放浪者の読んだ本A

日本語を忘れないように!
旅行中に本を読むというのも時には良いものだけれど限られた時間のなかで読書するというのはなかなかに難しい。でも放浪なんかしてると時間がいくらでもあるような気がしてきて逆に本でも読まないとやってられなくなる。大体放浪も一年目までならまだマシだけどそれを過ぎると だんだん母国語がおかしくなってきたりする 漢字なんてものは読むことはできても書く時に思い出せない。放浪してる国で現地語を勉強するには良い環境と言えなくもないけどベースになる日本語を忘れたら元も子もないのでやっぱり本を読んで日記を書くぐらいのことは続けてないとね。



 INDEX 2
清水 義範    『スシと忍者』
開高 健    『生物としての静物』
Jim Rogers  『21世紀徹底大予測  【この国が買い、この国は売り】 天才投資家の世界バイク紀行』
Denis Banks 『聖なる魂』
司馬 遼太郎   『風の武士』
坂口 安吾    『肝臓先生』
武者小路実篤   『友情』
トルストイ    『戦争と平和』
ジルベルト ディメンスタイン 『風みたいなぼくの生命』
アガサ クリスティ 『オリエント急行殺人事件』
下川 裕二   『アジアの弟子』
芝山 幹郎 (翻訳)   『ウォールス トリート』



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『スシと忍者』     清水 義範  講談社文庫(329P) 

チャンバラマニアの"ヘンなガイジン"ジム・ストーニーは訪米経験のない 著者の空想から生まれた、と著者自身の後書きにあったけど、サウスダコタの言葉を 東北弁に訳したように書いて主人公のジムの純朴さを表現している。さすがにこんな 奴はいないだろうなと思うけどいかにも自然だ。たとえ田舎者でもアメリカ人らしく 信念を持ってそれを貫くところなど読者を納得させてしまう観察力だ。
著者はまた異文化の交流を面白く感じると言っている、よって旅行好きなのだそうだ。 だからこの本も旅行好きな人の多くに支持されると思う。 たまに読むユーモア小説としてはとても面白い本の一つでしょう。


メモ
『ナポリを見て死ね』

『日光を見ずして結構というなかれ』

科白=セリフ=台詞

ラシュモア山 G.Washington、Jeferson、Rincon、FDR



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『生物としての静物』     開高 健      


感想
このエッセイはエクアドルの安宿スークレで手に入れアマゾン川を下っている時に読んでいた。 作者 開高 健の『物』に対する執着を綴ったエッセイではあるけれど戦後間もなく彼の少年 時代の追想から取材で世界中を飛び回った晩年のことまで多く語られていて良い。 開高 健 はガキの頃コッソリ買い読みふけった月間プレイボーイ連載の『オーパ オーパ』 を一度読んだきりで(釣りの好きなおじさん)くらいにしか思っていなかった。 そしてその『オーパ オーパ』のなかで作者が、今ぼくのいるアマゾン川の大魚にも挑んでいたことをあらためて知った。その釣行記で南米を縦断したとも書いてあり驚いた。 そしてものすごく親近感を抱いた。さらにびっくりしたのは、三十五年前彼がヴェトナム戦争で報道カメラマンとしてサイゴンにいたとき200人中17人生き残るという経験をし、そしてその後毎年その日に一人酒を飲むことを習慣にしてきたというその日がちょうどぼくがそのページを読んだ日だったことだ。サーと鳥肌がたった。開高さんは数年前に亡くなっている。やっと戦死した友人、知人たちのところへ行くことができたのだろう。そしてぼくも普段はあまり飲まない酒をアマゾン川を共に下っている友たちと一緒にあけた。一度で好きになったこの作家と彼が愛した川底の魚たちのことを思いながら。



メモ
p24 アラジンのランプのようにラッキーに火をつけさえすれば三十五年の歳月が消えて 煙のなかから大魔人や小魔人たちが群がって、さきをあらそってあらわれてくる。

p25 レイモンド・ロウィ
ラッキーストライクの日の丸やピースの鳩、口紅、機関車のデザインまで手がける

Lucky Strike
箱に『It's toasted』と書いてある。当時はLucky Strike Means Fine Tabacco の頭文字 『LSMFT』とも書いてあった。


’60 後半 サイゴン路上の弾除け呪文彫り屋がジッポーに彫った文字

『 Yea Though I Walk Through the Valley
   Of the Shadow Of the Death I Will Fear
No Evil For I Am the Evilest Son Of
    A Bitch In the Valley 』


グレーン 木理(もくめ)

『ブライヤー』
パイプの原料、地中海沿岸からアフリカにかけて育つ潅木、白い花を咲かせる、山芋のようなゴツゴツした根を日干しにしてから使う

『小さな偉大な戦士』=“ウェンガーナイフ”
WWU アフリカ戦線(ロンメル将軍、モントゴメリー将軍)においてあるイギリス兵がこわれた無線機をたまたま持っていたウェンガーナイフで応急修理して打電した情報が連合軍を勝利に導いた。後にそれを知ったチャーチルが言った言葉。

『ギャラガーズ』
NYブロードウェイからちょっと入ったところにある肉料理店、客層は貧富様々。ビフテキ専門。Black Angas(黒牛)

肉の焼き加減
ブルー・ド・ブルー=鉄板の上をころがしただけ
ア・ポアン・セニャン=ミディアムレアのレアより

『パパラギ』(立風書房)
ヨーロッパ帰りのサモア諸島酋長が島民にした演説集
《どのようなパパラギ(白人)も職業というものを持っている。職業とはなにか、 説明するのは難しい。喜び勇んでしなくちゃならないが、たいていちっともやりた くない何か、それが職業というもののようである。》

P80 『たまに何かのマチガイで作品がヒットしても印税は七割か八割、税金で持っていかれる』

P95 『一九六五年の二月十四日にヴェトナムのDゾーンのジャングルで二百人中十七人生き残るという経験・・・・・』

P150 『フランス人はポケットにいつも木の切れっぱしを入れて歩き、前方からイヤなものがやってくると・・・・・』

P162 ゲッコ ゲッコ(ヤモリの一種)、東南アジアではトッケーと呼ばれる。ヴェトナムではカッケーと呼ばれ、続けて七回鳴くと幸運がくる・・・・・

P166 正露丸の匂い=クレオソート

P168 梅肉エキス
『旬の最盛期の梅をどっさり買いこみ、一粒ずつ洗ってフキンで拭き、傷やシミのあるのを捨て、大釜いっぱいにつめこんで文火で何時間となくクツクツ、コトコト煮つめた・・・・・』

P177 『阿片』
煙管はラオスの竹がいいとされ、・・・・・この竹筒の下に穴のあいた小さな円盤がつけられている。長い針をチンキの小瓶につっこんで一滴をひっかけ、豆ランプの火であぶる。玉がプクプクとふくれる。それをまた小瓶につっこみ・・・・・というぐあいにして玉を少しずつ大きくしてから円盤のふちになすりつける。両手に煙管を持ち、ランプに円盤をかざし、一挙に、一息で吸いこむ。だから阿片は“吸う”のではなく“食べる”ものなんだと、フランス語で教えられる。フェメでなく、マンジェであると。

P186 『カンジェロ』アマゾンに住むナマズの一種、一見ドジョウに似ていて他の生物の穴に潜りこむ習性がある。

P201 『カラコッチャ』パーツ寄せ集め自動車
《カラコッチャとカラコッチャがぶつかるともう一台新しいカラコッチャが生まれる。》

P202 『ペルーのリマで知りあったヤマグチさんという初老の日系人は・・・・・一メートル近い雲古を切れ目なしに・・・・・コルビーナ(イシモチ)の鱗を逆にこそいで・・・・・』

文房清玩


作者プロフィール




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21世紀徹底大予測 【この国が買い、この国は売り】
天才投資家の世界バイク紀行 Jim Rogers



感想
スークレにいた時いいかげん読みたい本もなくなってきた時にふとこの本と 巡り合った。日本の書店では【経済】のコーナーにでも置かれそうな長ったらしくて 胡散臭い副題のついたタイトルを見て一体誰がこんな本を南米までもってきたんだろう? と不思議に思った。でも実際に読んでみるとこれはなかなか面白い読み物だった。 今時の投資家なんてものはコンピューターの画面上で何億もの金を動かしていて まるでゲーム感覚だというけれど、この大金持のアメリカ人は自らオートバイを 駆って世界を巡り、その訪れる国々の文化や歴史までよく勉強し、現地の高官や 投資家と直接話して21世紀の景気を占っている。 その現場主義とも言うべきやり方と分析の仕方はいかにもアメリカ人の実務家らしく て好感がもてる。 実際はそれほど経済的発言を前面にだしてもいなくて単に旅行好きな人にも読みやすい と思う。第一これほどの金持ちがわざわざ危険な第三世界なんかをしかも恋人と二人 オートバイで行く必要もないのに、いやそこがこの本の面白いところだ。 実際はただ単に旅行がしたかっただけなのかもしれないなあ。

メモ
1エーカー=4、000u

世界には歴史的に14のアルファベットがある

世界で4番目に人口の多い国はインドネシアで、イスラム教国である。一億人以上を 擁するパキスタン、またバングラデッシュも然り。インドだけでも9、000万人ほど のイスラム教徒がいて、それを独立国にするとしたら世界で11番目の国になる・・・・・ ソ連の人口の一五パーセントがイスラム教徒・・・・・

『サマルカンド(ロシア)は自分の目で見るもの』 前3、000から4、000年の 遺跡。アレキサンダー大王の征服。十四世紀ティムール帝国の首都。

ソ連は一二八の異なった民族、言語、宗教のグループを抱えており

マレーシア人口三分の一は華僑・・・・・おそらく5、000万人から一億人の 華僑が莫大な富を持って世界各地にちらばっている。

『人生においては、何をすることもできるが、全てのことをすることはできない。』

『妻子は富の敵である』(ベーコン)

ナイジェリアではHotel Antelopeの主人に気をつけろ

ジンバブエではムーンインに泊まるといい

ダイヤを売って、エメラルド、サファイア、ルビーを買え

アフリカ大陸の上から下まで、直線距離にして八〇〇〇キロ、走行距離にしておよそ 一万八〇〇〇キロ

一九一四年までは米国は世界最大の債務国だった。一九世紀に膨大な借り入れをして インフラを整備した・・・・・一九世紀の米国はちょうど今日のアフリカやシベリア のようなものだった。

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『聖なる魂』  Denis Banks  訳:森田 ゆり  


感想
カナダのヴァンクーヴァーにいた時安酒場で名前は失念したが一人のインディアンと出会った。 彼は「お前たち東洋人は俺達と似ている」と言った。その時もうかなりの数のビールを空けて いた様だった。彼は路上で木彫りのインディアン工芸品を作って売っていた。売り上げは 全部ビール代になるという。その時は彼の言っている意味がわからなかった。
後から聞いた話ではインディアンの末裔たちのなかには今もなお国から生活保護を受けて 暮らしている者も多いという。きっとカナダで会ったインディアンも生活は保証されていた のだろう。だから稼いだ分は飲み代になる。でも一体なんで彼はあんな目をして酒を飲むの だろう?
それから、北米を離れて一年以上たった頃この本に出会った。

ラテンアメリカでは中世ヨーロッパ人の侵略を受けておびただしい数の先住民が 殺戮され、犯されて今日ではその純血種族を見つけることは難しい。
対して北米インディアンはやはり大量殺戮(戦争を含む)によって絶滅した部族も多いが、 つい最近までは純血の人々が多くいた。スペイン人やポルトガル人のようなラテン系国家の 入植方法に比べてイギリス人の方法のほうがジェントルだったのか、北米インディアンのほう が南米インディアンに比べて生に対する執着が強かったのか、分析するのは難しいし、とても 一言では言えない。そして今日先進国となった北米の国家アメリカ合衆国とカナダは過去の インディアンに対する冷遇を改め保護している。そのきっかけとなったその国内戦争とも言う べき事実についてぼくはこの本を読むまで一度も聞いたことがなかった。基本的にアメリカと 仲の良い日本の国家機関である文部省が教科書に載せられなかった事実。
しかもその運動の火種は中米グアテマラで起こりそれが野火のごとく一斉に北米まで広がっ ていったということ。驚くしかない。もう歴史としてしか受け止めようがない この事件がほんの数十年前のことだったなんて本当に驚くほかない。
純血のインディアンはまだ残っているけど自然と一体だったインディアンの生活と文化を 継承するものは年々減っていく。彼らをアルコール依存症や麻薬中毒に追い込んだのは侵略 者達だけれどどちらにしても後戻りはできない。著者自身幼いころに部族の言葉を取り上げ られて、以来どうにもならないジレンマと戦いながら生きてきたが自己のアイデンティティ ーを取り戻すために立ち上がった。そして勝ち取った。この本はその記録だ。

乳児期に蒙古班をもつという共通の特徴をもつ我々東洋人とアメリカインディアン、性格的 にも共通点の多いこの人たちが21世紀にはすばらしい発展を遂げることを期待したい。

メモ
藤井 日達

アニシナベ(最初の人間)

ミネソタとは「霧のたちこめる水面」 :オグララ ラコタ(スー族の言葉)

アジブワ(チペワ)

イロコイ六カ国連合 オノンダガ国

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『風の武士』    司馬 遼太郎


感想
司馬遼太郎作品も初めて読んだ。日本にいる時どれだけ本を読まなかったかがよくわかる。 以前から読書は好きだったのにだ。日本に暮らしていると『時間がない』なんて平気で 言うけど放浪してる今思えばそんな日々がおかしい。 著名な著者の名前はずっと前から知っていていつか読みたいと思っていただけにその作品 によせる期待感は膨らんでいたのだけど少しイメージと違っていたのでがっかりしてしまった。 時代小説といえば以前読んだ『柳生非情剣』が印象的でそれがかなりぼくのツボを刺激したの で同じようなモノを期待してしまっていたからかもしれないけど、とにかくこの『風の武士』 は隆 慶一郎の生み出す緊張感とは少し違っていて、もっと奇想的であってそこがこの 司馬 遼太郎という作家の味なのかもしれない。 最初に読む作品が面白かったか否かににって二冊目を読むか否かにある程度影響してくる のは当然だけどぼくが司馬遼太郎の他作品を読むことになるのはいつだろうか。

メモ
月読み(ツクヨミ)の明かりで・・・・・

作者プロフィール
十五年のサラリーマン生活を経て38歳時作家になる。



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肝臓先生  坂口 安吾  


感想
五つの短編からなるうちの最初の三編はなんとなく坂口 安吾の私小説的な匂いの するものだ。昭和の初期の雰囲気が男女のイヤらしさとともによく伝わってくる。 同時代の他の作家たちの小説とくらべてもわかりやすい。平成の読者にも伝わりやすい ような気がする。時代を超えて理解を得る文芸や美術を生み出すアーティストたちとは きっと皆一様に安吾のようなスケベに違いないんだ。

メモ
『魔の退屈』
『私は海をだきしめていたい』
『ジロリの女 −ゴロー三船とマゴコロの手記−』
『行雲流水』
『肝臓先生』


スタンダールの文体

『あちらこちら命がけ』

『無頼派』


作者プロフィール
坂口 安吾(1906〜1955)
『堕落論』
『白痴』
『桜の森の満開の下』
『不連続殺人事件』



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『友情』  武者小路実篤  


感想
好きになった女性が親友のものになり、最後はあきらめ身を引くが 仕事では負けないぞと誓う、すごく昔風の単純で爽やかな友情を描いた短編。 本編はともかく後書きにいろいろ書いてあって楽しい。

メモ
登場人物:
野島(脚本家)
大宮(作家)
杉子(野島の恋しいひと)
仲田(杉子の兄)
武子(杉子の友人、大宮の従妹)

色即是空(般若経)
『色』とは有形の万物のことで、万物はすべて因縁によって生じるもので その本性は『空』(実在しない)という意。

Vladimir Iliich Lenin(1870〜1924)
 1917年10月革命に成功しソヴィエト連邦樹立

Henrik Ibsen(1827〜1906:ノルウェイ)
 劇作家。『人形の家』等。『近代劇の父』と呼ばれる。

Lev Nicolaevich Tolstoy(1828〜1910)
 ロシアの作家『戦争と平和』『アンナカレーニナ』等

『人を射んとせば先ず馬を射よ』(杜甫:唐の詩人)

Dante Alighieri(1265〜1321:イタリア)
 詩人。9歳でPortinari Beatriceに出会い愛を感じたが、彼女は他の男性と結婚し 24歳の若さで死去。彼女に捧げる詩集『新王』を発表し天才の評価を得る。 長編叙事詩『神曲』にも、地獄から天国へ導く女性として描いている。

Leonardo da Vinci(1452〜1519)
 イタリアルネッサンス期の代表的画家、建築家、彫刻家。 壁画『最後の晩餐』(Milan,グラツィエ寺院)、『モナリザ』など。 医学、物理学、土木工学、天文学の発展にも貢献。

Michelangelo Buonarroti(1475〜1519)
 レオナルド ダ ヴィンチと並びイタリアルネッサンス期最大の画家、建築、彫刻家。  『ピエタ』『ダビデ』『モーゼ』『マドンナ』『最後の審判』等。

Rembrandt Harmensz van Rijn(1606〜1669)
 オランダの画家。『夜警』等。

Romain Rolland(1866〜1944)
 フランスの小説家。劇作家、批評家。『ジャン クリストフ』等。

Albrecht Durer(1471〜1528)
 ドイツの画家。版画家、彫刻家。北方ルネッサンス代表者。『アダムとイヴ』等。

Ferdinand Victor Eugene Delacroix(1798〜1863)
 フランスの画家。ロマン派運動を起こした。『シオの虐殺』等。

Jean Francois Millet(1814〜1875)
 フランス、ノルマンディーの貧農出画家。『落ち穂拾い』『晩鐘』『鍬もつ男』等。

親鸞(1173〜1262)
浄土真宗の開祖。 「明日ありと思う心のあだ桜 夜半にあらしの吹かぬものかは」

女権拡張:1791年フランスのグージュ夫人が唱えた。

メーテルリンク(1862〜1949)
ベルギーの詩人 思想:互いに個性を認め合う、個性と個性の合唱


作者プロフィール
武者小路実篤(1885〜1976)
勘解由小路資承(かでのこうじ すけこと)の勧めで聖書、仏典、トルストイを読む。
学習院中等科六年時志賀直哉が隣のクラスにいた。
高等科をビリから4番目の成績で卒業し、十四日会を設立。
東京帝国大学哲学科中退。
ホイットマン、メーテルリンクを読みトルストイが拒んだ『個我の欲求』を肯定。
『白樺』を設立。
『お目出たき人』『愛と死』『幸福者』他500著作、書画54,750点以上。



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戦争と平和(上・中・下)     レフ トルストイ 


感想
エクアドルの安宿スークレに同宿していた坪ちゃんが日本から取り寄せた一冊500ページにも及ぶ超大作三巻を見たときはさすがにひるんだ。少し前に『ワイルドスワン』上下巻を読破していたもののその倍はあろうかというボリューム感と活字の小ささにだ。
 たしか中学生時代におやじの書棚にあったのを見つけ少しだけ読んでギヴアップしたような気がする。ところが今回読み始めるとその文章の美しさと形容の素晴らしさにすぐのめりこんでいった。おそらく昔読んだものとは訳者もルビや訳注の付け方も違うからだろう。

そして何より青春時代の忙しい時期と違って今はいくらでも時間がある。心にも余裕がある。 ブラジルのサルヴァドール ダ バイーアでアパート暮らしを始めた。毎日買ってきたレコードを聴きながら、夕方窓の下をタイコの行列が行進を始めるまで一日中涼しいタイルの床に寝そべって本を読んでいられるのだ。 200年前のロシアとこのブラジルほどかけ離れた世界もないような気がするけれどそこがまた楽しい。

登場人物が559人にも登るといわれ、しかもロシア人の聞き慣れないカタカナの名前に最初は戸惑ったけれどメモしながら読んでいたら何のことはない大きく分けて二つの大家族と一人の大富豪を主人公とする物語だ。背景にナポレオンの率いるフランス軍のロシア侵攻を置いて、というよりもその戦争に対する作家としての批判をその登場人物たちに代弁させている。 とはいえ登場人物ひとりひとりの考えや思いをあたかも本人のように描写してみせる。自然現象に対する描写とそれが人にどう作用していくのかといった記述など鳥肌が立つほど見事だ。

このように偉大な筆力を誇る作家はぼくの知る限り日本にはいない。 もちろんあくまで日本語版を読んだわけだから当然訳者の力というものもすごいのだと思う。これだけの大作にスキなく完璧な翻訳を施している。血の出るような作業だったに違いない。 この作品を読んでからどれだけ訳者が大事かということに気がついた。十九世紀以前の海外の著作は現在複数の訳者に翻訳されているものが多いのでこれからは誰の訳かということにも留意して読んでみたい。

最終章でくどいほど戦争について述べているけれど結局戦争はなくならないし誰がやらなくても他のだれかがやるんだとしかぼくには思えない。トルストイもナポレオンがやらなくても他のだ れかがやったに違いないといいたいのだと理解したが。

読後の印象としては戦争よりもむしろナターシャの健康的な恋や自分と重なるアンドレイ ボルコンスキー公爵の立派でくだらない人生観やピエール伯爵の愚かさが心に残った。
トルストイのもう一つの代表作『アンナ カレーニナ』に巡り合うのはいつだろう。

メモ
1805年7月 皇太后:マリア フォードルブナ
ピエール ベズウーホフ伯爵
イリヤ ロストフ公爵、ニコライ、ナターシャ、ペトルーシャ
アンドレイ ボルコンスキー公爵、マリア

クラヴィコルド―ピアノの古い形

鯨の骨でふくらみをつけた胸元に・・・・・

「スターンが言っているでしょう、『われわれは、むしろ人から受けた善のためよりも、人にほどこした善のために、その人を愛するものである』・・・・・」

ツーロン―地中海の軍港で、一七九三年のフランス革命の際にナポレオン大尉はここで王党派の反乱を鎮圧し栄光への第一歩を踏み出す

旧ロシアの単位
1アルシン=71.12CM
1プード=16.218KG

『女というものは自分の年齢のことを言ったあとは、何かを期待しながらきまってちょっと口をつぐむものである。』

『真実を語ることは非常にむずかしいことで、若い人でそれができる人は非情にまれである。』

官囲=馬の膝と球節中央部の寸法

フリーメーソン:生徒、同僚、修士、大修士の段階がある

プラトン カラターエフ



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風みたいなぼくの生命     ジルベルト ディメンスタイン
               序文:ジャン ローシャ 訳:神崎 牧子 解説:小高 利根子



感想
日本から出たとたんに見慣れぬ人々をみるようになった。乞食だ。日本でも十年も前なら東京などの大都市の高架下などでよく見かけたが、ここ最近はほとんど見なくなっていた気がする。ぼくが日本を出た二年前はあらゆる業界が業績不振に悩んだ末リストラクチャリングという新しい外来語を持ち出して人員削減にいそしんでいた。そんな時期に大して役にも立たないぼくのような人間が辞めますというのを引き止めてくれる会社もあったけれど、一方20年勤めた会社をいきなり首にさせられたことを家族に言うこともできず朝出勤したフリをして公園で丸一日時間を潰してから帰宅するという人々がいたという悲しい話もきいた。
数年前にチーマーなる不良少年グループが一時的に都内に台頭して『親父狩り』なんていうことをして世間を騒がせたけれどそれと同時に浮浪者狩りもおこなわれていた。その後チーマーという名称は無くなったようだけどそれ以来乞食も見かけなくなった。
果たして今の日本もこのブラジルのように乞食で溢れかえっていたりするのだろうか? 帰国するのが怖い。
とは言えキャッシュカードで出金する際いつも円安が気になるものの、結局ブラジル通貨のヘアルは円に輪をかけて安いので個人的にはホッとするのである。

ブラジルバイーア州のサルバドールで元JAICA職員のヒトシから譲り受けたその本は【BRAZIL:WAR ON CHILDREN】という英語訳されたものから日本語版がだされたらしいのだけど『風みたいなぼくの生命』という一見詩的なタイトルとクレヨンタッチで描かれた二人の少年の表紙絵をもってぼくの手に渡ってきた。
ところが読みはじめるとこの本がブラジルの貧困層の少年、少女たちが虐待を受け、そして虫けらのように殺されているという事実を告発するノンフィクションであることがわかった。
原文は10年前にブラジルで路上生活する少年少女を中心に取材されたものでそれが21世紀を迎えた今でも続いているとは信じたくない。しかしブラジル滞在6ヶ月になったぼくが見る限り各地にあるファベイラと呼ばれる貧困層居住区が今もこの国の顔の一つであるということは間違いないし、それはこの数十年変わってはいないのだ。

アメリカからこの旅をスタートしたときからぼくは物乞いする人々に結構な額の小銭をせっせと渡してきた。ところが北米から中米そして南米とくだってくるとだんだんその要求が多くなって来る。あるときこのままではぼく自身が破錠してしまうことに気がつきそして施しをしなくなった。
ブラジルのバイーア州から北の沿岸部は一年を通して温暖であり路上生活もよほど南部の地域に比べたら楽であろうし、カポエイラ(バイーア中心に発展した武道)の真似事をしてゴルジェータ(チップ)を要求する元気な少年を見ると(もっと全うな仕事をするべきだ)などと思ってしまう。でも彼らの側に立って書かれたこの本を読むとそんなことはとても言えなくなる。術がないのだ。弱肉強食は先進国の人間社会にあっても言えることだけれどここにある現実からは目を背けたくなる。単純に貧しいというだけの問題ではないから。

ブラジル政府が電気も水道も整備せずに不法に住み着き形成されるファベイラを黙認しているのは大貧困層を援助することなしにブラジル経済ピラミッドの底辺を担ってもらうためだとこの本には書いてある。それが本当だとしたらなんと醜悪な社会システムだろう。でもそれを変えることは日本の構造改革と同じように大変なんだろう。

世界に貧困は溢れているし残虐行為も数知れないだろう。しかしぼくはブラジルを旅していて多くの優雅に暮らす人々をも見てきている。日本で中流の生活を送る金があったらここではかなり広い家、車、食事、ファッション、娯楽のある生活が約束される。永遠に解決されない貧富の差はよい。底辺の底上げが必要だということ。そう、本物のサルヴァドール=救世主、ジュスティセイロ=正義が必要なんだ。

内容については触れないがぼくが同じ思いを抱いた訳者、神崎 牧子さんの後書きを一部抜粋しよう。

ブラジルの人々の苦闘の模様を、旅行のついでに購入できてしまうということに対して、一種の申し訳なさのようなものを感じる。まるで切り身にされた魚のパックをスーパーマーケットで買うような手軽さだったからである。漁に伴う危険はない。口に合わなければやめればよい。これでは単に自分のぼんやりとした日常生活の「刺激」として、他人の痛みを利用しているにすぎない。・・・・・

彼女は自分の無力さが、この本の翻訳ができたということで多少軽減されたとも書いている。今のぼくにはせいぜいその本をHPで紹介することくらいしかできない。あとはやはりゴルジェータ(施し)をあげることか。


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オリエント急行殺人事件  アガサ クリスティ  訳:蕗沢 忠枝 


感想
旅の途中に読む読み物としてはなかなか適当なのが手に入ったと喜んだ。この前に読んだ『風みたいなぼくの生命』ともどもサルヴァドールで知り合ったHitoshiから譲り受けた本だ。列車移動中だったらなおさら雰囲気があったかもしれないけれどこれを読んだのはブラジル北東部の美しい砂丘の広がる海辺のリゾート、ジェリコアコアラのとあるホテルの一室と昼間のビーチを望むレストランバー。半日で読了した。
ずっと以前にアガサのポワロ物は何冊か読んでいるけれどはたしてこの作品ほど稚拙であったかな?と思ってしまったのは、容疑者のほとんどが犯人という強引なプロットだけにあらず、その描写の不十分なところは訳者にも責任があるようだ。
「イギリス人は人を殺すのにナイフは使わない」とか「そんなめちゃめちゃな刺しかたをするのは女に決まってます」とか「ラテン民族の犯罪ではなく・・・・まあ、アングロサクソン系でしょうな」など性や民族の特徴を効果的に使う台詞が多く面白い。20世紀前半にヨーロッパを中心に支持された女流推理作家の一つの特徴ととらえてみればそうムキにコキおろす必要もない。そう、半日でサラッと読んで地球の裏の秘境に置き去りにしても構わない本。そんなイージーノヴェルもこんな旅にはよいものだ。



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アジアの弟子  下川 裕二 


感想
最初に思ったのは、やはりこの手の本は出ていたんだということ、そしてこの手の人はアジア派の人なんだということ。ぼくはこの最初の旅で【ラテン】というものに強く影響を受けた。最初にインドなどアジアでカルチャーショックを受ける人はその後の旅のスタイルどころか、人生までも変わってくるのではないだろうか?
著者の下川さんは完全にアジアで人生変わってしまったみたいだ。ぼくはアジアでどう変わるんだろう? 今からそれが怖くもあり、そしてもちろん楽しみでもある。

メモ
パキスタン航空=PIA ・・・Pahaps I Arrive(多分、着くだろう)
スーダン航空=SD・・・・・Sudden Death(突然死)

アジスアベバ・・・・・市内に二十万人もいるといわれる売春婦・・・

ヒンズー教の人生の4つのステージ
1.学問をする時期(学住期)
2.家族と共に暮らす(家住期)
3.家を離れ森へ入る(林住期)= 子と別離。夫婦は一緒で良い
4.物乞いをしながら死を待つ(遊行期)= 夫婦も別離

一般にGNPが一万ドルを超えたら先進国といわれる・・・・・





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ウォール ストリート    芝山 幹郎 訳


感想


メモ


作者プロフィール




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