デジタル・ネットワークにおける著作権

〜デジタルミレニアム著作権法の政治過程〜

橋本理恵

序章 

第1章 デジタル化・ネットワーク化と著作権問題の浮上 

第1節 デジタル化・ネットワーク化

第2節 著作権問題の浮上

第3節 WIPO新条約に至るまでの過程

第2章 Digital Millennium Copyright Act

第1節 DMCAの目的

第2節 DMCAの制定過程

第3節 DMCAの内容

第3章 制定に関わった議員及び利益団体とその主張

第1節     DMCA推進派

第2節     DMCA反対派

第3節     制定に関わった議員と利益団体

終章 

 

 

序章

 コンピューターの登場によって著作物の利用形態に革命が起きた。著作物はデジタル化されるようになった。デジタル化によって完成品として著作物を楽しむだけではなく、コピーし、断片情報を加工するなど個人の好みに合わせて利用することが可能になり、さらには、それをネットワーク上で流通させる利用形態が発展しつつある。同時にネットワーク化によって著作物(情報)へのアクセスが容易になり、不正に著作権が侵害される恐れも生じた。これらの問題に対応するために議会は1998年に技術的保護装置[i]の回避禁止と著作権情報[ii]の保護を規定したWIPO著作権条約、実演・レコード条約を批准し、さらにオンラインサービスプロバイダの責任制限を規定したデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)を制定した。世界に先駆けて、アクセス・コントロール[iii]に対する法的保護を定めた法律でもある。アメリカが世界に先駆けて、デジタル・ネットワーク化に対応した法律を制定した背景にはアメリカが世界で最も情報技術(IT)が発達しているのと同時に世界最大の知的財産輸出国であることと関係する。従来の著作権法は、既存の媒体を中心としているため、デジタル・ネットワークには対応しきれない部分があった。デジタル化は完全な複製を容易にし、インターネットの普及とともに違法複製物がネットワーク上で流通するなど、著作権侵害が以前にも増して横行するようになった。デジタル・ネットワーク上における著作権の侵害からの保護を目的とした著作権保護装置に高度な技術を使えば使うほど、それに応じて侵害する側も高度な技術で保護装置を回避しようとする。このような状況から著作権を保護する目的で制定されたのが、デジタルミレニアム著作権法である。

 本論文の目的は、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の制定過程を明らかにすることである。どのようにしてバランスのとれた法律になったか、制定過程を明らかにすることによって、今日のアメリカにおける情報社会政策の決定のされ方、また、産業界がもつ政治的影響力を論じたい。DMCA制定について特徴として挙げられるのは、@コンテンツ産業の強い要望であった技術的保護装置に関する規定が盛り込まれているA同じ目的の法案が過去に廃案になっている。Bコンテンツ産業とIT産業というアメリカにおける主要産業の経済的利益に関わる問題である。本論文ではAについても簡単に触れつつ、@とBについて特に明らかにしながら、論じたい。著作権侵害からの保護と技術の進歩の間でどのようにしてバランスを取り、DMCAに反映していったか。DMCA制定に関わった議員と産業界の主張を明らかにする。それによってアメリカにおける産業界の影響力、そして情報社会政策の決定のされ方を考察する。

 本論文の構成については、まず第1章でDMCAの背景を論じる。デジタル・ネットワーク化とそれによって浮上した著作権問題。また、DMCAはWIPO新条約の履行を目的としたものであるが、WIPO新条約に至るまでの過程も触れる。第2章では第3章の前置きとしてDMCAそのものについて紹介したい。DMCAの目的、制定過程、内容について触れる。第3章では、DMCAに関わった主要な議員及び産業団体について論じる。DMCAに関わった議員や産業団体によってDMCAはコンテンツ産業よりだった原案からバランスのとれたものになっていった。産業界の影響力を考察をしたい。

 本論文に関連する先行研究については、情報化社会に関して、政策そのものについて論じたものを挙げる。情報化社会における著作権政策を研究している代表的な研究者としてパメラ・サミュエルソンが挙げられる。サミュエルソンの著書は『The Future of the Information Society and the Role of Copyright In It(情報化社会の未来と著作権の役割)』「Intellectual property in the age of universal access」などがある。 デジタル・ネットワーク上の著作権問題の日本における研究者には苗村憲司が挙げられる。著書は『マルチメディア社会の著作権』などである。サミュエルソンの研究は、アメリカにおける情報化社会政策について、論じたものであるが、苗村の研究は、アメリカの著作権問題に特化したものではなく、情報化社会における政策として著作権について論じている。ここでは、サミュエルソンの著書『情報化社会の未来と著作権の役割』について検討してみたい。

 『情報化社会の未来と著作権の役割』では著作権政策が、情報化社会の未来を構想する上で精密に調整されるべき多くの情報政策の一つに過ぎないという点を読者に訴えている。著作権者にとって直接的な関心の対象となっている情報政策課題については、著作権法を通じて解決するよりも、情報政策全体の立場から解決方法を考え、それによって対処するべきだとしている。サミュエルソンは、著作権の概念を社会秩序に貢献するべき「プロプライエティ(社会的財産権)」としての側面を主張し、著作権法が市場の「商品」や通商問題のみを問題としている考え方に批判している。クリントン政権が行おうとしている著作権政策が著作権=「商品」とみなしている点をいくつか指摘している。著者によれば、著作権=「商品」論はコストを増加させ、公益が満たされない。著作権政策はどのような情報化社会を実現するべきかによって著作権が果たす役割は異なるので情報化社会目的を達成するために各国がそれぞれ著作権政策を調整するべきだとしている。その上で、「プロプライエティ」を優先した政策の提言を行っている。批判するとすれば、政策の提言が情報化社会の理想的な姿を想定しているためか、あまり具体的ではない点と経済的な影響を無視しているところである。著者の理想論に終始している印象をうける。

  デジタル・ネットワーク上の著作権について、法学を研究する立場から著作権法と判例について論じたものが存在する。それらは、法情報学として位置付けられている。法学的な立場で書かれた研究は知的財産の保護の観点から著作権を論じたものが多い。

 先行研究で取り上げたサミュエルソンの研究に代表される情報化社会政策の一部として取り上げた研究と法情報学の観点から論じられた研究が、本論文と異なる点を挙げると本論文が、ある法律の政治過程について論じていることである。著作権を情報化社会政策として著作権のあるべき姿を論じるのではなく、著作権法の政治過程を取り上げることによって政策決定にあたり生じた政治的影響力について考察する。著作権法は言わば、規制法であり、経済的な影響が大きい。デジタル・ネットワークにおける著作権はコンテンツの閲覧など使用に関する問題と違法複製行為を防ぐ技術に関わる問題が存在する。そこでは、コンテンツ産業と情報技術産業の対立が見られる。いずれもアメリカ国内においても輸出額からもアメリカの主要産業である点は注目に値する。経済的利益を考慮すれば、いずれも保護、優先するべきである。

 また、DMCAの政治過程を取り上げることは、制定に関わった議員および利益団体についてそれらの主張や活動を明らかにすることである。法情報学や情報化社会政策の立場からの研究と異なって、法学的にDMCAの妥当性を論じたり、情報社会政策の観点で著作権保護のあるべき政策を描いたりはしない。政治過程として、デジタルミレニアム著作権法がどのようにして制定されたかを明らかにすることによって、どのようにして著作権の保護と情報技術の発展のバランスをとっていったかに焦点をあてたい。

 

第1章 デジタル・ネットワーク化と著作権問題の浮上

第1節 デジタル化・ネットワーク化

 90年代に入ってから、企業や一般家庭におけるコンピューターの普及はめざましい。世界では、四千万人以上[iv]の人々がコンピューターと通信が融合したインターネットを通じて国境を越えた通信を享受し、全く新しいビジネス形態やデジタル・ネットワークの利用が可能となった。特に、アメリカはコンピューターの普及率が世界でトップである。新技術が開発され、デジタル・ネットワークを利用した新しいビジネスが次々に生まれている。一般家庭においても、デジタル・ネットワークを享受し、生活をより豊かなものにしている。コンピューターを使ったデジタル・ネットワークは、日々の活動に欠かせないものになりつつある。

  コンピューターの登場によって、著作物を取り巻く状況が変化した。著作物の利用形態に革命が生じたのである。デジタル化によって著作物の利用がこれまでより多様化した。アナログでは不可能だった「完全なコピー」すなわちデジタル媒体からデジタル媒体へのダビングが可能になった。また、コンピューターによる操作が実現し、部分的に情報を置き換えたり、他の情報と重ねたりすることが極めて容易になった。著作物の「改変」もしやすくなったことや同時に様々な著作物の融合もデジタル化の特徴と言える。 デジタル化と同時にネットワーク化も進んだ。インターネットの爆発的普及に伴い、誰でも簡単にネットワークに接続されたパソコンから著作物をネットワーク上で送信することが可能になった。具体例を挙げると、一枚のCDがあるとする。コンピューターを使ってカセットテープのように音が劣化することなく、それを完全にコピーする。コピーしたものをさらにコンピューターで自分の好みに合わせて編集し、そのようにして完成したものファイルしてネットワークを使って友達に送信する。このようなことがデジタル・ネットワークにおいて簡単にできる。同時にそれらのデジタル・ネットワークやコンピューターの持つ特徴が、違法複製を含む著作権侵害を容易にする。技術の発展に伴って、著作権侵害はより簡単になり、増加することが予想される。

 実際、90年代半ば当時においても、デジタル化によって複製がより完璧に近づき、それをネットワーク上に流通できるようになった結果、米国では、ネットワーク上で著作権の侵害行為が多発した。ネットワーク上で発生した著作権の侵害行為に対して、オンラインサービス会社の管理責任を問う訴訟が急増する[v]という問題も起きた。 

 デジタル化・ネットワーク化に伴い、浮上した著作権問題について次の節で詳しく論じたい。

 

第2節 著作権問題の浮上

  デジタル化・ネットワーク化に伴い、著作権を取り巻く状況が変化した結果、デジタル化・ネットワーク化以前を想定した著作権法では、対応できない著作権問題が浮上した。本節では、アメリカの著作権制度に対して、浮上した著作権問題をどのようにして解決してきたかを論じたい。

 まず、映画・音楽・小説などのコンテンツのデジタル化に関する問題である。デジタル化された著作物はコンピューターを利用して楽しむことができる。その結果デジタル化された著作物をRAMに一時的に蓄積することが複製に当たるかという問題が生じた。米国では、Vault Corp. v.Quaid Software, Ltd., 847 F.2d 255 ( 5th Cir. 1988 ) および MAI Systems Corp. v. Peak Computer, 991 F. 2d 511 ( 9th Cir. 1993 ) [vi]をリーディングケースとする一連の判決によって、判例上、RAMに蓄積することは複製に当たると認められている。

 また、様々な種類の著作物がデジタル化され、1つの電子媒体に収録されるマルチメディアが登場すると、様々な著作物の間で権利に差を設けていることの不都合が顕在化し、その統一が問題になった。米国においては元々著作物に対して同じ5種類[vii]の権利が与えられているので、録音物に対してだけ、公の実演権が与えられてないという唯一の例外だけが問題となった。この問題に対しては放送局の既得権との妥協の結果、1995年にデジタル演奏権法が制定して解決した。

 さらに、デジタル化された著作物の流通において、著作物を違法複製などから保護する目的でコピー・コントロール[viii]を施すことが普及したが、これを解除する機器の販売等を行う業者が登場し、コピー・コントロールを法的に保護する必要が生じた。アメリカにおいては、コピー・コントロール技術を特許権によって保護する試み ( Atari Games Corp v. Nintendo America Inc., 975 F. 2d 832 (Fed. Cir. 1992) ) [ix]が行われた。コピーコントロール自体を法的に保護することは、DMCAの制定によって初めて実現した。

 インターネットの普及により、ネットワーク上で著作物が流通する市場が成立し拡大し、ネットワーク上での著作物流通の発展を阻害することのないよう、著作権を保護する必要が生じた。保護の対象となるのは送信権、アクセス・コントロール、著作権管理情報である。送信権については、アメリカにおいて、判例上、頒布権に媒体の移転を伴わない送信も含まれるとの解釈をとって、これを解決した。アクセス・コントロールの法的保護に関しては、ユーザーまでのネットワーク上の流通の過程では、必然的にコピーを伴う。したがって、コピーコントロールを施した著作物はネットワーク上では流通しえない。ネットワーク上での著作物の流通には、対価回収手段として、アクセス・コントロールが必要不可欠となる。したがって、アクセス・コントロールに対する法的保護も必要不可欠となる。米国は、DMCAの制定によって、世界で初めてアクセス・コントロールの法的保護が実現した。著作権管理情報の保護については、ユーザーがネットワーク上で流通する著作物を適法に利用するには、ユーザーが、著作権の有無、著作権の使用許諾の条件及びその前提としての著作物の特定に必要な情報にアクセスできる必要がある。したがって、著作権管理情報は、その改変・除去から保護されなければならない。米国においては著作権管理情報の保護もDMCAに規定された。

 最後に、デジタル・ネットワーク上における無許諾の複製、頒布、上演行為に対して、電子掲示板(BBS)の運営者ないし、管理者(system provider), インターネットのオンラインサービスプロバイダが直接責任、寄与・代位侵害責任[x]を負うか、である。オンラインサービスプロバイダは料金、オープンアクセスの規制からは自由だが、著作権上認められる免責はない。ユーザーがアップロードを行った時点で違法複製物は運営者またはプロバイダのサーバーに一次的に蓄積される。これは複製行為とみなされている。もし、違法複製物がネットワーク上で流通した場合にこれに対して、プロバイダがどの程度責任を負うか、定められていなかった。米国においてはDMCAの第U部オンライン著作権侵害責任制限法にオンラインプロバイダの責任制限が規定された。

 ネットワークは国境を越えることから、これらの上記で取り上げた問題は、米国内に限った問題ではない。著作権法や著作権は、各国によって規定が異なる。違法行為が国境を越えた場合、どの法が適用されるのだろうか、という問題も浮上した。

 

第3節 WIPO新条約に至るまでの過程

 デジタル化・ネットワーク化の進展にともなって浮上した著作権問題に対処するために、クリントン政権によるNational Information Infrustracture ( NII )のタスクフォース(IITF)の知的財産権ワーキンググループ(Bruce Lehman委員長)は、デジタル化・ネットワーク化によって生じた著作権問題をまとめたものを1994年7月に中間報告・グリーン・ペーパーとして公表し、各界からの意見を聴いて、調整を行ってきた。その結果である最終報告(ホワイトペーパー)[xi]を1995年9月5日付けで公表した。ホワイトペーパーは、現行の著作権法の規定がネットワーク環境にも適合するとした上で、いくつかの改正点を提言している。その中には、後にDMCAに規定される著作権の保護を目的とした技術的保護装置の回避禁止、デジタル化された著作物の著作権管理情報の保護、などが含まれていた。これを受けて技術的保護装置の回避禁止を規定した法案、NII Copyright Protection Act(H.R.2441、S.1284)が1995年に提出されたが、連邦議会では失敗に終わった。プロバイダの責任という問題に加えて、技術的保護に関する提案に反対する図書館、コンピューター業界と消費者電子機器業界、および教育界からの幅広い反対がその理由である。 

 第2節で挙げたデジタル・ネットワークにおける著作権問題には、ネットワークは国境を越えることから国際裁判管轄、準拠法選択に関する問題もある。ネットワーク上では国境を越えて、著作物が流通するが、送信に関する著作権の在り方は各国によって様々であるため、各国の著作権法の相違を統一する必要が生じた。

 ネットワーク上の著作権保護の新国際条約採択を目指す「著作権・著作権隣接権問題外交会議」が世界知的所有権機関(WIPO)によって1996年12月2日から20日までジュネーブにて開催され、160ヶ国の代表が参加した[xii]。国によってばらつきのあるの著作権取り扱いについて、デジタル・ネットワーク社会に向けて、統一をはかる目的のため、大幅なベルヌ条約改正が行われた。米国は、国内において失敗した規定をWIPO著作権条約にて採用することを要求した。

 審議の結果、WIPO著作権条約、実演・レコード条約(WIPO新条約)が結ばれた。条約の中に、米国において失敗した技術的保護装置の回避禁止の規定が盛り込まれた。DMCAはこれらのWIPO新条約の実行を目的としたものである。次の章でその米国議会におけるDMCA制定までの過程を明らかにしたい。

 

第2章 デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)

第1節 デジタルミレニアム著作権法の目的

 

 デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の制定目的は、デジタル化・ネットワーク化する情報社会の発展に向けたインフラ整備に対応するためである。直接的にはWIPO新条約の実行を目的としているが、WIPO新条約に規定されている著作権の保護の水準は米国著作権法で既に満たしていた。しかし、技術的保護装置の回避禁止の規定など、デジタル化・ネットワーク化に向けて、著作権法の一部を改正する必要があった。

 特に、デジタル化・ネットワーク化によって著作物の違法複製の危険にさらされているレコードや映画などのコンテンツ業界の強い要請によってWIPO新条約の実行を推進された。コンテンツ業界が求めていたのは、著作権保護技術と著作権管理情報の法的保護である。コピー・コントロールだけではなく、WIPO条約上の義務にはなっていないアクセス・コントロールについても規定された[xiii]。一方、コンピューター業界からは、著作権侵害がネットワーク上で発生した場合のためのインターネットのサービスプロバイダ・オンラインプロバイダに対する責任制限を明確にする法律の制定が要請された。第1章の第1節で述べた、ネットワークにおける著作権侵害の訴訟に対応するためである。プロバイダの責任制限を明確にした法律が後からDMCA加わった。以上より、デジタル・ネットワークに対応した著作権保護とオンラインサービスプロバイダの責任制限がDMCA制定の主な目的である。

 

第2節 デジタルミレニアム著作権法の制定過程

 デジタルミレニアム著作権法(DMCA)は、WIPO著作権条約・実演レコード条約インプリメント法案(H.R.2281、S.1121)として、特許局(Patent and Trademark Office: PTO)の草案を元に、1997年7月29日下院に、7月31日に上院に提出された。その後、H.R.2281は下院司法委員会と裁判・知的財産小委員会において審議された。 H.R.2281提出の少し前、7月17日に、 オンライン著作権侵害責任制限法案(Online Copyright Infringement Limitation Act H.R.2180)が提出され、同様に審議された。9月中旬にH.R.2281とH.R.2180の公聴会が下院の裁判・知的財産小委員会において開かれたが、これらの法案について1998年4月に入るまで、公式な進展は見られない。

 一方、1997年9月3日に Digital Copyright Clarification and Technology Act (S.1146)がAshcroft上院議員(R-MO)によって上院に、11月13日にデジタル時代著作権強化法案(Digital Era Copyright Enhancement Act H.R.3048)がRick Boucher下院議員(D-VA)によって下院に提出された。S.1146については、上院司法委員会で審議され、公聴会も開かれたが、結局、廃案となった。 S.1146、H.R.3048はともにH.R.2281に対抗する法案として、コンピューター業界や消費者電子機器業界から支持された法案である。

 オンライン著作権侵害責任制限法案(H.R.2180)は1998年2月12日にHoward Coble議員((R-NC)によってH.R.3209として再提出された。H.R.3209は司法委員会で審議された後、1998年4月1日に司法委員会でH.R.2281のマークアップと同時に合体した。司法委員会において、Boucher議員(D-VA)によって提案された5項目にわたる修正は、否決された[xiv]。その後、下院に報告され、商業委員会とテレコミュニケーション・貿易・消費者保護小委員会において審議が行われた。6月には同法案について公聴会が開かれた。

 上院においては、1998年4月23日に上院司法委員会でマークアップされ、審議の結果、4月30日にいくつかの個所が修正された。5月6日には、「1998年デジタルミレニアム著作権法案(S.2037)」が提出された。S.1121にオンラインサービスプロバイダの責任制限を規定した第U部、また、図書館や公文書館に対する規定やその他の修正も加えたもので、S.1146を反映した法案となった。5月14日[xv]までに、審議・可決(99−0)され、下院に送付された。

 H.R.2281は、6月に入り、公聴会が商業委員会において開かれ、下院裁判・知的財産小委員会のおいてマークアップされた。下院テレコミュニケーション・貿易・消費者保護小委員会で上院では、修正されなかった条項がKlug議員(R-Wis)、Boucher議員によって加えられた。7月17日に下院商業委員会で修正が行われ、可決(41−0)された後、下院に報告された。8月4日に修正案が下院で通過され、31日に上院に送付された。9月17日に上院において満場一致で可決した後、両院協議会を要求する。

 9月24日に両院協議会が開かれ、H.R.2281はいくつか修正された。S.2037は、H.R.2281と合体した。協議会報告書が10月8日に上院で採択・可決された。下院においては、議会多数派である共和党による妨害があったものの、10月12日に可決した。そして、10月28日にクリントン大要領によって署名された。

 

第3節 デジタルミレニアム著作権法の内容

 デジタルミレニアム著作権法は5つの部から構成されている。5つの部のうちデジタル・ネットワーク上の著作権に関わり、第3章で問題となった、第T部と第U部(第V部はコンピュータ・メインテナンスの責任制限について、第W部は著作権局(Copyright Office)の権限や例外措置について規定されている。第X部は船舶デザインの保護についてである。)について説明したい。

 第T部はWIPO著作権条約WIPO実演・レコード条約インプリメント法[xvi]である。第T部では1976年著作権法に「第12章著作権の保護及び管理システム」を新設している。1201条による技術手段の保護および1202条による著作権管理情報の保護は、1996年12月に締結されたWIPO著作権条約およびWIPO実演レコード条約の批准を目指した立法措置である。

 1201条はアクセス・コントロールを回避する装置などの製造、輸入、公衆提供その他の取り引きとともに回避行為自体をも禁止している。保護の対象となるアクセス・コントロールの定義は「当該技術的手段がその動作の通常の過程において著作物へのアクセスを行うには、著作権者の許諾を得て情報を入力または手続きもしくは処理を行うことを必要とする場合」である。技術的手段の回避を「著作権者の許諾なく、スクランブルのかかっている著作物のスクランブルを解除し、またはその他技術的手段を回避し、迂回し、除去し、無効にしもしくは損壊すること」と定義されている。

 回避装置等については、(i)主としてアクセス・コントロールの回避を目的として設計または製造される、(ii)アクセス・コントロールの回避以外に商業的目的または用法をもたない、(iii)アクセス・コントロールの回避によって使用されることを知って販売される「技術、製品、サービス、装置、部品またはそれらの一部分」の製造、輸入、公衆提供、供給その他の取引が禁止される。

 この改正法は制定と同時に発効するが、回避行為自体の禁止は、制定後2年間猶予される。

 また、1201条は、コピーコントロールを回避する装置等の製造、輸入、公衆提供、供給その他の取引を禁止している。保護の対象となる「著作権者の権利を効果的に保護する」技術的手段は、「当該技術的手段がその動作の通常の過程において、本編に基づく著作権者の権利の行使を妨害し、限定しまたはその他の制限をする場合」におけるものと定義されている。「回避」については「著作権者の許諾なく、スクランブルがかかっている著作物のスクランブルを解除し、または、その他技術的手段を回避し、迂回し、除去し、無効にしもしくは損壊すること」と定義されている。

 回避装置等については、主として、「著作者の権利を効果的に保護する」技術的手段の回避を目的として設計または製造される、「著作者の権利を効果的に保護する」技術的手段の回避以外に商業的目的または用法を持たない、または、「著作者の権利を効果的に保護する」技術的手段の回避に使用されることを知って販売される「技術、製品、サービス、装置、部品またはそれらの一部分」の、製造、輸入、公衆提供、供給その他の取り引きが禁止される。

 ただし、免責行為にあたる場合は、違法にあたらない。免責行為として、挙げられるのは、フェアユース、非営利の図書館・文書資料館・教育機関、政府の情報収集行為、リバースエンジニアリング、暗号化研究、未成年者の保護を目的とした著作物保護装置だった場合、個人識別情報の保護、セキュリティ検査、放送局による一時固定物の作成である。1203条、1204条に、技術的手段の回避に関する1201条違反に関する制裁を規定されている。

 1202条に「著作権管理情報の同一性」を設けて著作権管理情報の法的保護を規定している。保護されるのは、著作物の複製物または著作物の実演・展示に関して伝達される情報である。ただし、ユーザーに関する個別識別情報は明示的に排除されている。

 第U部はオンライン著作権侵害責任制限法[xvii]であり、ユーザーが引き起こす著作権侵害に関して、オンラインサービスプロバイダの責任制限を規定している。1976年著作権法に第512条「オンライン素材に関する責任の制限」を新設する。ユーザーがサーバーに他人の著作物をアップロードした場合、サーバーを所有・管理するサービスプロバイダは、サーバーへの著作物の複製について直接責任[xviii]または寄与責任[xix]が問われるが、この規定では立法的に後者を採用した。

 オンラインサービスプロバイダによる行為が著作権侵害を生ずる場合、一定の条件において、その著作権侵害に基づく損害賠償責任(裁判費用請求権、弁護士費用請求権を含む)を免除する、と規定されている。一定の条件の中には、素材の一時的な蓄積や、ユーザーがアップロードした素材の蓄積、素材へのリンクなどが規定されている。また、著作権者に対して、侵害者を特定するための情報をサービスプロバイダから提出されることのできる制度を新設した。

 以上がDMCAにおいて規定された内容である。規定された内容の中でもDMCAの制定にあたり争点となった部分を取り上げた。

 

第3章 制定過程に関わった主要団体

本章では、制定過程に関わった主な利益団体を挙げ、主張を明らかにする。推進派・反対派に分類した基準は,DMCAの元の法案であったS.1121, H.R.2281に対する態度である。技術的保護装置に関する規定、1201条について原案に全面的に賛成だった団体を推進派におき、そうでない団体を反対派に分けた。

 

第1節 DMCA推進派の利益団体

 DMCA、つまりWIPO新条約の実行を全面的に推進したのは、娯楽産業である映画、テレビ、音楽、出版などのコンテンツ産業の団体、IIPA International Intellectual Property Alliance)やRIAAなどである。コンピューター業界の中でもソフトウエア産業もこちらに含まれる。代表的な利益団体としては、Business Software Alliance が挙げられる。コンテンツ産業は、アメリカにおいて、経済的に主要産業であると同時に主要輸出産業である。コンテンツ業界はアメリカ経済において1994年には、3850億ドルも占めており、それは、GDPの5%[xx]にあたる。対外輸出額としては、500億ドル[xxi]にものぼる。以前から、特に発展途上国における違法複製に悩まされており、その被害額は1995年においては、180億ドルから220億ドル[xxii]と推定される。これまでの違法複製は、アナログコピーが主流であり、複製には、物理的に大掛かりなものであったが、デジタル化・ネットワーク化が新技術の開発によって、このまま発展すれば、複製はアナログコピーよりはるかに簡単で安上がりにある。違法複製はより増加すると想像するのは容易である。その経済的損失は大きい。また、ネットワークが世界規模であることから、著作権侵害が行われた場合、それに対応するために、国際的に統一された著作権の定義や法制度が必要である。コンテンツ業界が推進したのは、DMCAでもWIPO新条約の実行と批准そのものであったことが特徴である。つまり、国際的な著作権保護の法制度の制定。また、違法複製を取り締まる目的で、違法複製行為そのものではなく、日進月歩である複製技術に対して、技術的保護手段(コピー・コントロール、アクセス・コントロール)の法的保護を求めた。一方、WIPO新条約インプリメント法案に後から加わったオンラインサービスプロバイダの責任制限を規定した法案には、反対の立場をとっている。 

 DMCA推進派の代表的なコンテンツ利益団体として、全米レコーディング産業協会(RIAA)、全米モーションピクチャー協会(MPAA)を挙げる。上記の2つの団体の代表は議会の公聴会で代表者が証言した団体である。

 その前に、MPAARIAAが何を目的とした団体かを先に述べたい。

 Motion Picture Association of AmericaMPAA)はアメリカの映画産業全体を代表する団体である。映画に限らず、テレビ、ビデオ業界も代表している。もともとは、海外にアメリカ映画を広めるための団体であったが、MPAAの役割は時代とともに広がった。現在では、アメリカ映画の対外輸出に限らず、アメリカの映像産業の主張を反映させるための利益団体である。

 MPAAの役割の一つに、メンバーである大手映画会社を代表して、包括的な反違法複製プログラムの提唱がある。具体的には、セキュリティの基準を厳しくする、立法活動を通じて著作権保護を厳しくする、著作権侵害事件の調査と告発について地域政府をサポートする、このような調査の中で発生した訴訟において技術的補助を提供する[xxiii]、などである。

 Recoding Industry Association of AmericaRIAA)はアメリカのレコーディング産業を代表する商業団体である。RIAAのメンバーの経済的な影響力は年間140億ドル、レコーディング産業の90%を占める。メンバーは主にレコード会社、アーティストである。活動目的は、メンバーの創作活動及び金銭面を支援し、それらを促進する商業的あるいは法的な風潮を育てることにある。創作活動を支援するために、アーティストの憲法修正第一条による権利の他、世界規模の知的財産権の保護も目指している。

 MPAAの代表Jack Valenti RIAAJohnny CashHilary Rosen代表は下院裁判・知的財産小委員会の公聴会にて証言している。彼ら主張によれば、映画・音楽を含むコンテンツ産業は著作物のデジタル化を歓迎しているが、著作物の配布を容易にする技術が同様に違法複製とその違法複製物の配布を容易にすることを警戒している。WIPO新条約が義務づけている水準に米国著作権法は達していることを認めるが、早急なWIPO新条約の実行・批准を強く求めた。WIPO新条約の実行・批准を要求した背景には、発展途上国のおける違法複製の抜け穴を防ごうとする狙いがある。第1章で述べた通り、WIPO新条約の目的は、各国でばらつきのある著作権の扱いを統一することと、デジタル化・ネットワーク化に向けて著作権侵害を防ごうとするものである。発効には30ヶ国以上の批准が条件であるが、著作権大国のアメリカが先導をとるべきだと主張している[xxiv]

 推進派は、既存の権利の権利も含め、全ての著作物の複製を認めていないわけではない。むしろ、非営利・私的利用を目的とした複製は認めている。彼等が違法複製行為そのものではなく、情報技術業界との対立の争点となっている1201条技術的保護装置の回避禁止を主張した背景には、デジタル・ネットワークの特性から、違法複製行為に焦点をあてると、違法行為が起きた場合、その特定が困難であり、損失は測りしれないものになるからである。電子機器業界の技術的保護装置の回避はその回避行為そのものを問うべきだという主張よりも、ありとあらゆる技術的保護装置を回避する可能性を排除し、フェアユースなどの合法的な複製に関しては例外規定を設けるべきだとコンテンツ業界は主張した理由には、技術の発展に対して違法行為の芽をあらかじめ摘んでしまおうとするねらいがある。合法的な複製ついては例外規定を定めること、その他の修正を加える(技術的保護装置の回避禁止の姿勢は変えない)ことにより、反対派が懸念している主張に対しては、DMCAが既存の権利を狭めるものではなく、既存の複製を目的とした機器を違法化するものでもないと反論している[xxv]

 一方で、著作権保持者が著作権の保護を求めるのと同時に、オンラインサービスプロバイダの責任について言及している。オンラインサービスプロバイダも著作権保護の責任を負うべきだと主張している。もし、違法複製物がオンラインサービスプロバイダ上に流通したら、それに対して責任を負うべきか、の問題である。オンラインサービスプロバイダの責任を制限しようとするオンラインサービスプロバイダの提言については、著作権保護の潮流に反するものである、としてMPAAは反対を表明した。RIAAの主張によれば、違法複製物がネット上に頒布された場合のオンラインサービスプロバイダの責任は、既存の法律で規定されている。オンラインサービスプロバイダの責任が制限されれば、違法行為が行われても、オンラインサービスプロバイダの行為は容認されることになり、音楽産業にとっては、不利益になるからとしている[xxvi]

 以上が、推進派の主張である。

 

第2節 DMCA反対派の利益団体

 DMCAに反対した利益団体としては、主にコンピューター産業、消費者電子機器団体、教育業界などが挙げられる。代表的な利益団体としては、Information Technology Industry Council (ITI), Home Recording Right Association (HRRC)、 Consumer Electronic Industries Alliance、 American Library Associationなどがある。反対派とは言っても、デジタル・ネットワーク化に対応した著作権法の改正を反対しているわけではない。しかし、DMCAの中でも1201条について問題があると指摘し、バランスのとれた法案にしようと働きかけた。本節ではDMCA反対派の利益団体を紹介し、彼等の主張を明らかにしたい。そして、彼等の主張がどの程度受け入れられたかを述べたい。

 DMCA反対派の利益団体として、公聴会で証言したInformation Technology Industry CouncilITI)とHome Recording Right Association (HRRC) の主張を次に詳しく論じたい。

 まず、ITIHRRCが何を目的とした利益団体であるかについて紹介したい。Information Technology Industry CouncilITI)はアメリカの情報技術産業において、製品やサービスを提供する企業を代表とした団体[xxvii]である。加盟している企業には、マイクロソフト社やAOLのようにアメリカの企業から、ソニーやパナソニックなどの日系企業も含まれる。革新と自由市場を支持しており、政府による規制を監視している団体である。加盟している企業の年間売上げ額は4600億ドルにも昇り、全米において120万人の雇用を持つ[xxviii]

 Home Recording Right CoalitionHRRC)は消費者向けの電気製品の消費者、小売業者、サービス業者、メーカー、教育関係者などを構成員としている団体[xxix]である。名前から察する通り、ホームレコーディング、つまり、営利を目的としない私的な複製を権利として主張している団体である。オーディオホームレコーディング法に定められた営利を目的としない私的な複製に反する立法に反対している。

 上記の団体は、DMCAの中でも1201条について、異議を唱えている。DMCA反対派がDMCAに批判的見解を示した根拠は、1201条の著作権保護システムの回避を違法とする規定は、コンテンツ・プロバイダの有する他の知的所有権の侵害の有無との関連が示されてないところにある。関連が示されてない結果、フェアユースや、パブリックドメイン・非著作物へのアクセスのように、行為の目的が著作権法によって許容される場合であっても、回避行為について法的責任が問われることになる。また、技術的保護装置を部品や構成部分にまで拡張させる結果、裁判所にパソコンやホームレコーディングについてまで監督させる危険がある。1201条は新しいビデオ技術、一般向けコンピューター、その他のレコーディング機器を違法化し、このような消費者電気機器を売るあるいは提供した者には民事あるいは刑事責任が生じることになる。その結果、消費者の家庭における私的な非営利目的利用の録画権利、すなわち連邦最高裁のBetamax判決[xxx]を覆すことになる。このような事態は著作権法の世界に先例のないことであり、WIPO新条約が望む所でもない、と主張している。

 HRRCITIが問題とした1201条に関して、WIPO新条約は電気機器に複製技術的制限を加えるのではなく、ある著作権侵害行為を違法とすれば、履行したことになることがBoucher議員によって指摘された。

 HRRCは、H.R.2281あるいはS.1121に対して、代替案として、Ashcroft上院議員によって9793日に提出されたDigital Copyright Clarification ActS.1146)とBoucher議員とCampbell下院議員(RCA)によって同年1113日に提出されたDigital Copyright Enhancement ActH.R.3048)の支持を表明した。S.1146については、正統な消費者が新しいホームレコーディング技術を使う権利を脅かすことなしに、著者、アーティストや実演者の著作権を守るWIPO条約を満たすものである、としている。また、Ashcroft議員の「反回避行為」条項は、機能を制限したり、売買行為を禁止したり、正当な消費者電気機器のデザインを命令することよりも、知的財産の所有者の著作権に対する違法行為に焦点をあてている[xxxi]H.R.3048は、「フェアユース」の概念を拡張するための修正。図書館や文書館において、保存、セキュリティ、交換などの目的のために、原本以外に3つのコピーまたは音声記録が作成できるようにするための修正。遠隔教育の過程で行われる著作物の上演、表示、および配布のためのアナログまたはデジタル転送が著作権の侵害とならないための修正。合法的な著作物の使用の過程で副次的に作成される複製が著作権の侵害とならないための修正。また、その際も、著作者の権利が不当に侵害されないための修正。これらの条項がH.R.3048に含まれている[xxxii]

 HRRCITIは、H.R.3048を推奨しているが、政治的にこの法案が採択される見込みが低いので、その内容がH.R.2281に反映されるように働きかけることを提唱した。

 次の主張は、構成員にオンラインサービスプロバイダも含むITIのものである。

 ITIは、WIPO新条約の実行そのものについては賛成している。情報技術産業の中には、ソフトウエアを製造する企業も含まれるので、そのような意味では第1節で挙げたコンテンツ産業と同じである。デジタル・ネットワークの発展には、著作権の法的保護は不可欠であるという立場なので、DMCAに賛成である。世界規模でデジタル・ネットワークの発展を推進するという立場から、まず、それらの分野でリードしている米国がWIPO新条約のインプリメントに先導をとるべきだと主張する。しかし、本章で反対派に分類した理由には、1201条技術的保護装置に関する問題、オンラインサービスプロバイダに関する問題については、先に挙げた賛成派とは対立するからである。ITIは著作権のバランスをとるために、オンラインサービスプロバイダの責任制限について言及している。ネットワーク上で流通されるコンテンツは、オンラインサービスプロバイダを通過して、利用者のもとに届くわけだが、もし、そのコンテンツが著作権侵害にあたるものだった場合、例えば、違法複製による著作物だったとき、その責任をプロバイダ側も負うべきか、である。プロバイダの責任を明確にすることをITIは望んでいる。プロバイダの知らないところで著作権侵害が起こることは珍しくない。そのような場合、責任制限をしなければ、プロバイダはネットワーク上の情報を取りこむのをためらってしまうし、製造業者は、新技術を開発しなくなってしまうだろうと述べている[xxxiii]

 反対派の主張はどの程度反映されて、H.R.2281のバランスがとれたのだろうか。

 オンラインサービスプロバイダの責任制限を規定した法案(H.R.2180)は、WIPO新条約インプリメント法(H.R.2281)より僅かに早い時期から、Coble議員によって提出されている。一度は廃案になりかけたものの、H.R.3209として再提出され、H.R.2281と合体した。(第2章第3節参照)1201条に関しては、1201条そのものはなくならず、残ったが改正された。画期的なのは、「反強制(no mandate)」条項である。1201条が、製造業に対して新しい機器を開発する際に強制されるものではないと規定された条項である。この条項は、上院においては、主にHatch議員(RUT)Ashcroft議員[xxxiv]によって、下院においては商業委員会のKlug議員やBoucher議員らによって改正された。下院商業委員会では多くの点で改正され、DMCA反対派の主張を受けいれている。例外規定が多く加えられたが、フェアユースについてはKlug議員によって、暗号調査の例外規定についてはTauzin議員によって提案され、DMCAにつけ加えられた。その他にもリバースエンジニアリングを例外とする規定や回避行為の禁止を2年間猶予する規定も設けられた。これらの規定はS.1121には含まれていなかったが、後の両院協議会で採用されることになった[xxxv]

 

3節 利益団体と議員との関係

 DMCAは超党派で制定されている。政権を担っている党と議会の多数党は異なっていたが、なぜ、超党派で制定されたのか。また、DMCAはクリントン政権による原案から修正を多く加えられ、バランスのとれた法案となったが、どうして情報技術産業の主張が受けいれられたか。この背景には、利益団体のロビー活動があった。DMCAをめぐる利益団体の影響力がDMCA制定の議論に関わる。利益団体の影響力と議員との関係について明らかにしたい。

 DMCAは提出された当初はWIPO新条約インプリメント法案であった。前章で触れた通り、この法案は上院においては、上院司法委員会のHatchThompson(RTN)Leahy(DVT)Kohl(DWI)[xxxvi]らが提出した。下院においては裁判・知的財産小委員会のCoble, Hyde議員によって提出されている。これらの法案の原案はクリントン政権によるものである。実際に原案を考案したのは、Bruce Lehmanである。彼は、IITFの知的財産権ワーキンググループの委員長であり、WIPOの著作権・著作隣接権問題外交会議においてもアメリカ代表として会議に出席している。アメリカ国内において、制定に失敗した法案の条項を新WIPO条約に盛り込むことにコンテンツ業界が成功した背景には、コンテンツ産業がもともとクリントン政権よりだったこと、そして、国内で制定に失敗した法案の規定をWIPO新条約に盛り込もうとジュネーブにおいて激しいロビー活動を行ったからである[xxxvii]。民主党はもともと娯楽産業から支持を受けている。クリントン大統領は1996年選挙において、情報産業より3[xxxviii]以上の額の献金をコンテンツ産業から受けとっている。

 コンテンツ産業は違法複製により、年間少なくとも20億ドルもの損害を被っていることから、著作権保持者から妥協してでも、DMCA制定が進むよう、集中的に働きかけていた。その一方で、例外条項が多く盛り込まれることに対して懸念を示している。例外規定のために抜け穴になることを恐れた。特にレコード業界は、映像よりもデジタル・ネットワーク化による影響を早く受けやすいことから、議員に対する献金額が1995年の27万ドルから1997年の97万ドルへと3倍以上[xxxix]伸びている。映画産業については、1997年から1998年の間に250万ドル[xl]も議員に献金している。主な受け取り人は下院のCoble議員、上院のHatch議員、Leahy議員などDMCA制定において主導権を握った議員である。

 コンテンツ産業のロビー活動を受けて、DMCA制定は、第105回議会で制定されるように、審議が進められた。上院においては、Hatch議員が、下院においては、Coble議員が主導して、審議が進められた。オンラインサービスプロバイダに対する責任制限を規定した法案がWIPO新条約インプリメント法案に加えられ、いくつかの個所が修正されたのは、コンテンツ産業が技術的保護装置回避の禁止を規定した法案の制定を急ぐため、情報技術産業と妥協した結果である。

 従来からコンテンツ産業は民主党よりであることは、次のことからもわかるだろう。RIAAの代表Hilary Rosenは、RIAAの代表を務める前に選挙コンサルティング事務所の副代表を勤めており、民主党のBrendan BryanNJ)、Bill BradlyNJ)、Diane FeinsteinCA)の支援を行った実績がある。また、アーティストの表現の自由を守るため、憲法修正第一条に関して、リベラルな立場である。思想の面からも民主党よりだと言える。また、MPAAについても同様のことがいえる。映画界は古くから民主党を支持していた。第105回議会は共和党が多数派だったが、コンテンツ産業は、法案が党派政治のため、通過しないことを恐れ、共和党に働きかけた。当時、下院議長であった共和党のNewt GingrichThe House Entertainment Task Forceの創設している。娯楽産業と共和党の議員の間で親密な関係を築くために、The House Entertainment Task ForceMark Foleyによって催された会合にRIAA, MPAAの代表は出席し、共和党の議員たちにWIPO新条約の実行を表明させた。原案は民主党のクリントン政権であるが、共和党でDMCAに関わった議員はDMCA制定に努力したことは、第105議会から下院裁判・知的財産小委員会の委員長に就いている、Coble議員の提出した法案からもわかるのではないのだろうか。彼は、コンテンツ業界の中でも音楽・レコーディング業界の援助を表明しており、DMCA以外にも、1997年に音楽著作権の保護に関する法律を提出し、制定している[xli]

 両院協議会後の下院における採決で、共和党員による党派的なDMCA制定の妨害も見られた。党派的な理由で下院多数党院内幹事のTom DelayRTX)によって採決が遅らせられたが、コンテンツ産業による議長らへのロビー活動[xlii]の結果、下院で可決された。

 情報産業については、ロビー活動や献金を通してワシントンにおける政策決定に影響を与えつつある。既存からあるコンテンツ産業には及ばないが、コンピューター関係の企業は、19971月から19986月までの間に540万ドルもの献金をしている。この額は1993年、1994年同様の期間の献金額の倍である。このことは105回議会において情報技術産業に関する法律が多く制定されたことと無関係ではない。著作権法の他にもインターネット上の税金に関する法律なども制定されているのである。情報技術産業の代表たちは、彼等の一連の成功の理由には、議員との良好な関係や、議員に対して情報技術産業がアメリカ経済にとっていかに大切かを訴えた結果だと主張している。ワシントンにおける情報技術産業の存在感は増しつつある。これらの産業の役員は、もっと議会において積極的になるべきだと考え始めている。今のところ、コンピューターに関する規制は少ないが、将来的な規制を監視するべく、ワシントンに事務所を置く企業が増えた。他の産業のようにロビー活動を行う他、前述したITIは、法案の修正案を公聴会で提出している。情報技術にうとい議員によって不利益になるような法律が制定されないよう政治と関わりを持つべきだとしている[xliii]

影響力を持ちつつある情報産業の利益団体を挙げるとTechnology NetworkTechNet)があるが、彼等の特徴は、共和党、民主党のどちらにも献金をおこなっていることである[xliv]DMCAに関していえば、コンテンツ産業と同様に制定に関わった議員のうち影響力のある議員に献金を行っている。たとえば、上院議員Leahyがあげられる。

 一方で次のような見方もある。第105回議会における情報技術産業の成功は、献金額には関係ないとの見方である。上院商業・科学・交通委員会のMark Buseによれば、情報産業が経済に占める割合が増大しつつあり、国全体の仕事創出の役割を担っていることを議員たちが認識しているという。共和・民主の両党とも情報産業に関する立法の専門家になろうと努力している。例えば、Newt Gingrichや他の共和党を代表する議員たちは、1998年の10月、ハイテク産業の代表者と会議を開き、共和党の支持を促している。

 以上をまとめると、コンテンツ産業も情報技術産業もアメリカ経済に占める割合が増大しつつある。いずれの産業の利益団体も経済活動に有利になるようロビー活動を行っている点では共通している。コンテンツ産業については、共和党議会においても廃案にならぬようにロビー活動をし、制定を最優先に妥協した。情報技術産業に関しては、規制を監視するために、政治に参加するようになっている[xlv]

 

終章

 終章において、序章で触れた、どうしてデジタルミレニアム著作権法がバランスのとれた法律となったか、超党派で制定されたか、についてこれまで明らかにしたことを踏まえつつ考察したい。

 デジタルミレニアム著作権法の制定を通して、明らかになったことは、まず、情報技術産業の政治における影響力が大きくなりつつあることである。まだ、規制の少ない分野ではあるが、産業の発展にともなって、少しでも有益になるようワシントンに目を向け始めている。情報技術に関する問題は複雑になりがちであることから、議員に対する献金の他、政策を提案するようにもなっている。DMCA制定においても、ITIのような利益団体は、法案の代替案を考案し、それを公聴会で発表している。ロビー活動の結果、いくつかの点において修正が行われた。そして、DMCAは原案とくらべてバランスのとれた法案になった。ほぼ偏りなく、両党を支持し、制定に成功している。背景には、議会において存在感を増しつつある情報技術産業の影響力がある。

 次に考えられるのは、コンテンツ産業の妥協である。著作物の技術的保護装置をめぐる法案は、一度は制定に失敗している。失敗した要因には、情報産業、教育界などの反対派によるロビー活動がある。著作物の技術的保護装置をめぐる問題は、常に違法複製によって損害を被っているコンテンツ産業にとって、デジタル・ネットワーク化による違法複製が出回る前に、制定を急ぐ死活問題であった。廃案に追いこまれないためには、情報技術産業の提案を無視するわけにはいかなかった。また、党派政治によって廃案に追いこまれないように、もともと民主党よりではあるが、議会において多数派である共和党にもロビー活動を行い、法案の制定を求めた。

 利益団体によるいわゆるロビー活動の他に、議員たちが情報産業の可能性に期待していることも付け加えるべきだろう。コンテンツ産業、情報技術産業ともにアメリカ経済において占める割合が増大しつつある。いずれも主要な輸出産業でもあり、デジタル・ネットワーク化が世界規模で進めば、将来的にさらに輸出産業の中で占める割合が増大すると予想される。これらの産業に有利な法律を制定すれば、アメリカ経済全体を発展させ、献金も期待できる。それには、議員自ら、情報技術に関する立法における専門家であることをアピールしなければならない。情報技術産業がいずれかの党よりではないが、政権党である民主党から出遅れた共和党も支持を得られるよう取り組んでいる。

 そして、DMCAがコンテンツ産業の利益団体、情報技術産業の利益団体の双方から支持された理由には、実はこれらの利益団体が全く反対の利益を求める団体ではないからであることを指摘しておきたい。実際のところ、コンテンツ産業と情報技術産業を分けることは難しい。むしろ、互いに影響しあって発展していると言える。第3章でも触れたが、情報技術産業は、技術を開発、製造、提供するのと同時にコンテンツを提供する立場にもなりうる。また、良いコンテンツがあってこそ、情報技術は活かされる。逆に、コンテンツ産業についても、コンテンツの発展には、技術は欠かせないのである。情報技術が発展した方が、コンテンツの可能性が広がる。過去に起きた訴訟の例として、Sony v. Universal [xlvi]を挙げたい。1970年代後半から80年代にかけてソニー社がVCRを製造・販売したとき、映画会社はこれを著作権法違反だと主張し、裁判で争われた。1984年に連邦最高裁のBetamax判決の結果、ソニー社が勝訴した。VCRは映画会社の脅威になるどころか、映画ビデオの売上に貢献した。結局のところ、映画会社は敗訴したにもかかわらず、ビジネスチャンスが広がり、新技術の恩恵を受けたのである。また、同様に1980年代の後半にデジタルレコーディング技術が開発されたとき、レコード会社と争ったが、1992 Audio Home Recording Act によって解決された。以上の過去の例から、いずれの産業も互いに影響しあって依存して、発展していることが理解できる。このような点についてもバランスのとれた法案となった要因であるといえる。

 デジタル・ネットワークにおける著作権も含めて、情報社会政策において、まず目を向けられるのは、情報技術産業である。しかし、情報技術の発展に伴って生じるありとあらゆる問題は、決して既存のものから切り離された問題ではない。既存の権利を保護しつつ、技術の発展を促すような政策が望ましいだろう。そのためには、デジタル・ネットワークの理解が必要である。対立する部分から、共通の利益となる点を見出し、妥協の末、デジタルミレニアム著作権法は制定された。制定にあたり、MPAAのFritz Attawayが法案について情報技術産業側の主張は「What if・・・」の連続だと言った[xlvii]。実際のところ、的をえている。情報技術の世界は日進月歩で、可能性が開かれている。「What if・・・」を想定して法案はバランスのとれたものになった。情報社会政策の決定において、重要なのは、適切な「What if・・・」を想定することである。それには、各産業によるロビー活動が有効ではないだろうか。

  DMCAについて、当初は、WIPO新条約インプリメント法案であったが、後に、次の千年を想定して「ミレニアム」をつけたことから、デジタル・ネットワーク社会への期待が窺えるだろう。米国著作権法はWIPO新条約が義務づける水準に達していたにもかかわらず、実行(インプリメント)のために、世界に先駆けて法律を制定した点については、コンテンツについても情報技術についても先進国であり、世界最大の輸出国でアメリカが先導をとることによって、世界規模で進むデジタル化・ネットワーク化を引っ張り、他国の条約の批准を促す効果があると考えられたからである。WIPO新条約が発効されれば、これまでばらつきが見られた各国の著作権制度が統一され、デジタル・ネットワークの基盤が整えられることになる。それは、デジタル・ネットワークが世界で最も発達しており、コンテンツ・情報産業輸出国アメリカにとって、次世代の繁栄につながる取り組みの一つであるといえる。

 DMCAのその後についてだが、本論文では、DMCA法律の内容自体を評価することが目的ではないので、ここでは、それについては論じない。しかし、実際に適用された事案について少し触れたい。

今年に入って、音楽ファイルの交換のサービスを提供しているナップスター社と、DVDの著作権保護装置解除ソフトDeCSSをインターネット上で提供した個人が、訴えられ、DMCAが裁判において適用されるかどうか争われた。いずれの事案もデジタル・ネットワークを利用した新しいビジネス、新技術であるが、既存の産業界は多大な損失を被ることから、DMCAを根拠に訴えた。これについて、DMCAを適用すれば違法行為になるので当然と見る意見からDMCAのせいでデジタル・ネットワークの発展の芽をつんでしまっているという意見がある。賛否両論のあるこれらの事案において今にところ、原告に有利な判決が下されている。一方で、ナップスター社を訴えたレコード会社は、ナップスター社によって生みだされたシステムを取りこみ、共同で新しいビジネスを生みだす方向に進んでいる。ここでも、過去のBetamax判決の繰り返しが見られる。DMCAがデジタル・ネットワークの発展を妨げるのではなく、促すものあるいはそのきっかけとして適用されることが本来のあるべき姿ではないのだろうか。

 

参考文献

Goldstein Paul,  Copyright's Highway, Hill and Wang 1994

Samuelson Pamela,  Intellectual property and the digital economy: why the anti-circumvention regulations need to be revised, Berkeley-Technology-Law- Journal; 14 no2 Spring 1999

Samuelson Pamela,  Intellectual Property in the Age of Universal Access;1999 The Association for Computing Machinery

National Research Council, The Digital Dilemma: Intellectual Property in the Information Age; 2000 National Academy Press 

NII,  Intellectual Property and the National Information Infrastructure, Report by the Working Group on Intellectual Property Rights, Information Infrastructure Task Force 1995

(大楽光江 訳 『知的所有財産と全米情報基盤』(著作権情報センター1995))

 『情報化社会の未来と著作権の役割』、パメラ・サミュエルソン著 財団法人知的財産研究所訳

信山社、1998

山本隆司、「米国におけるデジタルミレニアム著作権法その他最近の著作権法改正について」『コピライト』1999.6

田村善之、「インターネットと著作権ー著作権法の第三の波」『アメリカ法』2000.3

富樫康明、『インターネット時代の著作権』日本地域社会研究所2000

岡邦俊、「アメリカ知的所有権紛争の最前線(21)著作権法/技術的制限の保護WIPO著作権条約実施の審議」『JCAジャーナル』1997年11月p50〜51

トーマスC.ヴィンジ;大楽光江 訳 「資料WIPO著作権条約―ジュネーブで達成されたバランス」『コピライト』1997年8月P62〜69

 

Digital Future Association  www.dfc.org

Home Recording Right Coalition of America  www.hrrc.org

Electric Frontier Foundation  www.efg.org

Recording Industry Association of America  www.riaa.org

Motion Picture Association of America   www.mpaa.org

Information Technology Industry Council www.itic.org

Center for Responsive Politics  www.opensecrets.org

 



[i] デジタル化されたあるいは、ネットワーク上に流通した著作物の著作権を複製などから保護する目的で施された装置

[ii] 著作物の複製または実演・展示に関して伝達される情報のこと

[iii] アクセス・コントロールの身近な例としては、ホームページ上に設けられた会員制のサイトが挙げられる(例 リクナビ)

[iv] Economist 1996727 p61~63

[v] 朝日新聞 199675

[vi]山本隆司、「米国におけるデジタルミレニアム著作権法その他最近の著作権法改正について」『コピライト』1999.6

[vii] viと同じ

[viii] デジタル著作部物を複製、改変から保護する目的に何らか処置を施すこと

[ix]山本隆司、「米国におけるデジタルミレニアム著作権法その他最近の著作権法改正について」『コピライト』1999.6

[x] 小泉直樹、『アメリカの著作権制度』弘文堂、1996

[xi] NII,  Intellectual Property and the National Information Infrastructure, Report by the Working Group on Intellectual Property Rights, Information Infrastructure Task Force 1995

[xii] 朝日新聞 19961221

[xiii]山本隆司、「米国におけるデジタルミレニアム著作権法その他最近の著作権法改正について」『コピライト』1999.6

[xiv] House Panel Approves Update Of Copyright Liability LawsCongressional Quarterly Weekly(CQ) April 4. 1998 p.889

 

[xvi] The Digital Millennium Copyright Act of 1998

[xvii] xviと同じ

[xviii] Playboy Enterprises, Inc. v. Frena, 889 F.sup 1552(M.D.Fla.1993)

[xix] Religious Technology Center v. Netcom On-line Communication

Services Inc., 51 PTCJ 115(N.D.Cal 1995)

[xx] http://www.riaa.org

[xxi] http://www.mpaa.org

[xxii] xx同じ

[xxiii] http://www.mpaa.org

[xxiv] http://www.mpaa.org, http;//www.riaa.org

[xxv] xxivと同じ

[xxvi] http://ww.w.riaa.org

[xxvii] http://www.itic.org

[xxviii] xxviiと同じ

[xxix] http://www.hrrc.org

[xxx] http://www.itic.org

[xxxi] http://www.glocom.ac.jp

[xxxii] http://www.itic.org

[xxxiii] xxxiと同じ

[xxxiv] Digital Copyright Draft Bill Gets Boost From Intense Senate Panel NegotiationCQ May 2,1998 p.1151

[xxxv] Copyright Protection Bill Advances; Talks Continue On Encryption IssuesCQ June 20, 1998 p.1705

[xxxvi] http://www.thomas.loc.

[xxxvii] http://www.mpaa.org

[xxxviii] http://www.opensecrets.org

[xxxix]xxxivと同じ

[xl] Hatch Sets Deadline For Settling Differences On Digital Copyright BillCQ April 25, 1998 p.1076

[xli] http://www.house.gov/coble/

[xlii] http://www.riaa.org

[xliii] Congress Haltingly Begins Writing The Book on Internet Regulation CQ October 17, 1998 p.2817

[xliv] Hoping To Fend Off Regulation, High-Tech Industry Steps Up Its Campaign ContributionsCQ October 31, 1998 p.2958 

[xlv] xliii同じ

[xlvi] http://www.itic.org

[xlvii] Copyright Protection Bill Advances; Talks Continue On Encryption Issues CQ June 20, 1998 p.1704

 

 

卒論にあとがき。

橋本理恵

 卒論に手をつけ始めてから、1年間。ここまでの道のりは長かったなぁ。

最初決めたテーマから、随分変わりました。DMCAについてやろうと思ったきっかけは、映画に(少しは)関係するようなことを書きたいなと思ったからです。でも、政治学的で映画にも関わる題材ってあんまり見かけないんだよね。たまたま新聞を読んでいたときに見つけて、興味をもって資料を探したらわりと見つかって、書けそうだと思ったので、DMCAについてやることになりました。あと法律名の胡散臭さにも惹かれました。決して、コンピューターに興味があったからではなくて、資料を読むときは???の連続でした。

実際は、かなり身近な問題だと思いました。資料を読んでいくうちに少しはコンピューターについてわかるようになりました。また、DMCAについて調べていくうちに、DMCAが思ったよりも面白い題材であることにきづきました。でも、機械音痴はあいかわらず・・。未だに、ワードが使いこなせない。コピーとか、貼り付けとか、切り取りでただでさえ稚拙な文章が余計わけわからなくなったり、箇所を間違えることはしょっちゅうです。今日も註のつけ方で発狂しそうになっている。

 DMCAについて2年前に制定された新しい法律なので資料があるかどうか不安でした。思ったより発見できました。文献資料はさすがに少なかったです。資料が集まったのはいいのですが、活かせたかどうかは別問題ですね。初稿のときは、いま一つまとまらずに提出してしまいましたが、最終稿ではそれなりにまとまったと思います。

 DMCAをやると決めてから約半年。実質、半年で書きました。思ったより短かったです。資料集めと資料整理と執筆をほぼ同時進行にやって、大変でした。ほんとに書き終えることができるのかなー、なんて思いました。ただでさえ、マイペースで資料読むのが遅いのに。卒論のテーマを決めるときは、1年間あきないものにしましょう。でないと、資料集めとか課題などで苦しみますよ。

 あと、度々提出物が遅れて、あるいは、締め切り直前でごめんなさい。

前は、余裕をもって提出していたのですが、最近はそうでなくなりなした。進歩どころか退化しているかも。

普通の課題だとそうでもないのだけれど、論文集に載せるといわれると、ところどころ直したくなって、結局直前まで、いじっていることがよくあります。あと、パソコンで書いている点も大きいかな。なぜかこういうときに限って、プリントアウトするときにうまく行かなくて。

 まだまだ、書こうと思えば良い論文がいくらでも書けそうな気がするけれど、きりがなくなるので、こんなものかなと思っています。あまりいじりすぎて内容がずれたり、ワードでフリーズしたら大惨事だし。 

とりあえず、書き終えたので、春休みの計画でも建てようかな。

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