
023.zo o ?
きょう わたしの は おかあさんと おかあさんと どうぶつえん いきます。
どうぶつえんに どうぶつの おりには どうぶつは くもが たのしかったです。
わたしは おかあさんが おとうさんは すごく ひろかったです。
024.???
????????????????
025.awakening
昔の夢を見ていた様な気がします。
動物園に行った事。檻の中には色んな動物が居て、私は凄く感動していました。
でもあの事が現実だったのかどうか確認する手段はありません。
ゆっくりと現実に覚醒する・・・。随分と長い間眠っていた様な怠さを感じながら。
瞼を開いた時、私は自分の置かれている状況が分かりませんでした。
私はベッドの上に寝ている。テントの中ではなく。
此処は、何処・・・?
乾いた唇が不自由に動くだけで声が出ませんでした。
力が入らない筋肉に無理矢理力を入れて体を起こしました。
そうして光の射し込む方を見ると、窓際に男の人が居ました。
是は、どういう事なんでしょう・・・?
026.refusal
何故自分が此処にいるのか分からない。
此の男の人は誰だろう?
色々疑問が浮かんだけれど、其れを訪ねる事も出来ません。
体が強張って、声も出せません。
家出をして、ビルの隙間にテントを張って、其処で暮らし始めた所までは覚えています。
でも其処から先が思い出せません。
此の男の人はどう悪く見ても私を襲うような人には見えません。
着衣に乱れは無いし、性的欲求を満たす為に連れて来られた様にも思えません。
男の人は大丈夫、とか、落ち着いて、とか言ってくれます。
なのに無意識のうちに私はこの人を怖がっている。
体が強張っている。どうして・・・?
私が何も言えずに震えていると、男の人は諦めたような顔になり、
サイドテーブルに水差しとコップを置いて違う部屋へと行ってしまいました。
私は男の人が見ていない事を確認した後、マスクを外しました。
そして水差しからコップに水を汲んで一口飲みました。
頭の中には解決されない疑問が残っています。
私はどうして此処に居るんだろう・・・・・・?
027.why
自分が何故此処にいるのか、其れがどうしても分かりませんでした。
どんなに考え倦ねても思い出せません。
やっぱりあの男の人に聞くしかないみたいです。
その時男の人の声が聞こえました。
どこかに出かけるとかなんとか・・・。
私は男の人が出ていってからぼんやりと窓の外を見ていました。
雨が近いのか、窓からは湿っぽい風が吹き込んできます。
窓際にはサボテンが置いてありました。かわいい花を付けています。
サボテンがこんなにきれいな花を咲かせるなんて、きっとあの人はいい人だ。
私は自分にそう言い聞かせてあの人への恐怖心を拭おうとしました。
でもあの人が帰ってきた時、体が反射的に強張るのを感じました。
何故私はこんなにあの人の事を怖がるのだろう?
頭ではいい人だと分かっているのに、体が無意識のうちに拒絶してしまう。
私が此処に来る経緯に謎を説く鍵があるように思えました。
怖くて声が出ないけれど聞かないと後悔する。
恐怖に押しつぶされそうになりながら私は必死に声を絞り出しました。
「私は、どうして此処に居るんですか・・・・・・?」
男の人はちょっと驚いたような顔をしたあとすぐ優しい顔になって
ベッドから離れた所にある椅子に腰掛けました。
そうして静かに話し始めました。
私が此処に来るまでの経緯を。
028.past
男の人の話だと、私は3日前から気を失っていたそうです。
しかも命に別状はないものの、飢餓状態だった・・・。
私はラジオをいじりながらその話を聞いていました。
私が家を出る際に持ち出してきたお金にも手を着けてないと言っていたし
確かにベッドの足元にある鞄に入っているお金は減った様子はありませんでした。
この人の話自体真実味があるし、信じて間違いはないと思いました。
でも分からない事が3つだけありました。
この人が何故私を助けたのか?そして私は何故この人を恐れているのか・・・?
私を助けた理由についてはそこそこ納得のいく答えが返ってきましたが、
2番目の疑問に関しては曖昧な返答が返ってきただけでした。
少しがっかりしたものの、分かる訳のない質問をしたんだから仕方ないと諦めて
再びラジオのスイッチをいじり始めました。
でも暫くそうしているうちにその曖昧な返答の中に真実があるように思えてきました。
029.sign
昨日、あの人が私に自分の事を話してくれました。
名前は海江田太一と言うそうです。
半年前に存在を知ったお姉さんをずっと捜していると言いました。
海江田さんに関していろいろ話して貰ったので私は自分の事を話しました。
私が家出をしてきた事、家に帰るつもりが無いと言う事。
素顔に関する事は話したくなかったので殆ど話せる事は無かったけれど
海江田さんは真剣に聞いてくれました。
頭ではいい人だと分かっていながら無意識に警戒してしまう自分が恥ずかしかったし、
体調も良くなったので、何時までも此処にいるのは悪いと思い、出ていくと言ったけど
海江田さんはまた同じ事になるといけないから
せめて私が衰弱していた原因が分かるまでは此処に居たらいい、と言ってくれました。
嬉しかったのに何故か素直に喜べない自分が情けなかったです。
それから、海江田さんはお姉さんを捜す一方で私をカウンセリングしてくれました。
何でもおじいさんがカウンセラーだったとかで、私の考えている事をどんどん当てていきました。
そのお陰で、私は海江田さんが怖いのではなく男性不信である事が分かりました。
男性不信に陥る原因は多分私の醜さと関係があるような気がします。
闇の中に隠れている手懸かりの輪郭が朧気ながら見えてきた様です。
030.key
今日も海江田さんはお姉さんを捜しに出かけました。
怖いものは怖いんだ。仕方ないよ。僕もお化けは怖いしね。
出がけに照れ笑いを浮かべながら言ってくれた一言がとても嬉しかったです。
一人になるとラジオのスイッチを入れます。
少し雑音の混じった音を聞きながらぼんやりと考え事をしました。
目覚めてから、私は一度も外に出ていません。
状況だけ見れば実家に居た時と一緒ですが、精神的には全然違います。
血の繋がった両親より海江田さんの方が優しいです。
マスクをしているっていうだけでも十分変な女なのに、
海江田さんはその事には触れずにいてくれます。
でもきっと私の素顔をみたら冷たくされるのでしょう・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
一瞬、何か手がかりの様な物を見つけた気がしました。
でもそれは、すぐに何処かへと消え失せてしまいました。
しばらく其の事について考えていると海江田さんが帰ってきました。
疲れている事が一目で分かるくらい、辛そうでした。
・・・・・・姉さんは死んだよ・・・。
一言だけそう呟いて、隣の部屋へ入ってしまいました。
その日は、結局海江田さんは部屋から出てきませんでした。
私は何も出来ない事がもどかしくてたまりませんでした。
031.darken
目が覚めるとやっぱり海江田さんはいませんでした。
何処かに行ったんでしょうか?それとも、まだ隣の部屋に居るんでしょうか?
でも私には隣の部屋を覗きに行く勇気はありませんでした。
姉さんは死んだ・・・昨日の海江田さんの言葉を思い出してみました。
お姉さんの死を認めたくない感情が露骨に表れていました。
というより、お姉さんが死んだと思う事で心を落ち着けようとしているような印象でした。
海江田さんのお姉さんに何が起こったのでしょう?私には知る由もありません。
お腹がすいたけど海江田さんは今日は食事を用意してくれていませんでした。
仕方がないので我慢しようかと思った瞬間、また頭の中で何か閃きました。
そうだ。私はテントの中でお腹をすかせていた・・・。
マスクをしている事で注目されるのが厭だったから?それだけじゃない筈。
何か、他にまだ理由が・・・。
その時、壁が激しい音を立てました。
ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!・・・・・・
一瞬何が起こったのか分かりませんでしたが、
時折呻くような声が聞こえてきてそれが海江田さんの物だと気づきました。
どうやら壁を殴っているようです。
その音はかなり長い間続いていましたがやがて小さくなっていって、
最後には聞こえなくなりました。
私はなんだかどうしようもなく悲しい気持ちになりました。
032.suicide
結局昨日も海江田さんは部屋から出てきませんでした。
私は海江田さんのことが気にかかって、自分の記憶のことはどうでもよくなってきていました。
一昨日の海江田さんの変わり方は尋常じゃありませんでした。
失望・・・、絶望といった方が適切かもしれません。
ほんの僅か海江田さんの顔を見ただけで心が痛みました。
そしてあの言葉
・・・・・・姉さんは死んだよ・・・。
まるで此方が身を切られるような思いでした。
隣の部屋からは物音一つ聞こえません。
私は海江田さんの様子が気になって仕方がなかったので、
勇気を振り絞って部屋を覗いてみる事にしました。
しばらく歩いていなかった上に衰弱していたので足下がふらつきましたが
どうにか壁に掴まりながら隣の部屋の前まで来ました。
そのとき、ガタン!という音が聞こえて何かが軋む様な音がしました。
私は慌てて扉を開きました。その瞬間目に飛び込んできたのは
天井からぶら下がっている海江田さんでした。
海江田さん!
私はそう叫ぶと懸命に海江田さんに駆け寄りました。
なかなか動かない足がもどかしかったけれど、必死で走りました。
そして机の上にあった鋏を取り、倒れている椅子に上って紐を切ろうとしました。
でも足がふるえてなかなか紐に手が届きませんでした。
海江田さん、死なないで!死なないで・・・!
涙を流しながら必死で紐を掴んで切りました。
海江田さんは床に落ち、私は椅子から転げ落ちました。
床に落ちたはずみでマスクが外れて転がっていってしまいました。
後ろで海江田さんの呻く声が聞こえる・・・よかった、間に合ったんだ。
私は安心して体の力が抜けてしまいました。
そしてそのまま気を失ってしまいました。
033.cry
目が覚めると私はベッドに寝かされていました。
顔を横に向けると、ベッドの脇の椅子に座って海江田さんが眠っていました。
改めて海江田さんが助かった事を嬉しく思いました。
その時私は、マスクが顔にきちんとついている事に気づきました。
海江田さんを助けた時、床に落ちたはずみでマスクは外れた筈です。
なのに、今マスクは私の顔にちゃんと被さっている・・・。何故・・・・・・?
まさか、海江田さんが・・・・・・?
そう思った瞬間、海江田さんが目を覚ましました。
ごめん・・・・・・。
海江田さんはそう呟きました。やっぱり、私の素顔を見たんでしょうか?
海江田さんが助かってよかったです。海江田さんは・・・・・・
え?
いえ、何でもないです。
私の素顔を見たんですか・・・・・・?
訊くのが怖くてそれ以上言えませんでした。
それから会話は途切れ、気まずい沈黙が流れました。
私は周りの空気が細い針の様な物になって、私の体を突いてくるような気がしました。
そして海江田さんは静かに口を開きました。
助けてくれてありがとう。僕は莫迦な事をやろうとしてた。
そんな僕を助けたばっかりに・・・。本当にすまない。
ああ・・・やっぱり海江田さんは私の素顔を見てしまったのでしょうか?
でもまだ核心に触れる発言ではありません。
真実を有耶無耶にしたい気持ちとは裏腹に、口が勝手に動いていました。
やっぱり・・・・・・、見たんですか?
・・・・・・ああ・・・。
海江田さんは私の素顔を見てしまった・・・。私は一気に悲しくなりました。
気持ち悪くないんですか?そう訊いたら、海江田さんは初めはびっくりした、と言いました。
やっぱり私は嫌われてしまったのか、と思った時、意外な言葉を海江田さんが発しました。
僕はそんな自分を恥ずかしいと思った。
そして海江田さんは自分が自殺しようとした理由を話してくれました。
お姉さんを見つけた事、お姉さんが精神病になってしまっていた事、
そのショックで冷静な判断が出来なくなってしまった事。
そんな自分勝手な自殺を助けた私に対する感謝を
素顔を見た程度で忘れてしまった。自分は最低な人間だ、と海江田さんは言いました。
私は居たたまれなくなって、恥ずかしくてどうしようもなくなって、今すぐにでも此処を出たいと思いました。
これ以上海江田さんに私の姿を見られたくない。海江田さんに嫌われたくない。
どうしようもなく悲しくなって、涙が溢れてきました。
私は手短に別れを告げてベッドから降りました。
足が思うように言うことをきかなかったけれど、必死でドアの方へと歩こうとしました。
しかし、足がもつれて私は倒れそうになりました。
その時、海江田さんが危ない!と言って私を抱き留めてくれました。
海江田さんは私を傷つけたことを謝って、体がよくなるまで此処にいてくれ、と言いました。
私は、海江田さん海江田さんの体温を感じる事で、
海江田さんが心から私を大切に思ってくれていると分かって、とても嬉しく思いました。
しかし、今の私には、只涙を流す事しか出来ませんでした。
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