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「ヴァンパイアか・・焼けるか?レイナ」

魔女は微笑んだ。
いたずらな少女の微笑みだ。

「それが楽しみで潜るんだよ」

ヴァーンガルツは一つ溜息をつき、大きな地図を丸めた。

「これから十日、命を預かる」

「利子は高いぞ?」

レイナアッシュは革袋を腰に下げ、綺羅と輝く杖を手にした。
そして少し考え、護符を一枚リィンに手渡した。
氷の魔女はこのハーフエルフのような美しいビショップが余程気に
入ったらしく、強力な防御魔法を施したり、呪文を刻んだ指輪を
幾つも手渡したりと、至れり尽せりだ。

「・・いざというときはこれを使え」

「大丈夫よレイナ、私にはこれが・・」

答えながら、リィンはその護符に刻まれた呪文を読んで声を失く
した。

「っ、、これ・・」

し、、と指を口元にあて、レイナはまた微笑んだ。

「ただの『おまじない』さ」

「いくぞお嬢ちゃんたち、おめかしはそれまでだ」

ヴァーンガルツが剣を握った。

「用は済んだか?」

ド ウル ワトーが股間を指差しながら笑った。
リィンの回し蹴りが軽く鼻先をかすめる。

「いいのか、ヅェート
 あんた、そんな軽い着物だけで大丈夫かい?」

心配そうなヴァーンガルツにただ頷くと、ヅェートはその鋭い
眼光だけを残し覆面姿になった。
歩き出す彼に音は無い。

「心配御無用か、、いくぞ」

町が夜明けの紫に染まる頃、五人は暗黒の迷宮に向かった。


第四章『悪鬼の波動』につづく

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