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終末の過ごし方(Abogado Powers '99)

終末との出会いはやはり絵からでした。何気なくパラパラとめくっていたエロゲ雑誌で見つけた滅茶好みの絵。淡い色彩。媚びてないキャラデ。エロゲの世界ではまず見ることのできなかった画風。言わずと知れた小池絵です。当時はまだエロゲ界という魔空空間に身を投じてはいなかった僕ですが、小池絵にはすっかり魅了されました。それ以来小池さんLUV。

雑誌のゲーム紹介を読んでみると。個人的に死ぬほど好きな「静かな終末」モノじゃないですか。エロゲーってなんでもアリなんだなという淡い感動を覚えましたね。実際には別の意味でなんでもアリアリでしたが。ゲ購の600kHITを祝ったアレとか。コレとか。ソレとか。

キャラ紹介を見てみると。…一点突破なキャラ設定の主人公に轟沈。

《「どうでもいいし」。成績は中(ただしまったく勉強しない)。うどん好き。果物が好き(ただし自分で剥かないので結局あまり食べない)。無気力。》

…身に覚えが…。

《潜在的マザコン(自覚無し)。
競争が(優劣を決めるのが)嫌い。
ダメ人間(自覚有り)。メガネ。》

…グサッ。
…グサッ。
…グサグサッ。

…狙い過ぎ。ええ。見事に射抜かれましたよ。僕の他にもいるでしょ? 狙い撃ちされたヒト。そういうヒトは正直に手を挙げてー。初音ちゃんにはナイショにしとくから。

終末。小池絵。多分エロゲ史上最もプレイヤーに近い主人公。コレ、好きな人は間違い無く3点セットで好きです。なんて完璧なユーザー把握! こりゃ買う人は一部だろうけど、買う人は絶対に買うゲームだあ! とメーカー戦略に脱帽した記憶がありんす。なんでも3ヶ月で絶対に売れるゲームを作んなきゃいけない経営状況だったそうで。そんな大難問に見事な回答/解答。実際売れたし。そんなあぼぱLUV。

んじゃそろそろプレイの感想を。まずOP。…ふぅ。溜息ひとつ漏れるほど満足。もうOPだけでモト(中古\4980)はとれました。叙情的な音楽と赤い服の女の子が荒廃した街をかけていくイメージ。これだけで胸が一杯になる僕は、間違いなく安っぽい人間です。満を持してのタイトルコール。W/endの表記に初めて気付いて思わず二ヤリ。『The world is drawing to an W/end.』ってサブタイトルに胸詰まる僕はやっぱり安っぽいです。

で、本編。音楽は叙情性溢れるせつなメロ。絵は愛しの小池さん。両者ともに文句のつけようがありません。賞賛。賛美。讃唱。

さてシナリオだ! これは異常のなかで過ぎてゆく日常空間がかっちりと構築されていて、酔えます。諦観のムコウに有る静謐な世界。静かで穏やかな世界。静かすぎる穏やかすぎる世界。端々に終末感を思い出させてくれる描写を盛りこんでくれるから、混乱を突き抜けた静かな日常が生きてきます。また青臭い死生観なんかも随所に散りばめられていて終末感を煽ります。僕は青い思想は嫌いじゃないです。むしろ大歓迎。

なんといってもテキストが冴えまくってます。ちょっとおセンチな情景描写にいったい何度ハッとしたことか。雰囲気バッチシ。青さを隠そうとしない端正な文章が「終末」を美しく紡いでくれます。って僕やっぱり安っぽいですね。

なんつーか僕の終末観を物語として具現化してくれてるんですよ。堪らんです。美化しすぎの終末と言えなくもないんですが、これでいーんです。フィクションなんだから。

ストーリー的には主人公と娘サンとの他に2組のカップルも加えた3つの絆が終末世界で綴られるという感じなのですが、それぞれ、終末だからこそ見せる素顔、終末だからこそ繋がれる関係、ってのが作中うまく消化されてて感心しました。

ただちょっと主人公の救済&脱ダメ人間シーンが教科書通りで浮いちゃってるのが残念です。青臭い台詞なんかはワリと嫌いじゃないんですが、あんまりにも型通りじゃないですか? 主人公をああいう今時のダメ人間な設定にしたんだから、お決まりの無くてはならないシーンというのは分かるんですが、もう一工夫欲しかったところです。まあこれは一週間という短い期間限定の話だったというのも一因ですね。長めの話で主人公をもっと掘り下げてくれたら気にならなかったかもしれません。もっとも時間の限られた終末の世界で淡々と上から人物を描いて、深いところはプレイヤーに色々と読んでもらおうという作りのゲームですから、それは言っても詮ないですね。となるとやっぱり救済&脱ダメ人間シーンはちょっと冗長と言わざるを得ません。ラストシーンはみんな希望を残す感じで好きですけどね。

エロシーンは巧い文章ってのも考えモンだということで。

気に入ってるゲームではあるんですけど、静かな終末の雰囲気を味わう短編でしかないことは確かです。お手軽な雰囲気モノといえばそれまでですし、心に残る名作とは言い難いです。まあ雰囲気が半端じゃなく良いので僕的には満足してますが。でも週末に掛けないもっと長いスパンの終末モノが出来ていたら僕内エロゲカウントダウンのトップ3に食い込んできたしょうね。長尺だと雰囲気だけで流すことは出来ませんから、おのずと人の暗〜い深〜い部分を描かざるを得ないし。キャラ掘り下げ系イタい終末。ほんのり希望チックなラストは今作のまま。大槻さんならそのへん巧くやってくれそうだし、人工失楽園終ったらそんな本1冊出してくれませんかねえ。同人文庫で200P。

あと終末気に入った人はコレ読んでみてください。元ネタ。『渚にて』ネビル・シュート著。創元文庫のSFで出てます。問答無用のSF古典名作。読むと涙出そうになりますよ。

[ 好き:大村いろは ]
メガネっ娘大集合な終末ですが、ソソられるメガネはいませんでした。やっぱメガネは扱いが難しいっぽいですね。終末に関してはメガネ云々はどーでもいいッス。大村さんはエッチ後の母性発動のシーンが「そうくるかっ!」って感じで良かったです。

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