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夕焼け-NOVEMBER-(Tactics '00)

人ってのは結局は自分が望むものを選び取って生きてるから、いくら外野があーだこーだ言っても本人にその気がなければどうしようもないんです(私信)。例えば僕に「根性だ! 根性を使え!」などと訴えたところで馬の耳に念仏なわけです。なんせ小学校の時から「キーワードはくうねるあそぶ」なんて言ってましたから。筋金入りの無気力人間です。だからと言って根性とか努力とか友情とか愛とか夢とかイワユルジャンプ的価値観を必要ないと思ってるんでもなくて、むしろなきゃいけないとさえ思ってますよ。ただそういうのを全力投球で投げ込まれると、こっちも全力で監督に代打を要請したくなります。僕は変化球待ちが主体ですから。でもバッターとしてはやっぱりストレートを打ち返したい願望が少なからずあるんですよ。僕が打ちたいストレートはコースギリギリに投げ込まれる直球。まあなんだ。「強がって自分に嘘ばかりついて生きてきた…でも…」とか「どうせ世界はくだらないし適当に生きてきた…でも…」とか「おちゃらけて生きてきたのは他人を信用できない裏返し…でも…」とか「ひとりでだって生きていける…でも…」とか、そういう類の直球。「…でも…」の部分がポイントで、僕だって自分の内向性だのコミュニケーション不全症候にはほとほと嫌気が差してるから、このへんえぐられると凄く気持ちいいんですよ(マイナス方向に)。ちなみにこれ読んでる若年層のみんな! 君達がまだ10代で「自分が」とか「他人が」とか言ってるならこれから先いくらでもやり直しがきくゾ!(20代半ばにもなって未だにンなこと言ってるともうおしまい)

『夕焼け』はまあそんな感じのキミが心に隠してる部分をえぐっちゃうゾ!系の話です。4組の少年少女の関わり合いをネタにこれでもかとプレイヤーの心に揺さぶりをかけてきます。表面上は何事もなく暮らしてるけどホントは悩んでる彼等に忍び寄る黒い影、もとい半ズボン。少年達は現実と非現実の間で、半ズボンによって、自分が見ないようにしていた部分に相対することを強いられます。日々の生活の中、繰返される観念劇。少年達に揺らぎを与える半ズボンは作者のペルソナ。作者自身の分身たるキャラクターと作者の内的な声の代弁者たる半ズボンとの対話。いやー、すんげえ直球も直球。

で、僕は喜んでバット(下半身の方じゃなくて)を振ったんだけど、見た目ほど球に勢いがなかったんですな、これが。球質軽すぎ。このテの作品では受け手に、キャラの言動を通して、彼等の苦悩を自分のものとしてどれだけ植え付けられるかが勝負になりますが、キャラが杓子定規にしか動かないからちぃーとも心に痛みを感じません。なんか予定調和なんですよね。『夕焼け』は確かに僕好みの内罰的(←エヴァで覚えた)メッセージ溢れる作品だったけど、それを扱う手腕がね。メッセージが表に出て来すぎちゃって、キャラの動向が全てそこに従属させられるところはかなり問題あります。キャラクターをどう描こうとそれは作者の勝手だけど、キャラが作者の言葉を伝える道具でしかないというか伝える為にキャラが犠牲になるというのは、僕としては抵抗があります。

犠牲ってのは陵辱シーンのことじゃないですよ。エロゲなんだし選択肢(AVG的な意味での選択肢じゃなくて並行世界的な意味合いでの選択肢ね)のひとつとしての陵辱でキャラの心に揺さぶりをかけるのは手法として完全に確立されてるし、僕は別にそのことに対しては特に何とも思いません(趣味がいいとは思わないけど)。僕が問題だと思うのはキャラが完全に作者のメッセージの支配化にあって、キャラが生きてるって感じが全然ないところです。もっとこう無駄なエピソードとか入れないとキャラに人間臭さって出ないと思うんですよ。これは4つの話を詰め込んだ結果、ヴォリューム的にひとつひとつの話がタイトにならざるを得ないってことも関係してるんでしょうけど。

陵辱シーンもねえ。それなりに重みはあるけどさ。陵辱シーンが重要なんじゃなくて、それを見た後キャラがどう受け止めるかの方が重要って感じだから、そこでいったんマウスを置いてバット(これは下半身の方)を握ろうなんて思わないんですよね。最終シナリオの陵辱メドレーだったら涼香との普通のエロシーンでヌきますわ、僕は。根性で(僕の根性はこういうしょうもないことにのみ発揮される)。

そんなわけでお話としてはあまり良く出来てるとは言えないです。作品全体を取りまとめる力場がシナリオライターの頭の中にあって決して外に出ていない感じです。ちょっとドラッギーな構成とか説明描写を極力避けるところ(個人的にこれはよくやってくれた! って賛辞を送りたい)とか僕好みの要素もあるんだけど、全体として見ると未熟さが目立ってしまいます。比喩が時々凄いことになるし。まあそれでもやっぱり半ズボンの言葉は結構キます。読み流せません。読んで沈めて回答を捻り出そうともうまくいかないって作業の繰返し、僕は好きなんだな(←暗いヤツ。それにそんなもんエロゲでやるな)。これでライターさんにキャラを生かす語り部としての力がもう少しあれば、お気に入りのゲームになったんでしょうけどねえ。あと半ズボンが出てくるシーンでは大体テクノ系のBGMなんですけど、潜在下の世界の雰囲気にマッチしててなかなかイイ感じでした。そういえば『夕焼け』のBGMって生ギター入りが売りなんですけど、僕にはあんまり合わないタイプのギターの音色でした。僕はユガんだヒズんだ轟音ギターかヘロヘロな脱力ギターかガラス細工のような唄うギターが好きなので。でもギター抜きにしても打ち込み主体の楽曲の方が良く出来てたと思います。

不満だらけのゲームではあるんですけど、自己掘り下げ系の話を恥ずかし気もなくエロゲでやるって態度は、恥ずかし気もなくエロゲで自己言及したがる僕みたいな人間には無視しきれないんですよ。個人的な呟きをそれっぽくエロゲのテキストにしただけと言われても何の反論もできないゲームなんだけど、寝る前にきっちり15分は自己嫌悪に勤しむ僕にとっては、このゲーム、なんとなく捨て切れないモノがあります。現段階では未熟さしか感じられないけど方向性は僕の趣味に合ってるし、このライターさんの次の作品も買ってみようかなとは思いました。

珍しく批判チックな感想文になってますねえ…。でもさ、新生Tacticsにこんな直球投げられたらこっちとしてもちゃんと打ち返さなきゃいかんでしょう、やっぱり(狙いは華麗にセンター前、結果は二遊間の深いところに転がったボテボテの内野安打)。

[ 好き:川嶋涼香 ]
ほら僕ってアスカにまずルックスでやられたから。こーゆー髪、顔、無条件に好きなんですよ。コラ、そこ。パクリじゃーんとか言わない。こういうのは確信犯なんだから。いーじゃん好きな娘モデルにキャラ作るくらい。中身は全然違うんだし。まあ僕も首絞めるのはどーかなーとか思ったけど。あ、涼香は間違っても「気持ち悪い」なんて言いません。

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