
2冊のノートを読み終えた時、部屋は既に夕暮れに染まっていた。
この物語が事実なのかどうかは僕に確認する術はない。
しかし、僕はこのノートに記された事柄が事実だと思いたい。
2冊のノートは筆跡も、メーカーもまるで違う物だったし
その文面からは感情が滲み出てくるようだった。
僕はノートをテーブルの上に戻し、まとめてあった段ボールを捨てに行った。
段ボールを捨てるついでに散歩に出かけようと思い、適当に街を歩いた。
太陽もほとんど沈み、そろそろ帰ろうかと思った時、何故か見覚えのある風景に出くわした。
こうやって街を歩くのが今日が初めてなのに、何故かこの風景に見覚えがあった。
少し考えて、それがあのノートの風景である事に気がついた。
線路沿いの道、左手に夕陽。
間違いない、あのノートは事実を綴った物だ。
僕はノートに書いてあった風景を思い出しながら、あの海へと行ってみようと思った。
程なく海にたどり着く事ができた。
此処が、あの海か・・・。
そう考えると、不思議な感じだった。
この海で二人は、愛を語ったのだろうか・・・。
その時僕の後ろから砂浜へと降りてくる一組の男女の声が聞こえた。
「ここに来るのも1年ぶりか」
「そうね、丁度去年の今日だったわね」
そう言いながら彼らは波打ち際へと歩いていった。
僕は彼らの指に革ひものリングがあるか確かめたかったが、月の光が逆光になって確かめる事ができなかった。
諦めて帰路につこうとしたその時、女の人の声が耳に入ってきた。
「明日、晴れるね」
-了-
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