修復作品 油絵2




絵具層が乾燥しすぎてポロポロはがれる状態だったので、和紙をはがすときに、全部絵具が取れてしまうのじゃないかと、 心配しましたが、どうにか防ぎ、なんとか完成に至りました。

← 修復前(2002.3.13)

主題 : Padre Ioannes Cassanese
作者 : Vincenzo Basile F
寸法 : 76 x 97
地域 : ナポリ
技法 : 油絵
下方に記述のラテン語は「Angri(ナポリの近くの町)生まれの法王ジョバンニ・カッサネーゼは、とてもとても素晴らしい人物で、 汚れのない純真な魂を持ち.....1860年に76歳で永眠」との表記。

修復前の状態

キャンバス : キャンバス地はオリジナルである。既にワニス塗りされ、和紙が貼られ、その上、板に膠で接着されている。 (既に乾いて破れている)和紙の上からも、布地の破れ、損傷や色落ちが多数見られる。布地の縁はほころび、破れあり。
木枠 : 板に接着しているため、木枠なし
損傷 : 無数の虫の排泄糞あり。布地が板に膠で接着されている
下地 : 下地層は茶色。布地との粘着力、悪
絵の具層 : 色落ち多し。下地との粘着力、悪。(触れるとぽろぽろ絵の具が落ちる)


修復過程

表面の保護

キャンバスは既に和紙が貼られ、板に膠で接着されているので、 まず、最初に表面の絵具がはがれかけている部分に和紙を膠糊(材料レシピ) で貼る。

板からはがす

へらとナイフでキャンバスを板からはがす。

裏地洗浄

裏面を紙やすりで磨き、掃除機で粉を吸い取る。

Consolidamento(裏地の保護)

裏面に熱いcolletta;膠糊を塗る。

Foderatura(裏打ち)

裏地にColla di Pasta;パスタ膠糊を塗る。裏打ち用枠を準備し、新しい布地をかける。 これを絵の裏側に重ねてさらに上からパスタ膠糊を塗り、定着させる。

Stiratura(アイロンかけ)

これが乾いたら絵の表側からシリコン紙、新聞紙をひいて低温(45-50℃)でアイロンをかける。

Svelatura(ワニス取り)

熱湯とスポンジで表面を湿らせ、ナイフで表に貼ってある和紙を取る。

膠糊注入

和紙をはがすとき、紙といっしょに絵具もはがれてくる部分に注射器で膠糊を注入し、 キャンバス地と定着させる。乾いたら、その部分に再度アイロンがけをする。

Ripensamento(再思考)

熱湯で表面の洗浄中、右手の上に最初に描かれていた手を発見。

Montaggio(木枠に張る)

仮枠からはずし、キャンバスの大きさの木枠に張る。

Pulitura(表面の洗浄)

始めに、一部分だけ洗浄し、他の部分との比較をする。 その後、全体を洗浄。使用した溶剤は、アセトン、dimetil solfossido(デメチル硫化物?)、コントラッド10%、20%(弱い順に)。 絵具の色まで取ってしまわないよう注意。 中和用に、テレピン油、最後にワニス(vernice retouche 50%)を塗る。

Stuccatura(ジェソ詰め)

下地層のない部分に、うさぎ膠と茶色の顔料を混ぜたジェソをつめる。顔料を使用したのは、 オリジナルの下地層が茶色なため。乾いてから、キャンバスと同じ高さになるよう表面を紙やすりで研磨。 その後、またワニスを塗る。

Reintegrazione(着色)

ヴェルニーチェ(ワニス)絵の具で、ジェソの部分、色落ちの部分を彩色。

Vernice(仕上げのワニス)

ワニスをスプレーでかける。


←修復後(2002.6.28)





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