Toronto

日   加   学   園     

Nikka Gakuen



  ◆ ご父母代表、稲葉宇多子の挨拶   



 


 
     日加学園25周年によせて   稲葉宇多子  2003年12月


  日加学園25周年おめでとうございます。 25年の間には、沢山の父母の方々が日加学園とかかわって来たわけですが、その中からご指名をいただきまして大変光栄に思っています。 創立20周年記念誌(注1)でも、書かせていただきましたが、この学園は創立当時学齢期に達した子供たちへの日本文化の継承としての日本語教育の必要を感じた、有志の親たちによって創られました。どのような家族構成の人たちがこのトロント周辺に在住するのか、子供の日本語教育にどのような関心を持っているのか、そうしたアンケート調査を基に学校が作られたわけです。

   25年の歴史のなかで、その時代にあった教育をつづけて来られた歴代の校長、先生方、それを支えてこられた理事、役員の方々、本当にありがとうございました。また、毎週、子供たちを励まし、学園につれてこられたお父様、お母様たち本当にご苦労様でした。

 今日は、この日加学園がただ日本語教育の場だけではないことをお話したいと思います。学園創立当時から私の子供たち二人は、日本語の勉強をしてきました。今では、36歳と32歳になります。特に32歳の娘の響子は、今、イギリスのロンドンで仕事をしていますが、トロントに戻りますと、日加学園時代のお友達との再会を楽しみにしています。彼女にとって同じような家庭環境で育ち、同じ文化を背景にして育った子供として、お互いに理解しあえる日加学園のお友達は貴重な存在だといっています。 特に、10代の難しい時代、周りのカナダ人の家庭と違う価値観を持つ親たちの子供として、沢山の問題を抱えていた時、同じ立場で苦悩している友達と話し合い、問題を乗り越えてきたようです。

 また、親たちもそうした問題を抱えている子供にどう対処したらよいのか、親たちも子供同様に、お互いに相談しあい、問題を解決してきました。親たちも日加学園を通じて沢山の理解しあえるお友達を作ってきたと思います。そうして、子供たち、親たちが、カナダでの新しい親類の様にお付き合いしている人たちも沢山おられます。 日加学園の卒業生の中には、すでに結婚して子供を持っている人たちもいます。やがて、その子供たちを日系三世としてどのように育てて行くか、考えていく時代になっているかと思います。二世としての自分たちの経験をどういかしていくか。日本文化としての言葉をどう伝えて行くか。二つの違った文化を背景にしている家庭が大半かと思いますが、その二つの文化とこのカナダの社会との関係をどう結びつけていくのか、難しいようにも、楽しい事のようにも思えます。

 私たち一世は、二世の子供たちをよきカナダ市民として育てたい、しかし、その中で自分のルーツである日本の良さも残したい、そうした思いでつくり、育ててきた学園ですが、その環境の輪がもう一つ大きくなってきた時、それにどう対処して行くのか、これからこの学園をつづけていく人たちの大きな課題かと思います。 これからも、私は日加学園にかかわってきた日系人として、関心をもっていきたいと思っています。どうぞ、皆さん、希望を持って前進してください。日加学園の発展をお祈りしています。




                   ≪次の写真集4へ続く。こちらからお入り下さい。≫
 

(注1) 日加学園創立20周年記念誌より

日加学園創立二十周年によせて 稲葉宇多子
 学園創立が二十年も前の事になるとは、時の流れの速さにおどろいてしまう。新移住者の子供たちが学齢期になった頃、有志によってその子供たちに合った日本語学校設立の活動が始まった。その当時は、国語教室準備委員会と呼んだグループから出発した。新移住者である親たちが、どの様な形で日本語をとらえているか、子供たちにどの様にして日本語を継承していくつもりであるか等、アンケート調査をおこなった。その結果を基にして、戦前からあるオーデ日本語学校の傘の下に、特別クラスとして誕生した。予想をはるかに上回る生徒があつまり、うれしい悲鳴をあげたことを思い出す。

 学園を誕生させる苦労よりも、二十年という長い年月を維持してき事の方が、大変だったのではないかと思う。歴代の校長、先生方に、心からお祝いと感謝を申し上げます。 学園創立の時から日加学園で学んだ私たちの子供二人は、それぞれ社会人となり、日本語を学んだ事を様々な機会で活用することがある。企業の中で、日本語の知識のある社員の存在が役立つ場面が増してきたのだと思う。 子供を良きカナダ市民に、そして、この社会に貢献できる様、親として一生懸命育ててきたつもりでいるが、その中に日本語教育もあった。子供自身が日系である事を誇りと思えるように、何時か、日本語を勉強したことが良かったと思えるよう祈っていた。今、この二十年を振り返るとき、その祈りはかなえられたと思っている。

 激しく移り変わるこの社会の中で、私たちは何をすべきか、個人の生活の在り方とともに、社会に向けても考えるゆとりを持ちたいものだと願っている。学園の教育の中に、どの様に社会とかかわっていくか、このあたりで計画してみる事も良いのではないかと思っている。日系社会とのかかわりと共に、カナダ社会とのかかわりも出来ればすばらしいと思う。創立当時と日系社会が大きく変わって来ている今日、私学として、どの様に続けていくか、その在り方が変わっても不思議では無いと、創立に係わった一人として思っている。
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