34.告白

僕は彼女が泣き止むまで彼女の傍に居た。
彼女を放ってはおけなかったし、目を離した瞬間に彼女が何処かに行ってしまいそうだったから。
彼女は忘れていた記憶を取り戻していた。
それは他人との接触がほとんどなかった彼女にとっては非常に辛い出来事だった。
取り敢えずあの出来事でのショックからは完全に抜け出してはいる様だったので安心した。
「記憶を失っていた時の事を思い出しました・・・」
彼女は静かにそう呟いた。
僕は彼女のその言葉を聞いて、記憶喪失にかこつけて
彼女の心をずっとのぞき見していた事が急に後ろめたく感じられ始めた。
告白してしまおう。軽蔑されるかもしれないけど、彼女に対してもう隠し事はしたくなかった。
「気付いてたよ・・・」
彼女は僕の方を向いた。自分の耳を疑っている様な素振りだった。
「君にずっと秘密にしていた事があったんだ・・・」
僕は自分の過去を告白する。


35.絆

彼女は驚きを隠せない様子で僕の話が終わった後も暫く呆然としていた。
それも当然の事だと思う。他人の心が読めると言った時点で既に信じられない事だ。
僕だって実際自分がエンパスでなければ信じられない事実なのだから。
「海江田さんが嘘をつくような人には見えません。でもやっぱり直ぐには信じられないんです・・・」
彼女の答えを聞いて僕はやっぱりな、と思った。
其れが普通なのだから。
「直ぐに信じてもらえないのは予想してたよ、それに無理して信じようとしなくてもいい。
今話した事が僕の過去だという事を頭に置いてくれたら、其れでいい」
彼女は戸惑った様子ではあったが、静かに頷いた。
「今まで隠しててごめん。言わない方がいいと思ってたけど、
 僕だけ君の秘密を知っているのは不公平だと思ったから・・・」
「秘密・・・?」
「君の・・・・・・素顔の事」
彼女ははっとした仕草を見せたが直ぐに落ち着いた様子で、
「海江田さんが私の顔を見て何とも思わないなら、これはもう秘密でも何でもありません」
と言って、マスクを外した。
お互いに自分の秘密を分かち合った僕たちの間に、何らかの絆の様な物が生まれた様な気がした。
その時、部屋の電話が鳴った。
「もしもし?」
「海江田君か?直ぐに来てくれ!」
病院からだった。


36.手首

僕は病院へと急いでいた。

「何があったんですか?」
「美帆君が、自殺を図った!」
院長の声を聞きながら、僕は自分の中身が全身の毛穴から蒸発してしまいそうな感覚に陥った。
気が遠くなりそうになるのを必死で堪えながら僕は、
「直ぐに行きます・・・」
と言い、受話器を置いた。
彼女が心配そうに此方を見ていた。

タクシーが病院に着いた。
精神科病棟へと急いだ。
息を切らしながら階段を書け上って、廊下を走った。
ある病室の前に何人かの患者が集まっていた。
見るとドアから何か液体が漏れだしているようで、突き当たりの窓の光を反射していた。
近づくにつれ、其れがどす黒い色をしている事に気付いた。まさか・・・・・・。
そしてその病室が姉さんの病室だと言う事も・・・。
見たくない。認めたくない。信じたくない。
ドアノブに手を伸ばす。そしてゆっくりと・・・・・・。
僕は愕然とした。
床には大きな血溜まりが出来ていた。
そしてその真ん中には二人の医師に抱きかかえられて姉さんが横たわっていた。
顔に血の気がない。口元だけが血で真っ赤に染まっていた。
手首を見てみると、肉が食いちぎられて腱が見えてしまっていた。
止血をしてあるお陰で、血はもう流れていなかった。
「姉さん!」
僕は姉さんの元へ駆け寄った。
姉さんは呼吸がかなり弱まっていた物の、まだ生きてくれていた。
「姉さん・・・・・・」
涙が溢れてきた。
どうして!どうして!どうして!どうして!どうして!どうして!


37.正気

「姉さん・・・!姉さん・・・・・・!」
僕は夢中で姉さんの手を握って呼びかけた。
姉さんの手は冷たかった。
体温が下がってきている・・・?
「姉さん!目を覚ましてよ!!」
姉さんの手を握りしめて必死で呼びかけた。と、その時、姉さんの指が僅かに動いた。
ゆっくりと姉さんは目を開いた。
僕の顔を見た瞬間、姉さんの目から大粒の涙が溢れた。
「ごめんね・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・・」
姉さんは殆ど聞こえないくらいか細い声で必死に僕に語りかけてくれた。
その時慌ただしく看護婦たちが入ってきて姉さんを外へ運んでいった。
「姉さん!」
僕は姉さんを追いかけようとして出口の方を向いた瞬間、ドアの脇に立っていた院長の姿を見つけた。
ドアの脇は部屋に入ってきた時は死角になっていたから気付かなかった様だ。
「姉さんは何故自殺を・・・・・・?」
「恐らく実物の君を見たせいだと私は考えている」
「僕を、見たから・・・?」
「君に会った時の美帆君は酷い怯えようだった。
 君が帰った後もずっと部屋の隅で泣き続けていたよ。
 しかし半日ほど経った時、急に暴れ出して部屋中の物を壊し始めた。
 其れで鎮静剤と睡眠薬を投与して眠らせていたんだが、
 今日の昼頃目を覚ました時、初めのうちは大人しくしていたんだが
 急に自分の手首に噛みついて皮膚を噛みちぎってしまったんだ」
僕は自分が世の中を狂わせている原因の、何らかの汚物になった様な、
或いは世界中すべての悪意の固まりを無理矢理飲み込まされた様な、
どうしようもなく居たたまれない気持ちになってしまった。
「僕の・・・せいなんですね・・・・・・」
「あんまり自分を責めない方がいい。
 美帆君は今頃ICUで治療を受けているはずだ。見守ってあげたまえ」
院長は僕の落ち込んでいる様子に気付いたのか、そう言って優しく背中を押してくれた。
ICUに行くと院長の連絡を受けていたようで看護婦が待っていて僕を案内してくれた。
ガラスを隔てた向こう側では、姉さんが治療を受けていた。
『姉さん、頑張って・・・・・・』
エンパスで姉さんの心に呼びかけた。
気を失っているのか、姉さんの声は聞こえない。
それでも呼びかけ続けた。
何度も、何度も・・・。


38.克服

姉さんはずっと眠っていた。
僕は何度も呼びかけた。
心の声で。姉さんにしか聞こえない声で。
姉さん・・・・・・。
聞こえないの・・・・・・?
僕は此処にいるよ・・・。
その時、姉さんの目から一筋の涙が流れた。
『ごめんね・・・・・・心配かけて・・・ごめんね・・・・・・』
姉さんの声が聞こえてきた。
『大丈夫だよ、姉さん、僕がついてる』
正直、クローンだったことに拘って、こんな事になってしまった姉さんを
責めたい気持ちがなかったわけでもなかった。
僕は姉さんのせいで是だけ苦労したんだ、姉さんだって其のせいで死にかけたじゃないか、と。
でも、そんな気持ちをかき消してしまうほど、過去を克服した姉さんの声が嬉しかった。
姉さんは再び眠ってしまったようで、声が小さくなっていった。
僕は少し安心して、ふと時計を見るともうすでに夜7時を回っていた。
彼女は心配しているだろうか。とりあえず家に電話を入れるためにロビーに向かった。
ロビーの電話でうちに電話をかけた。
コールが聞こえる。3回・・・7回・・・16回・・・・・・。
誰も・・・出ない?


39.心理

僕は鳴り続けるコールを聴いて立ちつくしていた。
どうして出ないんだ?電話をする事は伝えてあった筈だ。
僕は院長に姉さんに変化があったら連絡を下さいと伝えて家に戻った。
部屋の中は暗かった。
窓の外に街灯があるので彼女は夜になっても電気をつける事はなかったから
電気がついてない事自体は不自然ではなかった。
しかし、玄関に立った時既に彼女の気配を感じられなかった。
まるで、部屋が抜け殻の様だった。
ゆっくりと寝室に向かった。
やはり・・・、彼女は居なかった。
テーブルの上に紙片があった。
「ひょっとしたら気付いていると思いますが、
 今日、海江田さんが電話をしている時、私は
 『お姉さんに何かあったのかな』と思いました。
 それだけならまだしも、私は『悪い知らせだったらいいのに』と思ってしまったのです。
 海江田さんがお姉さんを大切に思う気持ちが、
 いつからか、私には辛かったのです。
 恋愛感情とかそういった物はよく分からないのですが、
 私は海江田さんが好きでした。
 好きな人の不幸を望むなんて、最低の人間のする事です。
 私はもう、海江田さんと一緒に暮らす事は出来ません。
 今までお世話になりました。ありがとうございました」
それは、小さな、整った字で書かれた、短い手紙だった。
「何で!!」
彼女を失って初めて気付いた。
彼女の気持ちに・・・。
自分の気持ちに・・・。
まだ完全に回復してなかったから、そんなに遠くまで行ってない筈だ。
僕は玄関を飛び出した。


40.奔走

僕は夜の街を探し回った。
マスクをした女の子なんて他にいないから直ぐ見つかると思った。
だが目撃者はいても只「見た」だけでどの方向へ行ったのかは分からないという答が殆どだった。
世間なんてこんな物なのか。他人には無関心なのか。
何十人と聞いて回って漸く役に立ちそうな目撃証言を得られた。
「マスクをした女の子?・・・ああ、見たよ。確かセンター街の方に歩いていったと思うけど」
僕は頭を下げ、センター街の方へと急いだ。
エンパスを使えない状況がもどかしかった。
エンパスは半径150メートル前後の範囲にしか効かないし、
こんな人混みの中でチャンネルを全開にしたら頭痛で立っていられなくなる。
センター街の近くに来ると彼女を見かけたという人が少しずつ増えてきた。
それでもやっぱりそう簡単には見つからない。
使うしかないのか・・・?
この辺りは繁華街だし、地下街もある。しかも街が一番混雑する時間帯だ。
当分チャンネルを全開にしてなかったから、あの騒音に耐えられるかどうか・・・。
そもそも是だけの人間の中に居るかどうかも分からないたった一人の声を聞き取る事が出来るのか・・・?
やるしか・・・ない。


41.雑踏

今僕が居る広場は十分エンパスの領域に収まる。
僕は広場の中心の噴水の縁石に腰掛けて気持ちを集中させた。
そして、チャンネルを開く・・・・・・。
視界が歪むほどの雑音の洪水が襲ってきた。
まるで意味を成さない言葉の羅列、言葉の意味を認識する余裕がない。
頭が割れるように痛み、吐き気まで催してきた。
声が刃となって脳を剔るような、そんな感覚さえしてきた。
一旦チャンネルを閉じよう・・・。
そう思ってチャンネルを閉じかけた時、
『寂しい・・・』
聞き覚えのある声だった。
僕はエンパスの範囲を声の聞こえた方向に集中させた。
『・・・・・・海江田さん・・・』
やっぱり彼女の声だ。
僕は声のする方向へと歩いて行った。
小さな雑居ビルとファッションモールのビルの隙間に彼女の姿を見つけた。
彼女は自分が見つかった事に気付き、一歩後ずさりした。
僕は彼女に対してマイナスの感情を
一切持っていない事を伝える為に優しく微笑みかけた。
彼女は怖ず怖ずとビルの隙間から出て来た。僕も彼女に歩み寄った。
蹌踉めきながら必死で歩いてくる彼女を僕はしっかりと抱き留めた。
「心配したんだからな!」
「ごめんなさい・・・・・・」
それ以上の言葉は交わされなかったが僕達にはそれだけで十分だった。
僕は彼女を背負って家まで帰った。
家に着いて簡単な食事を済ませた後、僕は彼女に言った。
「明日、一緒に姉さんに会いに行こう」
彼女は自分のした事が後ろめたいから厭だと断ったが、
僕からちゃんと説明するからと言うと、小さく頷いてくれた。
それじゃあもう寝ようかと言うことになって僕が隣の部屋に行こうとした時、
「・・・・・・一緒に、寝ませんか・・・?」
と彼女が言った。
僕達は初めて同じベッドで寝た。
まるで棒になった様に固くなって、寝返りを打つ事も出来ずに。
もちろん、彼女が一緒に寝ようと言った理由は分かっていた。
だから僕は自分から彼女に触れようとは思わなかった。
暫くすると、彼女の手が僕の手に触れた。
僕はゆっくりと彼女の手を握った。
それ以上の行為は必要なかった。
僕達は手を繋いだままゆっくりと眠りに落ちていった。


42.氷解

翌朝、僕達は花を買って姉さんの見舞いに行った。
受付を済ませ、既に一般病棟へ移った姉さんを訪ねた。
病室の前で彼女を待たせて、先に僕だけが入った。
姉さんはもう起きていた。
「今日はお客さんが来てるみたいね」
久しぶりに姉さんの声を聞いた気がした。
「うん。調子はどう?」
「だいぶ気分も良くなったわ。ご免ね、本当に」
「いいよ。もう終わった事だから。それに姉さんが助かって良かった」
「ありがとう、ねえ、早くお客さんに会いたいわ」
「うん。今連れて来るから待ってて」
『ちょっと、変わった子かもしれないけど、あんまり驚かないでね』
『何となく分かってるわ。大丈夫、あなたが好きになった子でしょ?自信持って』
とりあえず簡単な会話を済ませて僕は彼女を招き入れた。
彼女はゆっくりと病室に入ってきた。
なるべくマスクが見えない様に俯きながら。
「はじめまして。海江田美帆です。宜しくね」
「は、はじめまして・・・」
「ねえ、下を向いてたらお化けみたいよ?ちゃんと顔を見せてくれる?」
『姉さん!』
『大丈夫よ。私に任せて』
彼女は怖ず怖ずと顔を上げた。
「あ、マスクしてるのね。この暑い時期にマスクなんてしてたら蒸れちゃうでしょ?
 ね、とっちゃったら?」
彼女はかなり躊躇っている様子だった。
「で・・・、でも、私は・・・、顔が、醜いから・・・」
「私はそんな事気にする人間じゃないわ。ねえ、私を信じて」
彼女は僕以外の人間を信じていいものかどうか葛藤していた。
このままだと僕以外の人間を信じる事が出来なくなると思った。
一つ目のドミノを倒す力が必要だと思った。
「大丈夫だよ」
僕のその一言で、彼女はゆっくりとマスクを外した。
ここからは姉さんに任せるしかない。
彼女の顔をじっと見つめる姉さん。何を言われるかとビクビクしている彼女。
暫く沈黙が続き、姉さんの口元に笑みが浮かんだ。
「なーんだ。かわいいじゃん」
「・・・え?」
「私に言わせれば、全然醜くとも何ともないわ。私はもっと醜い人間を見てきたからね」
「・・・・・・」
「本当に醜い人間ってのは、どんなに顔が整ってても、見る人に恐怖を与えるものよ。
 いつまで経っても、澱の様に心に残る恐怖を与えるの。
 それに比べればあなたの顔は一瞬ドキッとさせるくらいの力しかないわ。
 何故だか分かる?あなたが本当はとてもかわいい心を持ってるからよ」
「・・・本当に・・・、そう、思ってくれているんですか?」
「信じられない?」
彼女の口元にも微笑みが浮かんだ。
「いえ。信じてます」
「うん。でも、世の中には人を見た目でしか判断しない人がいっぱいいるから、
 ちょっとした事じゃ挫けないように気持ちをしっかり持ってね。
 理不尽に傷つけられる辛さは私もよく分かってるつもりだから・・・」
「ありがとうございます」
彼女は深くお辞儀をした。
『ありがとう・・・』
姉さんは何も言わずに頷いてくれた。


43.海

それから暫く世間話をしたあと、僕達は病院をあとにした。
ちょっとゆっくり帰りたかったので院長に行って車椅子を貸してもらった。
線路沿いを歩きながら、左手にはきれいな夕焼けが見えた。
「明日、晴れるね」
敬語じゃない彼女の話し方にちょっとドキッとした。
「そうだね。きれいな夕焼けだね」
「ねえ、海に行きたいな」
「海?」
「うん。生まれてから一度も海に行ったことないの」
「よし、行こう」
僕は今まで来た道を引き返しはじめた。
「ちょっと、逆戻りしてるよ?」
彼女は戸惑った様に言った。
「だって、海に行くんだろ?海はこっちだよ」
僕は彼女の顔を見ながら言った。
彼女はちょっと呆れた様な仕草を見せたあと、嬉しそうに言った。
「夕焼けの海かあ・・・、きれいだろうな」
「きれいだよ。絶対」
「あのさ、いろいろあってずっと聞けなかったけど、君の名前、教えて」
「名前?」
「そう、名前」
彼女は少し改まった口調で言った。
「桃原伸子です。宜しくね」
「こちらこそ、宜しく」
妙にかしこまった口調がおかしくて二人で大笑いした。
「こんなに笑ったの、初めて。あなたと美帆さんのお陰ね」
「そんなことないよ。君が自分で殻を破ったんだ。僕らはちょっと手助けをしただけだよ」
「ホントに、ありがとう」
彼女がそう言った時、右手に海が見え始めた。
夕日を反射してキラキラと輝く海面はまるで、金糸の揺らめきのようだった。
「わぁ・・・」
彼女は海風で乱れる長い髪を掻き上げながらそう呟いた。
「砂浜に降りてみようか」
僕がそう言うと、彼女は嬉しそうに頷いた。
砂浜に降りると彼女はサンダルを脱ぎ、砂浜にゆっくりと足をつけた。
「すごい・・・きれい・・・」
「マスクしてるとよく見えないだろ?はずしなよ」
彼女は僕の方を見上げて、うんと頷いた。
マスクを外して彼女が立ち上がろうとしたとき、足がふらついて倒れそうになった。
「おっと!」
とっさに抱き留めたとき、彼女と僕の目が合った。
そして彼女の肩を抱く手に力が入っていった。
僕らは太陽が沈んでしまうまで、ずっと抱き合っていた。


44.愛(了)

月が出て砂浜はぼんやりと青く照らされた。
僕達は並んで砂浜に座っていた。
「そうだ」
彼女はそう呟くと、マスクを顔に固定する為の革ひもをほどきだした。
そしてそれを使って小さなリングを作った。
2本の革ひもで2つのリングを作り、
僕の手を取って大きい方のリングを指にはめた。
そうして小さい方のリングを自分の指にはめて
「ほら、ペアリング」
と言って嬉しそうに笑った。
「でもこれじゃマスクがつけられないよ。いいの?」
僕がそう訪ねると彼女は
「私、もう自分の顔のことで悩んだりクヨクヨしたりするのはやめるの。
 マスクがあったら甘えちゃうから、いらないの」
そう言ってマスクを海へと放り投げた。
マスクは暫く波間を漂っていたが、そのうちに沈んでしまった。
彼女のコンプレックスと共に。
「ずっと一緒にいようね」
「うん。ずっと一緒に」

ずっと一緒に・・・離れないよ。



back
Hosted by www.Geocities.ws

1