2001年度研修報告書

研 修 国: Switzerland

研 修 地: Leibstadt

研修先機関: Kernkraftwerk Leibstadt AG

(Leibstadt Nuclear Power Plant)


氏  名: Ooi Jin Gee

在籍大学: 大阪大学

学  部: 工学部

専  攻: 電子制御機械

学  年: 大学院 博士課程前期1

1 研修の概要

研 修 国: Switzerland  

研 修 地: Leibstadt

研修先機関: Kernkraftwerk Leibstadt AG KKL

 (Leibstadt Nuclear Power Plant)    

1.1 研修先機関の紹介

Kernkraftwerk Leibstadt(以下はKKL)はスイスでの5つ目の原子発電所であり,最も大きなプラントである.19841215日から産業運転が始まり,1000MW以上の電力をスイス全国に送っている.発電所には400人が勤めている.

KKLはスイスの北部,ドイツとの国境であるライン川のすぐ隣にある.原子炉は軽水炉(light-water reactor)の技術から改良したBWRboiling-water reactor)である.冷却水はライン川の水を利用している.さらに,ライン川の水温を影響しないように,144mの高さもあるクーリィングタワー(Cooling Tower)から熱を水蒸気によって空に排出している.

1.2 配属された部署

Engineering Analysis Department

1.3 研修期間,就業時間

研修機関: 200164日〜2001825

就業時間: 週5日制,基本的に朝8時〜昼5時まで

1.4 賃金

毎月CHF 2,500.00(スイスフランク)

1.5 研修先機関の派遣研修生への待遇

アパートおよび自転車を無償で提供する.アパートは2つ部屋で,3人の研修生が共用する.アパートには完備的なキッチン,お風呂,洗濯機およびドライヤー,テレビ,ソファーなどが揃っている.毎週,会社の清潔工人がアパートの掃除,ベッドシーツの交換などをやってくれる.

1.6 日程と仕事内容

1.6.1 仕事内容:

7年間(7サイクルといわれる)に渡って収集したデータを基づいて,発電所にあるコンデンサーの作業効率を調査することである.データ解析用の手段はMicrosoft Excelとコンデンサー解析用の専用ソフトを使っていた.そして,その作業効率が設計値に達成しない原因および全体の発電効率に対する影響をレポートにまとめて報告した.

1.6.2 日程:

2週間:原子力発電所およびそのコンデンサーの基本構造と作業方法を勉強させた.

2週間:データ解析の開始 − サイクル別のオリジナルデータを解析する.

1週間:Data Cleaning Process I − 信頼性高いのデータだけを残す.

1週間:期待値の計算 − 実際の作業環境をもとに,専用ソフトによってコンデンサー圧力の期待値を計算する.

1週間:Data Cleaning Process II − コンデンサーの特徴および本調査の目的によって,データの使用範囲を決める.

1週間:作業効率を左右する要素の影響を分析する.

1週間:Power Upgrade Projectによる影響を調査する.

1週間:全体発電に対する悪影響を求める.

1週間:プロジェクトを検討する.

1週間:レポートを作成する.

2 研修先の生活

働く場所は円形グラスビルの地上3階にある.あそこはEngineering Analysis Departmentであり,20人ほどの研究者が発電所の様々な技術調査プロジェクトを担当している.中ではスイス以外,ドイツ,チェコ,オーストリア,オランダなどの研究者もたくさんいる.それで,主にドイツ語を使われているが,英語も良く通じる環境である.

発電所は原子力の施設であるため,保安(security)対策が厳しく取られている.発電所を入る前,荷物をスキャンしたり,保安員からName Tagをもらえたり,することが必要である.そして,Name Tagによって入られる建物が制限されている.また,研修生は19時以降に滞在すれば,特別許可が要る.しかし,それらの制限にもかかわらず,与えられた仕事を完成するため,十分な自由および快適な環境である.

発電所ではレストランがある.朝はパン,サンドイッチと熱い飲料,昼はランチセット,サラダバー,デザートなどがある.職員に対して特別割引がある(例えば,ランチセットは職員ならCHF 7.00,非職員ならCHF 11.00である.).

8月分,発電所の作業は3週間ほど一時に止めて燃料の交換を行う(Outageという).その間,外から500人ぐらいの作業者,研究者が発電所にやってきて,燃料の交換,各施設の測定およびメインテーナス作業を行う.中には100以上のヨーロッパ各地の学生も含めているから,いい出会いができるかもしれない.また,普段に入ることができないコンデンサービル,原子炉などを見学することもできる.

3 研修の内容

研修の課題は発電所にあるコンデンサーの作業効率を調査することである.調査中に使われたデータおよび得られた結果は会社の専権物であり,ここで公開できないものがあるため,研修課題の概要だけを説明しておく.

3.1 発電所のコンデンサー:



1:発電所にあるコンデンサー

コンデンサーはタービンを動かした蒸気を凝縮し,その廃熱が冷却水を介して.施設外に排出する.全体発電効率を向上するため,コンデンサーの内部圧力はなるべく低圧(大気圧の約1/10倍)に抑える.しかし,コンデンサーの構造が複雑であり,作業効率が設計値に届かない場合が多い.そして,本調査ではコンデンサーの作業効率を左右する要素を解明し,また全体発電効率に及ぼす影響を調べることを目的とする.

3.2 調査手段と結果:

調査は1994年から2001年までに収集したデータを基づいて行った.データ解析にはMicrosoft Excelを利用し,コンデンサー圧力の期待値の計算には専用ソフトを使っていた.測定した圧力と期待値の差はコンデンサーの作業効率を評価する基準とする.

調査結果より,コンデンサーの作業効率は冷却水の入り温度およびコンデンサーの熱負荷によって大きな影響を受けていると見られる.また,コンデンサーの圧力が大きいほど,効率の低下が著しくなることもわかった.そして,そのコンデンサー作業効率の低下を原因とした発電量の減少を電力の売上に換算した.

4 渡航前の準備費用

4.1 渡航手段:

使用交通機関: シンガポール航空会社(SIA

渡航ルート : 大阪 シンガポール チューリヒ(スイス)

費用    : 12万円

4.2 保険:

会社名: AIU Insurance Company

価格 : ¥17,390

セット: 傷害死亡   1千万円

     傷害治療  3.73百万円

疾病治療  3.73百万円

     疾病死亡   1千万円

     賠償責任   1億円

     救援者   5百万円

     携行品   40万円

     手荷物   10万円

4.3 労働許可:

ビザは必要なかった.労働許可は研修先から送っていただいたものである(付録1参照)

5 研修国のイアエステ委員会とその待遇

5.1 研修国到着日:

到着日に,研修先の責任者がチューリヒ空港に迎えてきて,アパートまで連れていた.

5.2 現地イアエステ委員会の催し活動:

スイスには3つのイアエステ委員会(Local Committeeとよばれる,以下はLC)がある.

i) LC Zurich (毎木曜日,8:00 pm

ii) LC Lausanne (毎水曜日,8:30 pm

iii) LC Basel (毎火曜日,9:00 pm

以上の週間集合のほか,さまざまなイベントも行われている.イベントの情報はホームページ(http://www.iaeste.ch/Trainees/Events/)で公開され,参加者の受け付けなども行われている.表12001年度に行われたイベントである.

6 研修国での生活について

6.1 生活環境:

アパートは発電所から1.5kmを離れた小さいな町(Leibstadt)にある.アパートの設備は1.5節を参照してください.アパートでは全く問題なく,快適な生活ができると思う.僕はオランダの研修生と同じ部屋で,もう一つの部屋はカナダからきた女性の研修生が泊まっていた.仕事が終わってから,夕食を作ったり,話しをしたり,テレビを見たり,することで時間を過ごした.週末はスイスイアエステのイベントを参加するか,あるいは,自分の小さいな旅に出かけることが多かった.

個人の自由時間は十分あると思う.仕事は週5日制で,毎週38時間以上を働ければ良いということである.出勤と帰りの時間は自由があり,僕はだいたい朝の8時半から昼の5時または6時までに働いていた.仕事以外,すべて自分の自由時間である.夕方または週末,何もしないとき近くにbicycle rideをしても気持ちが良かったと思っている.

6.2 研修先の町 Leibstadtとまわり:

Leibstadtは千人以下が住み,周りは緑が多く,畑ばかりという町である.町中心には銀行,郵便局,小中学校,教会,レストラン,ミニバー,小さいスーパー,パン屋さんがある.店の営業開始時間は朝早い(パン屋さんが5時から,ほかは8時から)が,終了も早かった(銀行と郵便局は16時半まで,スーパーは18時半).夜7時から,町には何もなかったという感じをした.土曜日は半日,日曜日はすべて休みだった.

ところが,スイスの人でも僕でも,よく隣のドイツに買い物をしにいた.Leibstadtから自転車で10分ほどライン川(スイスとドイツの国境)を渡れば,簡単にドイツに入ることができる.ドイツの方で物価がスイスより安いし,選択も多いというわけがある.しかし,僕にとっては夕方7時半まで営業するのは助かると思った.

Leibstadtには電車駅がない.一番近いな電車駅は5kmを離れたKoblenzにある.そして,あそこの交通手段は自転車またはポストバスを利用した.バスのサービスは平日06002300,週末08002300の間にKoblenz行きバスは1時間1便または2便であり,夜の帰りもちょっと“はやい”(例えば,チューリヒから2200の電車を乗らなければ,最終バスを乗りつづくことができない)ということで不便と思っていた.

まとめて,Leibstadtは環境がいい,素朴な生活ができるが,買い物と交通はあまり不便と思っている.

12001年度スイスイアエステのイベント

Date

Event

Responsible

Max number of participants

Mar 17

Steep & Deep

Nadine Priemer
(LC Basel)

24

Jun 23-24

Geneva Weekend
Fete de la musique, bol d'or (sailing event)

Michael Baumgartner
(LC Lausanne)

-

Jul 06

Industrial Sights: ABB Turbo Systems

Letitia Midmore (LC Zurich)

30

Jul 07-08

Zuri Fascht

- (LC Zurich)

-

Jul 14-15

Neuchatel Weekend

Patrick Visino
(LC Lausanne)

52

Jul 20-22

Farming Weekend

Matthias Cavigelli / Pascal Zaffarano
(LC Zurich / IAAS)

35

Jul 27-29

Mountain Cheese Weekend

Khaoula Belhaj / Erich von Ah
(LC Zurich / IAAS)

15 to 25

Aug 04-05

Ticino Weekend

Daniel Schmidt
(LC Zurich)

40

Aug 11-12

Street Parade
Big Techno Party

Alex Feller
(LC Zurich)

-

Aug 18-19

River Rafting Weekend

Pia Oschwald
(LC Zurich)

47

Aug 25-26

Zermatt Weekend

Loic Zingraff
(LC Lausanne)

40

Sep 1-2

Basel Weekend

Seraina Keller
(LC Basel)

30

Sep 8-9

Appenzell Weekend

Pia Oschwald
(LC Zurich)

20

Sep 22-23

Lausanne Weekend

Samuel Martin
(LC Lausanne)

-

Oct 6

International Cooking

Mirielle Suter
(National Secretary)

-

Oct 6-7

Wine Tasting

Beat Fasel
(LC Lausanne)

-

Dec 8-9

Ski Weekend

Chris Eigenmann
(LC Lausanne)

-

(以上の情報はあくまでも参考資料となるので,詳しい情報はスイスイアエステのSurvival Bookletまたはホームページで見てください.)

7 研修の総括

今回の研修ではいい経験をしたと考える.コンデンサーについてよく勉強させたが,原子力発電所のいろいろのこともたくさん教えてくれた.そして,現場の見学ができるのはすばらしい経験と思っている.英語があまり得意ではない僕はずっと英語で話したり,相談したり,レポートを書いたり,するのはちょっと疲れていた.

一方,スイスイアエステのイベントにはスイス文化の紹介が少ななかったから,ちょっと残念と思われた.しかし,研修の休み時間を利用して,スイス国内とまわりの国に旅をしたことで,ヨーロッパの文化を多少に勉強となった.

全体として,この研修プログラムはすごく良かったと思っている.KKLは研修生に対していい事をやっているので,来年度の派遣研修生にもお勧めにする.

8 新派遣研修生へのメッセージ

外人の日本語ですけれども,読むの方も大変でしょうか.このレポートを読んで,研修先の生活について少しイメージができたら,僕も大変うれしいです.外国の生活で,一番問題となるのはやはり言葉と思います.スイスでは地域によってドイツ語,フランス語またはイタリア語を使われている.英語は通じないところもあることを覚悟してください.しかし,英語が良くできれば,ほかの研修生と楽しい会話ができて,いい研修生活ができるでしょう.頑張ってください.

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