させるべくバックしたところ、「ゴツンッ」という音がした。車を降りるとポンコツバイクが倒れている。私の車の真後ろに停車した阿呆な奴がいたのだ(←私も不注意だが)。そのバイクはさんざん転倒を重ねた様で、あちこち壊れている。倒れたバイクのハンドルを持って起こすと、スロットルグリップは抜け、ミラーが外れ落ちた。 「解ったよ弁償すりゃ良いんでしょ!」
そこにオーナーであるインド人青年が、続いて友人が数人集まって来た。私は倒れたバイクを起こし「ソリーな!」と言って立ち去ろうとした。通常この程度はあまり気にせず「ネバマイン」で事は済むものだ。ところが彼等はタミール語で騒ぎ始めた。ミラーが直らないので弁償しろと言っているようだ。面倒臭い事になった。自分が車にぶつけても弁償しないくせにがめつい奴め! 私は青年の袖を引っ張り、耳元で「ミラーを買ってやるからバイク屋へ連れて行け。」と囁いた。手っ取り早く片付ける為に札びらを切る事にした。彼に案内されたバイク屋はほんの50m先にあった。
| claytan |
「ミラー交換してよ、セコハン部品で良いから。」 ←こんなポンコツバイクだぜ! |
| 店員 |
「セコハンは無い、ブランニューミラーは左右セットになる。OK Kha?」 |
| claytan |
「ノーチョイスlah。 ハウマッチ
Kah?」 |
| 店員 |
「えいと だらー。」 |
| claytan |
「RM 80 (約2,500円)?」 ←そりゃ高いよ、日本並じゃないか! |
| 店員 |
「No えいと
だらー!」 |
| claytan |
「RM 8 (約250円)???? 」 |
交換作業は2〜3分で完了した。ポンコツミラーが棚ぼた的に新品になり、インド人青年は「サンキュー」と言って喜んで帰った。バイク乗りは修理代すら払えない層が多いので、修理部品のほとんどは海賊版である。純正部品を買う者などいない。だから修理代は意外なほど安い。パンク修理などもRM 5(約150円)程度である。更に海賊版部品すら買えない者によるバイク盗難が社会問題になっている。だから彼等がメルセデスにぶつけても修理代など払えよう筈もない。
「バイクだらけのマレーシア」
マレーシアの全登録車輌に占めるバイクの比率は約50%(日本は5%程度)という驚異的な普及率で、車を買えない庶民の足として通勤、通学、商用に広く普及している。マレーシアでは国民車MODENAS(Kawasaki出資)とHONDA、YAMAHA、SUZUKI、の日系メーカーが現地組立てで生産している。バイクの90%は税制優遇の関係で排気量120cc程度のカブタイプ(右写真)である。新車価格は約RM4,000(約120,000円)であり、工場オペレータ給与の約1年分に相当する。よって多くはHire Purchase(頭金50%程度で24回払いの割賦販売)で購入する。
そんな彼等は交通法規を遵守する気は無いようで、地方では高速道路の逆走、無免許運転、そして5人乗り(←本当でっせ)も珍しくない。ポリスも社会的弱者である彼等には同情的で、本気で取り締まる様子は見受けられない。当然ながら死亡事故発生率は高く(日本の4倍)、そのうちの60%以上はバイクがらみである。毎年ハリラヤ等のフェスティバルシーズンは、帰省を急ぐバイクによる悲惨な交通事故が急増する。ある日、交通事故撲滅キャンペーンでバイク事故に関するコメントを求められたマハティール首相は「あんな命知らずの運転を止めようとしないバイク乗りに対し、私はこれっぽちも同情しない。」と答えた。
(2002年10月22日)
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