研究成果


    材料プロセス工学専攻  各種レーザ及びアークによる材料熱加工の開発と材料科学的問題点の解明 熱加工プロセス工学講座    助教授 クツ ナ  ムネ ハル       沓名 宗春 主な研究と特徴 生産技術の基盤をなす溶接、切断、表面加工などの熱加工技術を応用工学の1つと 大系化して教育及び研究するのがこの熱加工プロセス工学である。  アーク、プラズマ、電気抵抗熱、化学反応熱、電子ビームやレーザビームなどの熱 を利用した材料加工法は迅速かつ安価なことにより産業の発展を支えている。具体的 な熱加工プロセス(方法)としては  ・接合加工:溶接、ろう付、  ・除去加工:切断、穴あけ、マーキングクリーニング、切削・造形  ・表面加工:焼入れ、クラッディング、アロイング、グレージング などがあり、その科学的解明は未だ困難な点が多い。これらを材料学的にアプローチ するとともに、レーザのような高エネルギービームを熱源とした新熱加工プロセスの 研究開発を進めている。  当研究室ではレーザやアークを熱源とする材料熱加工プロセスの研究として次のよ うな分野の研究を行っている。 (1) アーク熱源による熱加工プロセス世界の産業用ロボットの約60%を保有 する日本ではそのうち約20%強が溶接ロボットであり、その適用上の問題点である 、スパッタの発生を最小限にすべく二重ガスシールドアーク溶接法の開発を行ってい る。溶接後、溶接継手性能が保証される必要があるが、この問題に対して、従来困難 であった、じん性(Toughness) の推定方法の開発、核融合炉炉壁材用高Mnクロム鋼 の溶接性の研究、ステンレス鋼溶接部の高温割れの研究、など溶接冶金学的観点から 機構の究明などを行っている。また、コンピュータを適切に利用したコンピュータ支 援溶接技術の研究開発も進めている。 (2) 各種レーザ加工プロセス ・炭素鋼のCO2レーザおよびYAGレーザ溶接に関する急速加熱の影響 ・アルミニウム合金のレーザ溶接時の気孔の発生機構に関する研究  ・レーザ加工用ビーム回転装置の開発 ・鋼のレーザ浸炭法の開発   ・アルミニウム合金のドロスフリーレーザ切断の研究 ・多点ビームによる表面熱加工に関する研究 ・アルミ合金のレーザ表面硬化(合金化)に関する研究 ・回転ビーム系によるレーザ表面加工の研究 ・ビーム回転装置を用いた金属表面改質の研究 ・レーザ表面溶融により溶接継手の疲労強度の改善   ・レーザによる金属材料の非接触曲げ加工の基礎的研究 ・レーザ材料診断技術の研究 2.4kWのCO2 レーザ装置(高速軸流形)及び300WパルスYAGレーザ装置を 用いて研究を進めている。なお、レーザ表面加工の研究を進めるため、レーザビーム 交差回転装置を研究室で試作し、ビード幅が8mmあるいは10mmの表面加工が可能に なった。ビームを2つに分割しそれを集光レンズでワーク上に絞り、高速回転させる もので。後に国内特許にもなった。  低炭素鋼のレーザ溶接に関する研究では、熱影響部にフェライトバンドとマルテン サイトバンドの2相組織になることを確認したり、極低炭素鋼(0.014%C)では溶接金 属にフェライト以外にベーニティックフェライトが溶接速度の増加とともに多量に生 成し、強度及び硬さが上昇することも確認した。アルミ合金のレーザ溶接における気 孔生成に関する研究では水素と合金元素であるMgが相互作用を起こし、気孔生成を 促進することを明らかにした。   また、レーザによる金属材料の非接触曲 げ加工の基礎的研究では変形モデルを提案 し、金属材料の固有の線膨張係数やヤング率の他に、高温での降伏点(又は耐力)が 重要な影響因子であり、各種ステンレス鋼 やアルミニウム合金の曲げ加工結果を模擬 できることを示した。図1は300WのYAGレーザにより非接触でステンレス鋼管 をくびれ変形させた試験片を示す。 図1 ステンレス鋼のレーザ成形加工例 今後の展望 今後、各種金属および異種材料のレーザ溶接・接合に関する研究、軽金属のレーザ 溶接、レーザにる迅速造形法、レーザ板曲げ加工、レーザ微細機能化加工などレーザ による付加価値の高い材料加工の研究を進めて行く予定である。 経歴 1967年名古屋大学工学部金属学科卒業、72年名古屋大学大学院工学研究科博士課程満 了、72年科川崎重工業入社、74-75年米国MIT客員研究員、82年川崎重工業退社、 82年名古屋大学工学部助手、85年同講師、92年同助教授、 所属学会 溶接学会、レーザ学会、日本金属学会、日本機械学会、日本材料学会、米国溶接学会 、米国レーザ学会、 研究室人員 学部学生8人、修士課程8人、博士課程3人、大学院研究生1人、 主要論文・著書 (1)Study on Double Gas Shielded Metal Arc Welding (Report 1),Trans.of JWS, 19,118-124(1988), (2)CO2 laser welding of A2219,A5083 andA6063 aluminium alloys,Welding in the World, 31,126-135(1993) (3)レーザーの科学(NHK Books675)(日本放送出版協会、1993) (4)レーザー加工の基礎(下)(共著)(マシニスト出版、1993) (5)レーザー切断加工(共著)(マシニスト出版、1996) (6)レーザー溶接加工(共著)(マシニスト出版、1996) 材料プロセス工学専攻  各種レーザ及びアークによる  材料熱加工の開発と 材料科学的問題点の解明   熱加工プロセス工学講座    助教授 クツ ナ  ムネ ハル       沓名 宗春 主な研究と特徴 生産技術の基盤をなす溶接、切断、表面 る。また、溶接継手性能が保証される必要 加工などの熱加工技術を応用工学の1つと があるが、この問題に対して、従来困難で 大系化して教育及び研究するのがこの熱加 あった、じん性(Toughness) の推定方法の 工プロセス工学である。 開発、ステンレス鋼溶接部の高温割れの研  アーク、プラズマ、電気抵抗熱、化学反 究など溶接冶金学的観点から機構の究明な 応熱、電子ビームやレーザビームなどの熱 どを行っている。さらに、コンピュータ支 を利用した材料加工法は迅速かつ安価なこ 援溶接技術の研究開発も進めている。 とにより産業の発展を支えている。具体的 (2) 各種レーザ加工プロセス な熱加工プロセス(方法)としては ・炭素鋼のCO2レーザおよびYAGレー  ・接合加工:溶接、ろう付、  ザ溶接に関する急速加熱の影響  ・除去加工:切断、穴あけ、マーキング ・アルミニウム合金のレーザ溶接時の気孔        クリーニング、切削・造形  の発生機構に関する研究   ・表面加工:焼入れ、クラッディング、 ・レーザ加工用ビーム回転装置の開発        アロイング、グレージング ・鋼のレーザ浸炭法の開発   などがあり、その科学的解明は未だ困難な ・アルミニウム合金のドロスフリーレーザ 点が多い。これらを材料科学的にアプロー  切断の研究 チするとともに、レーザのような高エネル ・多点ビームによる表面熱加工の研究 ギービームを熱源とした新熱加工プロセス ・アルミ合金のレーザ表面硬化(合金化) の研究開発を進めている。  に関する研究  研究分野と研究例: ・ビーム回転系による金属表面改質の研究 (1) アーク熱源による熱加工プロセス ・レーザによる金属材料の非接触曲げ加工  世界の産業用ロボットの約60%を保有  の基礎的研究 する日本ではそのうち約20%強が溶接ロ 2.4kWのCO2 レーザ装置(高速軸流形 ボットであり、その適用上の問題点である )及び300WパルスYAGレーザ装置を スパッタの発生を最小限にすべく、二重ガ 用いて研究を進めている。なお、レーザ表 スシールドアーク溶接法の研究を行ってい 面加工の研究を進めるため、レーザビーム 交差回転装置を研究室で試作し、ビード幅 今後の展望 が8mmあるいは10mmの表面加工が可能に 今後、各種金属および異種材料のレーザ なった。ビームを2つに分割しそれを集光 溶接・接合に関する研究、軽金属のレーザ レンズでワーク上に絞り、高速回転させる 溶接、レーザにる迅速造形法、レーザ板曲 もので。後に国内特許にもなった。 げ加工、レーザ微細機能化加工などレーザ  低炭素鋼のレーザ溶接に関する研究では による付加価値の高い材料加工の研究を進 、熱影響部にフェライトバンドとマルテン めて行く予定である。 サイトバンドの2相組織になることを確認 経歴 したり、極低炭素鋼(0.014%C)では溶接金 1967年名古屋大学工学部金属学科卒業、72 属にフェライト以外にベーニティックフェ 年名古屋大学大学院工学研究科博士課程満 ライトが溶接速度の増加とともに多量に生 了、72年科川崎重工業入社、74-75年米国 成し、強度及び硬さが上昇することも確認 MIT客員研究員、82年川崎重工業退社、 した。アルミ合金のレーザ溶接における気 82年名古屋大学工学部助手、85年同講師、 孔生成に関する研究では水素と合金元素で 92年同助教授、 あるMgが相互作用を起こし、気孔生成を 所属学会 促進することを明らかにした。 溶接学会、レーザ学会、日本金属学会、日 また、レーザによる金属材料の非接触曲 本機械学会、日本材料学会、米国溶接学会 げ加工の基礎的研究では変形モデルを提案 、米国レーザ学会、 し、金属材料の固有の線膨張係数やヤング 研究室人員 率の他に、高温での降伏点(又は耐力)が 学部学生8人、修士課程8人、博士課程3 重要な影響因子であり、各種ステンレス鋼 人、大学院研究生1人、 やアルミニウム合金の曲げ加工結果を模擬 主要論文・著書 できることを示した。図1は300WのY (1)Study on Double Gas Shielded Metal AGレーザにより非接触でステンレス鋼管 Arc Welding (Report 1),Trans.of JWS, をくびれ変形させた試験片を示す。 19,118-124(1988), (2)CO2 laser welding of A2219,A5083 and A6063 aluminium alloys,Welding in the World, 31,126-135(1993) (3)レーザーの科学(NHK Books675)(日本放 送出版協会、1993) (4)レーザー加工の基礎(下)(共著) (マシニスト出版、1993) (5)レーザー切断加工(共著)   (マシニスト出版、1996) (6)レーザー溶接加工(共著) 図1 ステンレス鋼のレーザ成形加工例    (マシニスト出版、1996) 住所:〒446-8603 名古屋市千種区不老町 TEL/FAX: 052−789−3365 E-Mail: [email protected]

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