ゲストのアテンド | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
海外駐在員の仕事のひとつに、日本からのゲストのお世話がある。私もかつて出張で海外を訪れた際はトランスポーテーションからビジネスのアポイント、食事やショッピングに至るまで駐在員の方に昼夜を問わず並々ならぬお世話になった。今度は私が恩返しする番である。 「まずはホテルの予約」 まずゲストのスケジュールが確定したら、ホテルの予約をする。エンジニアが長期間現場に張り付く際は、スンガイペタニ(以下SP)のホテルを手配するが、短期出張の場合はペナン泊となる。半分はこの短期出張者である。10月末から毎週の様にゲストがやってきた。
「到着日は空港への出迎え」 出張慣れしたゲストは勝手にタクシーでホテルに行くが、セキュリティーの関係で多くの場合フライトに合わせて空港へ迎えに行く。東京からのゲストがほとんどで、SQシンガポール経由便(20:20到着)が多いため仕事が終わってからの出迎えである。今のところ入国審査や税関検査でトラブルは無い。週刊ポスト1冊くらいは見逃してくれる。酒やタバコを免税範囲を超えて持ちこみ、関税を払わされる事はあったが、これはご愛嬌。それより問題は荷物(スーツケース)である。2個までなら何とかなるが、3個以上になると車1台では足りなくなる。 ホテルに到着すると夜の10時近くなる。まずはチェックインのお手伝いである。空港で両替しなかったゲストにはチップ(小銭)をポケットマネーで渡す。必要であれば部屋まで同行する。そして空腹なゲストには夕食をアレンジする。といってもペナンのレストランはほとんど10時閉店なので、ホテルのレストランで軽く済ます。帰宅すれば深夜12時である。ちなみに帰国日のフライトは夜行便が多いので、夜のお見送りになる。 翌朝は朝7時にホテルロビーでピックアップし、SPの会社までご案内する。約1時間の車中、私は質問攻めにあいツアコン・モードに入る。マレーシアの人口、経済水準、労働事情、治安、対日感情、グルメ情報、駐在員の生活ぶり、交通事情、言葉の問題、等など。 仕事が一段落するとSPからジョージタウンのホテルへ送り、シャワー着替えを済ませた後にディナーへご案内する。ディナーは夕暮れを待って午後7時から開始する。ご案内するレストランは酒が飲めて煙草が吸える事が条件なので限られる。夕食が終わると9時前である。「これからホテルに帰っても暇だなぁ。」とか言ってもじもじする人がいる。その場合「じゃぁ、ちょっと行きましょうか?」とKara-OKと相成り、ホテルに送り届けてからの帰宅は夜中の1時半になる。午前様が続き「毎晩おさわりバーで遊んどいてなに言ってんのよ。」と女房も不機嫌である。 「休日返上でお付き合い」 出張が週末をまたぐと休日のお世話をする事になる。海外駐在員のサービス残業である。とりわけペナン地区における観光、ショッピングは私の担当である。その際「お勧めどころを案内してよ、場所はお任せするからさぁ。」と言われるのが一番困る。ぺナンは観光資源が乏しく、万人に喜ばれるお勧めどころははっきり言って無いのである。ボタニカルガーデンに行けば「暑いから帰ろう」と言うし、極楽寺では長い階段に根を上げる。ジョージタウン中心地を散策すれば「ボロイ、汚い」の連発である。ショッピングにしてもお土産はピュータくらいで、ブランド物はシンガポールと比べるべくも無い。そんな時は朝食は我慢してもらい、以下のモデルコースにご案内する。
「嵐が去って」 こんな生活が1ヶ月半続いた。傍から見ると酒飲んで遊んでいるように見えるが、夜も休日も働きずくめであった。ゲストが帰国すると山の様にたまった仕事が待っている。ローカルスタッフはきっちり有給休暇を消化するが、日本人駐在員に有給休暇はあって無いようなもの。さすがに体調を崩し1日寝込んでしまった。医者に行くと「あんた暴飲暴食だよ。」と言われた。やはり海外駐在は「1に健康、2に体力、3、4が無くて、5に知力」である。 (2000年12月5日) |