'ippo1a' from txt
Nifty lib up;
- 97.10.11
Garbage Collection By IPPO 護魅箱漁りの一歩君
A:「さて、皆様」B:「毎度、ダウンロードして頂き真に有難う御座います」C:「作者 一歩に変りまして、その分身たるこの私め等4人組が」D:「不詳ながらこの短編集の御案内と解説の役をお勤めします」
A:「おい、いいのか、天下の Nifty でこんな事して」D:「知らん。所詮人生トライ&エラーだ」B:「失敗というなら、そもそも FSF で偉そうに作品UPしたのが間違いだろう」C:「そうですよ。この際毒を食らわば皿までです」A:「トホホ。ま、いいや、まず目次。次に作品、行きます」
####### 目次 #######
FSF1 内 創作の部屋
タイトル 部屋-発言 番号 (行数) 製作開始 UP
(1) 起源 5-535 (077) 96.??.?? - 96.11.14
(2) 義体化 5-553 (066) 96.11.16 - 96.11.18
(3) 腕時計 5-583 (059) 96.11.20 - 96.11.24
(4) トランプの裏 5-598 (116) 95.11.17 - 96.12.01
(5) 二つの知性 5-615 (102) 96.12.06 - 96.12.07
(6) こころのゆくえ 5-623 (173) 96.11.2? - 96.12.12
- silver hearts - (silver heart 改題)
(7) 謎の手紙 5-631 (068) 95.12.?? - 96.12.17
最終チェック&加筆修正 96.12.31
####### 作品 #######
起源
「宇宙の始まりって、何だろう。」
虚空の宇宙に、何処からか来た塵が立ちこめ、やがて渦を描きはじめる。中心は太陽となり、その周辺には伴星が形作られ始める。中心から数えて3番目の惑星の系に多少の狂いが生じ、巨大な衛星がうまれ、第3惑星を周回し始める。地球と、そして、月だ。
「かぐや姫を知ってるかい?月から来たんだ。」
月は、地球よりも小さく、その分、早く冷え始めた。眼下に赤くたぎる地球を見下ろしながら、月は回る。その表面温度は、有機物の存在を許す程度に冷たく、そして熱くなっていた。
「夜空を見上げると、切なくなるんだ。特に、満月だったりすると。」
灼熱の太陽は今よりも激しく月面を照らす。紫外線を遮る大気もない。それは、熱く、エネルギーに満ちた世界でもあった。今は無い月の海の中、あふれんばかりのエネルギーを利用し、多くの無機物や有機物が、変形し、融合し、化合し、新たな結合を成し、生まれた。灼熱を食らい、紫外線をも消化して、それらは前進を続ける。厳しい環境は弱者を叱咤し、溢れるエネルギーは強者を更に激励する。より強く、より貪欲に、より多様に。
「今日の月は奇麗だ。アバタまでよく見える。」
眼下の地球も冷え、海ができ、低級の生物が波間を漂う。月は更に冷え始め、生物の住める環境ではなくなって行く。徐々に、しかし、確実に。突然の流星雨。保護する大気は既に薄く、月は核から揺さぶられる。大量の月の欠けらが、地球へと降り注ぐ。
「流星にこびりついていた物質が、地球の生命の起源だって言うぜ。」
月の欠けらには、有機物がしがみついていた。突然の環境の変化。寄る辺無い世界。まるで、難破船の生き残りが、木切れに捕まる様に、波間に浮かぶ原住生物に、月の有機物はしがみつく。
「ミトコンドリア、て知ってるか?細胞の中にある一組織さ。外来性らしい。」
水に油が浮く様に、そして一つの塊になる様に、波に寄せられ、多数の、そして多様な月の有機物が、一つの原住生物の上に、折り重なって寄生する。未知の環境の中、それだけが生き残る術でもある。
「まてよ、外来性なのはそれだけか?細胞の中身は以外と多様だぞ。」
やがて、それらは全体で一つを成し、何処までが何だったのか判らなくなり、不可思議な相互作用を内部で行い、そして、それでも、生き続ける。
「人に限らず、生物は、月の周期に支配されているんだ。不思議だろ。」
単なる嫌気性細菌だった原住生物は、多くの特殊技能を獲得し、新たな進化を始める。植物へ。動物へ。水中から陸へ。空へ。
「何で植物は上を目指して伸びるんだ?何で、俺はこんなにも空を飛びたいんだ?」
人類は、空へと進出する。そして、更なる高みを目指す。真空の世界へ。月へ。
「星や月を見てて感じるんだ。帰りたい。」
今は眠っている者達も、親しい環境へと戻れば、やがて目を覚ますだろう。宇宙線も灼熱地獄をもモノともしない、いや、それらを懐かしく感じる者達が。全くの異界へと突き落とされても、しぶとく生き残った者達が。目覚めには、少し時間がかかるかも知れない。
「最近の宇宙計画、全然進歩しないね。何を待ってるんだろ。人類の進化かな?」
だが、いつか、必ず。
そして、伴に更なる故郷を目指す。
A:「でっびうー作〜!」D:「骨だけで肉が無い話、との評価あり」C:「作者教養が無いから、肉付けられないってさ」B:「アイデア一発、又は詩情のある、そんな与太話なんか書けたらというのが
作者の願いだそうですよ」
義体化 (加筆 まきりん)
兄の決意は固かった。優柔不断な兄の決意はとても固かった。
「おい、妹よ」
「なぁにぃ」
「やっぱ、俺は決めたぞ。変える」
「ええ、止めてよぉ」
「うるさい。俺の体だ、俺の勝手だろうが。結構無理に使ったからなあ、あちこちにガタが来てるんだよ。特にコイツは酷くって。今のままじゃ色々とつらい」
「やだなあ、身内にサイボーグだなんて。ダサダサー」
「これがサイボーグなんて大げさなものかい」
「でも、人工物を体にはめ込むのには間違いないじゃん」
「いいの、これぐらいは。誰でもやってるじゃん」
「そりゃあ、まあ、友達にもいるけどぉ。お金もかかるよ?」
「いや、それが、今と大して変らんらしいんだ」
「ほんとかなあ」
「明日には専門の医者の所に行ってくるから。お前も行くか?良い機会だろ」
「結構ですぅ。私は今のまんまでいい」
「ちぇ、勝手にしろ」
「改造、それは男のロマン。所詮妹には解らんのだ。ふっふっふ、良い響きだ」これが彼の決意の秘密らしい。弱気な男の衝動を支持するいいかげんな理由。
そして次の日
世の中が明るくなった気分だ。しかし、代償もそれなりに。
「あた、やっぱ結構痛い」
「ほら、やっぱり痛いでしょ?」ざまあみなさいとばかりに嫌味を言われる。
「うるさい、慣れるまでだ。慣れればこれが普通になるの」
「今までと違うから、違和感あるんじゃない?」
「慣れれば前よりこっちの方が自然になるって」
「無理してまで変えることなかったのに」
「無理なんかしてないってば」
良いのだ、これはロマンなのだ。実益を兼ねた。
「あれ?それがケース?」
「そう、寝る時には外せって」
「ふうん、やっぱ、不便なんだね」
「日中の楽さに比べれば、小さなものさ」
(独白:まあ、面倒と思わないでもないけどさ。メンテナンスも大変だし)
「…ねえ」
「うん?」
「そのケース、なんだか、金庫の回し錠に似てない?こう、両手でくるくるくるってさ。へへへ、金庫破りみたい」
「…阿呆。」
(独白:げ!やっぱ兄妹。おんなじ事考えてんだ。…妹に気づかれないうちに、鼻歌で○パン3世のテーマソングを唄うのは止めよう。さて、ケースのキャップをくるくるくるっと回しまして、と。)
「ん、これでよし。あれ、お前ももう寝るの?」
「うん、おやすみぃ」
「眼鏡外したら机の上に置けよ。前みたいに床に置いてたら、又俺が踏むからなぁ」
「はあい。お兄ちゃんは、もうその心配はないんだよね。いいなぁ」
「へへん、うらやましーだろー。じゃ、おやすみぃ」
男は手に持ってたソフトコンタクトレンズをしまい、寝床へと向かった。
そうやって、その時々の人の気づかないうちに、
人の体の義体化は進むのかも知れない。
A:「第2作〜!」D:「馬鹿っぽいぞお前」B:「いきなりオチを見破られました。鋭い人が FSF には多いです」C:「作品が甘いのだろう。これも、もう一味欲しいっていわれた」A:「作者は「アイデアだけで面白い」話のつもりだと。調味料無し」B:「モデルは作者とその妹。で、友人に勝手に加筆されたそうです」D:「また加筆がモデルを図星してるから、削除出来なかったんだと」A:「日常に隠れているSF。そこでディスプレイ見ている貴方、目は大切にね。
Reference はアニメのルパン3世(つうても、ほとんど関係無いですが)」
腕時計
パパから貰った腕時計。大事な大事な僕の時計。今日もちくたく時間を刻む。
パパはパパのパパから貰った時計。とってもとっても古うい時計。壊れて動かない針もある。ほら、この針だよ、崩れてこなごな。
パパも、パパのパパも、”くうぉーつ式”が大嫌い。
”いのち”がこもってないからだって。だからこれは”きかい式”。僕には違いがわからない、だって僕のもってる時計はこれだけだもの。僕にわかるのは、この時計がとってもステキだってこと。
でんちは”かくゆうごう”だって。だから、ずうっと、パパのパパの時から、一度も止まらず動いているんだって。ちくたく、ちくたく。ちっとも休まず、だけどもいそがず、ちくたくちくたく。
僕の腕時計には、たくさんの針がある。秒針、分針、時針が回る。追いかけっこをするみたい。更にその外側を、日針、月針、年針が回る。とてもゆっくり、歩くみたいに。うるう針もいくつかあって、同じ中心を回ってる。ほら、これが、うるう秒にうるう分。そしてこれが、うるう年。あんまりあんまりゆっくりなので、僕には動きがわからない。だけどもやっぱり回ってる。とっても複雑、とっても不思議な、僕の時計。
一本、動かないのが、残念だけど。でも、僕の時計は最高なのさ。
とっても素敵な偶然があるんだ。明日は僕の誕生日。その日、この腕時計の針が、全部12時の方を向くんだ。うるう針まで含めてだよ。すごいだろ?明日が今から楽しみだ。君にも見せてあげるからね。
パパから貰った腕時計。いつも休まず時間を刻む。今日は、このまま、腕に抱いたままで寝よう。耳を澄ませば音がする。ちくたくちくたく。いきている。
あと10秒。あと5秒。真っ黒な文字盤の中を、ゆっくり針が回ってく。色とりどりの針が回ってく。一つとして同じ色、同じ形の針はないんだ。あ、ほら、それが、全部同じ直線上に並ぶよ。さん、にい、いち。やったああ!ありがとう時計君、これは君からのなによりのプレゼントだよ!
−西暦XXXX年:太陽系 惑星直列。−
A:「それだけだよ、と。イメージを楽しんでね、と」C:「落ちをつけるなら、『その日、全人類は何かのメッセージ(天啓)を受けた』
とでも」D:「小学校で習った、あの歌とあの歌がイメージにだぶったりして」C:「あれだろ、古時計と、クラリネット」D:「そう。で、やばいと思って後半はリズムを変えた」
トランプの裏
あれは、父の職場に連れていってもらった日の事だ。ロビーの大理石の中に泳ぐ魚や巻貝を見てはしゃいだっけ。
「化石というんだよ。」そう教えてくれたのは、父だったのか。
その帰り、私は父とはぐれて、ビルの解体工事をする現場へと迷いこんだ。コンクリートの土台に、微かに現れている、何かの破片。
「化石だ。」私は、無邪気にそう信じこんで、なんとか掘り出そうとした。ここはロビーではないのだから、止められることもないだろう。何か、掘る道具。
「どうしたの?」声がした。その人の姿は、はっきりとは思い出せない。長い髪、優しそうな顔だち、白だったか、黒だったか、全身を緩く包む、一色の服。今思えば、あれは作業服で、その人は工事の関係者だったのかも知れない。化石を掘る道具を探してる、というと、その人は笑って、
「本当に掘り出したいんだね?何があるのか知りたい?じゃ、これをあげよう。」そう言うと、大きなカッターナイフをくれた。紙でなく、針金を切る為にある様な、無骨な奴だ。お礼をいって受け取ると、私は発掘作業に専念した。
やがて父が私を見つけ、私が掘り出したものを見て驚き、あたりは騒然となった。それは、人骨だった。私は、何だか不思議だった。私の中にも、この化石と同じ物が入っているのだろうか。ナイフをくれた人の姿は、何処へいってしまったのか、あれだけの騒ぎにも関わらず見つからなかった。
あれから大分時間が過ぎた。父は、あの、大理石張りのロビーを持つ建物の所長になっていた。
『総合生体工学研究所』それが、父の職場であり、最近では非常な注目を集めている所なのだ、と、私も理解できる年齢になっている。神経細胞の伝達パルスの解析、拒絶反応をおこさない生体素材の開発。本物とほとんど変わらない義手、義足、人工臓器の実用化。医学業界のみならず、コンピュータ業界、産業ロボット業界等とも密接につながり、ハイテクとなれば必ず出てくる研究所の名前。世間を知り始めている私は、時々考える。父は、どうやってその地位を築いたのだろう、と。
私は体が弱い。ちょっとした風邪でも、すぐにこじらせてしまう虚弱体質だ。父は自分の職業を利用して、私の健康の為、研究所を利用している。
「ここの設備が、何処の病院よりも確かだからな。」幼い頃から、頻繁に行われる健康診断。化石を掘り出したあの日も、こんな健康診断の時だったか。
研究所では、父の子供という事で、色々な所を見て回れた。部内者でなければ見れない様な所も見れる。グロテスクな物も沢山ある。義手の開発現場も覗けた。配線やアクチュエータを不気味に垂らしながら、不器用に卵を掴もうとする人工の腕。私は自分の腕を見下ろす。時々、思う様に動かなくなる、不良品の様な腕。私の腕も、ナイフで皮を切り裂いて中を覗けば、あんな配線が隠れているのではないのだろうか。あの時のカッターナイフは、今も大事に机の中にしまってある。
ぼんやりとしていたのか、自転車をこいでいて、いきなり大きな音と共に世界が反転した。バイクと衝突事故を起こしたのだ。何にひっかけたのか、左腕に大きな傷ができてる。中の筋肉が見て取れた。
「…赤い血だ。」自分の腕から流れる物を見て、何故か私はほっとしていた。何処にも配線などない。父は病院に慌ててやってきて、バイクに乗っていた青年を激しくなじった。
「大事な一人っ子に何をする。」病院を検査もそうそうに出て、自分の研究所で、もう一度傷口や脳波を調べるまで安心しなかった。
父が上機嫌だ。おいしいフランス料理を御馳走するという。何十年も手掛けていたプロジェクト達が、ようやく日の目を見るそうだ。値段が気になって咽喉も通らない様な食事を前に、楽しげに話してくれた。
「物が物だけにね。安全性や耐用年数や何やかやの検証に十年以上もかけたんだ。基礎理論だけならとっくに出来ていた。私が入所した頃からの計画でね。」
「検証?」
「実際に作ってみて、動かす。壊れるまで、動かし続ける。ある程度の年限を過ぎても問題なく動き続けていれば、まあ、それだけは保証年限として大丈夫だな、と。そういう実験の事だよ。」
父の仕事が発表された。新聞の第一面で活字が踊る。
「画期的な人工知能システム」
「ついに、チューリングゲームの裏をかける迄に」人と全く変わらない人工知能。それが、可能だという。体積や重量も驚く程小型に、そう、人の脳髄と変わらぬ程で。世間の人々が、父を、天才だ、奇跡だと声高らかに叫ぶ。父は黙って賞賛を受けている。
興奮の冷めやらぬうちに、矢継ぎ早に、又、発表が行われる。
「組織だった細胞のクローニングに成功」人の細胞に、電気刺激やホルモンを与えながら培養する。人工の代用部品でない、『本物』の、筋肉や、皮膚や、内臓が、きちんとその形に生成される。拒絶反応の全く起きない、事故で失う前と全く同じ体が手に入る。もう、『人工の』腕であっても、『義』手をつける人はいなくなるんだ。例え、人工の腕であっても、傷つけば赤い血が流れる様になるんだ。父は、十年以上前に既に技術は出来ていた、といっていた。私は、又、自分の腕を見つめていた。そこには、この間の事故の傷跡が、まだしっかりと残っている。
この腕は、本当に私の腕なのだろうか。いや、その前に。私は、一体何なのだろうか。丘の上の教会に散歩にでかける。窓から差し込む光が、ステンドグラスのマリア像と天使を浮かび上がらせる。あの時、私にナイフを渡してくれたあの人は、今、何処に居るのだろう。もう、死んでしまったのだろうか。天国、それとも、地獄にいるのか?
「本当に掘り出したいんだね?何があるのか知りたい?じゃ、これをあげよう。」優しげだった事しか解らない。それとも、笑っていたのか。誰だったのだろう、何だったのだろう。
風呂上がりに、姿見の中を覗き込む。うつろに見つめ返す瞳がある。この瞳の向こう、頭蓋骨の中身は、一体何が隠されているのか。
手のひらには、大きな、古ぼけたカッターナイフ。
C:「暗い。しかも、結論がない」D:「それはいつもの作者の癖。結論づけないのは、果たしていい事か悪い事か」A:「人間心理をえぐってる、と誉めていただきました」B:「映画の、ターミネーターやスターウォーズ、をイメージしてる所があります」
二つの知性
さて。これは、とある太陽系の、とある第三惑星のお話である。そのブルーに輝く美しい事、まさに神の奇跡である。そこは命と知性に満ち溢れていた。
その星の、ある時代、ある二人の会話を以下に示そう。
「SALK JFAI FKFAGHA FKAJFWURV!」
おっと、失礼。翻訳するのを忘れていた。
「馬鹿やろう、それは俺のとりぶんだ!」
「なにいってんだ、こないだはお前が持っていったじゃないか!」
「でも、そんなに沢山は持っていかなかったぞ!不公平だ!」
「…もうやめようよ、こんな喧嘩。水かけ論だ。」
「…だな。あ〜あ、なんか、きちんと物事を計ってくれる仕組みがないかな。」
「全くだ。こんな直観的な話でなく、こう、解析的にやってくれるのがな。」
大丈夫。彼等の願いは、数百年後、ある科学者の発明に端を発し、本当になる。
「えーと、これがダイオード。これがトランジスタ。それをこう配置して、と。」
「よし、今度こそうまくいきそうだな。テスト、ゴー!」
「結果でました!高速です!」
「やったあ!」
「我々の何倍もの速さの計算能力をもつ知性の誕生だ!」
その発明と発展により、文明はより豊かになる。様々な技術が発達する。だが、だからといって、喧嘩の種のつきる訳ではない。
「そこは我々の領土だ!」
「とんでもない!わが国の計算によれば、きっかりここまでは我々の土地だ!」
「なにをぅ!あんまりくどいと、こっちの新兵器をおみまいするぞ!」
「ふん、例の核分裂がどうこう、という奴かね?」
「そうとも!貴様等には開発できまい。」
「ところがどっこい。同じの、いや、もっと性能のいいのを開発したのさ。」
「そんな馬鹿な!さては盗んだなあ!」
「なにおう!」
ついに彼等は、触れてはならぬはずだったボタンを押してしまった。閃光が星をくまなく包み、やがて命の痕跡は姿を消した。残された人工知能のみが、チカチカとディスプレィを点滅させながら残った。
そして、時間だけが過ぎていった。
さて。これは、とある太陽系の、とある第三惑星のお話である。そのブラウンに輝く美しい事、まさに神の奇跡である。そこは命と知性に満ち溢れていた。
その星の、ある時代、ある二人の会話を以下に示そう。
「010101011101010101101010」
おっと、失礼。翻訳するのを忘れていた。
「馬鹿やろう、それは俺のとりぶんだ!」
「なにいってんだ、俺のシュミレート結果によるとこうなるんだ!」
「でも、その計算にはαパラメータが挿入されてなかったぞ!計算し直しだ!」
「…もうやめようよ、こんな喧嘩。水かけ論だ。」
「…だな。あ〜あ、なんか、素早く物事の判断をつける仕組みがないかな。」
「全くだ。こんな解析的な話でなく、こう、直観的にやってくれるのがな。」
大丈夫。彼等の願いは、数百年後、ある科学者の発明に端を発し、本当になる。
「えーと、これが核酸。これが蛋白質。それをこう配置して、と。」
「よし、今度こそうまくいきそうだな。テスト、ゴー!」
「結果でました!高速です!」
「やったあ!」
「我々の何倍もの速さの推測能力をもつ知性の誕生だ!」
その発明と発展により、文明はより豊かになる。様々な技術が発達する。だが、だからといって、喧嘩の種のつきる訳ではない。
「そこは我々の鉱山だ!」
「とんでもない!わが国の判断によれば、きっかりここまでは我々の土地だ!」
「なにをぅ!あんまりくどいと、こっちの新兵器をおみまいするぞ!」
「ふん、例の細菌で錆がどうこう、という奴かね?」
「そうとも!貴様等には開発できまい。」
「ところがどっこい。同じの、いや、もっと性能のいいのを開発したのさ。」
「そんな馬鹿な!さては盗んだなあ!」
「なにおう!」
ついに彼等は、触れてはならぬはずだったボタンを押してしまった。細菌が星をくまなく包み、やがて命の痕跡は姿を消した。残された人工知能のみが、ボンヤリと空を見上げながら残った。
そして、時間だけが過ぎていった。
さて。これは、とある太陽系の、とある第三惑星のお話である。そのブルーに輝く美しい事、まさに神の奇跡である。そこは命と知性に満ち溢れていた。
... and, never end. eternal replay ... . . . . .
A:「本屋で、『ネアンデルタール』という本をパラパラめくってて、ふと思いつい
た話だそうで」B:「『エンドレス構成』だけは最初から決めてたとか」A:「暇な人は、実際に活字として、カット&ペーストで、無限ループ化させてみて
下さい、妙な味がでます」
こころのゆくえ - silver hearts -
主よ、彼等の魂を御救いください。
砕けたステンドグラス、酸性雨にやられてただれた壁。廃棄ガスの黒い筋を幾重にも這わせた赤い屋根。その天頂には、かつては光り輝いていたであろう、鈍い色を放つ十字架。端の砕けた、古ぼけた十字架。ここは貧民窟。
「ひっく、ひっく。神父様ぁ。」
「おやおや、どうしたんだい、キャス。」
「トミーが、トミーが車にはねられたの。ぐったりして、動かないの。」
「トミー?ああ、こないだの雨の日に拾ってきた犬だね。」
「神父様、なんとか助けてあげて。」
「どれどれ、さあ、見せて。」
「助かるわよね。神父様、偉いもの。こないだ、ビッグマムの5人目の赤ちゃんだって、助けてくれたもの。」
「…キャス、私は、全然偉くなんかないんだよ。とても非力な、只の神父だ。」
「うそ、神父様偉いもの。」
「偉くなんかないんだ。…トミーはね、もう、助けてあげられない。」
「…死んじゃうの?やだあ!」
「私の力じゃ無理なんだ。ごめんよ。」そうしている間にも、子犬の息は小さくなっていき、やがて、止まった。
「ひっく、ひっく。」
「そんな悲しい顔をしないで。これも主の思し召しなんだよ、きっと。トミーは、多分、天国に行ったよ。もう、寒い思いをしなくてすむし、おなかをすかすこともない。とても幸せに暮らしているよ。」
「本当?」
「本当さ。私は嘘はつかないだろう?」
「うん。神父様は嘘をついたことがないわ。ジャックはいつもいじわるな嘘ばかりつくけど。じゃあ、本当に、トミーは今幸せなのね?」
「ああ、本当さ。ほら、そんなに泣くと、お空の上でトミーが心配するよ。トミーに心配をかけていいのかい?」
「判ったわ。悲しいけど、がまんする。トミーが幸せなら、私はそれでいいわ。」
「よしよし、良い娘だ。じゃあ、トミーの弔いをしてあげなくちゃね。」
「神父様、焼却炉まで、見送っていい?」
「ああ、いいとも。」焼却炉で、子犬の亡骸が煙になっていく。ここでは墓を建てる事すら出来ない。ひび割れたコンクリートを何メートルも掘り返さねば、土に触れることすらかなわない。
「神父、来てください、リタが!」
「どうしたんだね、アーサー。リタが、またどうかしたのか?」
「判らないんです。でも、苦しそうで。とにかく来てください。」
「判った。すぐに伺うよ。」高層ビルの谷間、ネオンの光さえ届かぬボロアパートの一室。やつれた顔に色濃い化粧をおとして、リタは寝ていた。
「むう、これは酷い熱だ。気管支の方もやられている。」だが、満足に薬さえありはしない。
「ありがとう、神父。わざわざ来てくれて。でも、もう大丈夫よ。仕事に行かなきゃ。」
「馬鹿言っちゃいかんよ、今日は寝ていたまえ。」
「駄目よ。休めば首だわ。私の変りは沢山居るのよ。そしたら、誰が私達を養ってくれるの?神父、貴方が?」
「かなうなら、いつでもそうしているよ。」
「無理ね、一生。…ごめんなさい、きつい言い方になってしまったわ。でも、行かなきゃ駄目なの。」
「…私に君を止める事は出来ない。充分、気をつけてな。」
「ありがとう。」
「すみません、神父。わざわざ来て頂いたのに。」
「なに、アーサー、役たたずだったのは私の方さ。何も出来ない。人を助けるのが私の仕事だというのに。」
「私だって、そうです。リタが苦しんでるのに、見てるしか出来ない。」
「君はまだ若い。それだけで力になる時もあるさ。私はもう老いぼれだ。私の教会と一緒でボロボロさ。ずいぶん長い間、ここで暮らしてきたが、やはり、私は無力だ。」
「そんな事はありません。リタの言葉なんか気にしないで。彼女だって、本気じゃないんですから。貴方に助けられている人は沢山います。本当ですよ。」
「ありがとう、アーサー。嬉しいよ。」
大寒波が街を襲う。寒さは、流行り病をのせてやってくる。ビッグマムの子供もやられた。病は、弱いものから順に毒牙にかけていく。
「こんにちは、キャス。具合はどうだい?」
「こんにちは、神父様。私は大丈夫よ、がまんできるわ。ねえ、それより、ジャックを知らない?ずうっとここにいて、しばらく会ってないの。」
「…ジャックにはこないだ会ったよ。あの時は元気にしていた。」
「やっぱり。ジャックは嘘つきだけど、とても体が丈夫だもの。こないだも私を助けてくれたのよ。あの時のお礼、はやくジャックに言わなきゃ。」
「ああ、そうだね。だから、はやく良くおなり。」
「うん。」ジャックは、あの直後に、キャスと同じ病気で倒れた事は伝えない。ジャックは、今、トミーと一緒に暮らしている。
「ねえ、神父様、私、もし死んだら、天国に行ける?」
「もちろん、キャスは良い娘だからね、行けるよ。」
「トミーにも会える?それとも、トミーは犬だから、犬専用の天国に行っちゃってて、人間用の天国には来れないの?」
「そんな事はない。生き物は全て同じ天国に行くんだよ。犬だから、猫だからといって、別々の国が用意してある訳じゃない。神様は、みんなに平等なんだ。」
「じゃあ、私の嫌いな人もいる?天国で、嫌な奴にも会わなきゃ行けないの?」
「さあ、それはどうだろう。でも、嫌な人は天国には行ってないと思うよ。そう、罪深い人は天国には入れない。」
「そうね、あんな奴等、きっと神様が許さないものね。」
「天国では、もう誰も死なないから、ずっと前に死んでしまった、キャスのお父さんにも、お母さんにも会えるよ。それから、きっとジャックにも。」
「そうか。ジャックが死ぬまで、私が待っていればいいんだものね。ねえ、神父様は?神父様にも、待っていたら会える?」
「…さあ、私はどうだろう。私に資格があるのかな?」
「あら、私が大丈夫なんだもの、絶対大丈夫よ。神父様は私よりずーとずーっと偉いもの。」
「ははは、ありがとう。」
「お久しぶりです、神父。」
「やあ、アーサー。」
「今日は、お別れを言いに来ました。リタと、別の国に移ります。」
「そうか、リタは元気になったかね?」
「いいえ。でもこの街に居続けるよりは、何処でもいい、何処かへ移った方がましでしょう。」
「そうだな。君は、何処でも、リタと一緒に?」
「ええ。一緒に何処へでも行きます。何も惜しくなんかない。ちょっと照れくさいけど、僕はその為に生まれてきたんだと思うんです。」
「ああ、君がそう思うなら、きっとその通りだろう。私がこの教会の為に生まれてきたみたいにね。」
「じゃあ、支度があるので。さようなら。」
「ああ。さようなら。」
「ねえ、神父。…もしも死んだら、僕の魂はリタと同じ所に行くでしょうか?」
「?」
「いえ、いいんです。どうでもいいことでした。じゃ。」
ビルの隙間に流れる川に、水死体があがる。リタとアーサーの手は、固く結び合わされたままだった。
「昔、心中恋唄、というのがあったか。生きて望みが叶わぬならば、死んで願いを遂げましょう、だったかな。もう忘れてしまったが、賛美歌よりも君達にふさわしかろう。冥福を、そして願いの叶うことを祈るよ。…主は自殺をお許しくださるだろうか。リタの魂は、そしてアーサーの魂は、一体何処へ行くのだろうか。」
「キャス、キャス、しっかりして。」
「あは、神父様。」
「大丈夫だよ、しっかり。君はきっと治る。」
「うん、信じる。神父様は嘘をつかないもの。」
「そうだよ。だからしっかり。」
「…ねえ、神父様、天国のトミーは元気かしら、トミーのいる国はどんな所?」
「今は、そんな事はどうでもいいから。」
「…トミーに会いたい、ジャックに会いたい…神父様とも、また、会えるよね…」
「キャス、キャス…」
キャスも、リタも、トミーと同じ焼却炉で、一握りの灰と煙へと姿を変えた。弔いはただ神父が参列するのみである。たむける花さえ、この街にはない。
「主よ、彼等の魂に祝福を。なにとぞ天国へとお導きください。主よ、主よ。私の声は届いていますか?ああ、私は何処までも無力だ。」祈りの為にひざまずく、その関節が音をたてて軋む。目が霞む。これは、涙なのか。
「主よ、彼等の魂を御救いください。」
区のゴミ処理業者が街を巡回している。
「最近、壊れてるポンコツが多いよなあ。回収するの大変だよ。」
「全体的に寿命なんじゃないのか?」雑談をする業者が、教会で足を止めた。
「おい、ここのポンコツも、ついに寿命きたみたいだぜ。」
「本当だ。ひざまずいたまま停止してらあ。」
「よく働いたよなあ、このロボットも。」
「ああ、この教会が出来た頃からだから、何年前だ?」
「げえ、それじゃまだこのへんビルも建ってなかった大昔じゃんか。」
「けったいな奴さ。最近、変なロボットが多いいよ。ほら、こないだも、人間と一緒に川に飛び込んだのがいたじゃん。」
「わかんねえよなあ、こいつらは。さ、とっとと回収して帰ろうぜ。」
無機物にも魂はあるのですか?無機物の魂は何処へいくのですか?主よ、主よ。天国でも、私達は異なる世界へと分かたれねばならぬのでしょうか?
主よ、彼等の魂を御救いください。
『メタルに輝く魂を、ひときわ美しく銀色に輝く魂を、貴方は信じますか。』
A:「たった一言、これが言いたくて書き出して、結局作中に一度も出せなかった」D:「えらく宗教がかってるが、作者は全然信心深くない」C:「『スクラップの条件』(524 内 廣木 春子&幹貴 様作) 及び 『粗鉄の騎士』
(5-592 NETWALKER 様作) に勝手に捧げられた作品」D:「こんな暗い話、捧げられた方が迷惑だが」
謎の手紙
12月もなかば、初雪の降った寒い日。私のマシンに、こんな E-mail が届いた。どんな手段で出したのか、一見しても差出人の名前や address は判らない。
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あなたはある人物に狙われています。
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・彼は自分の事を一般人とは異なる特別な人間、又は異星人だと思っています。
非常に危険です。
~~~~~~~~~~~~~~~・彼のターゲットは幼い純真な子供に重心をおかれておりますが、
特に老若男女を問いません。貴方も危険です。
又、幼い子供のおられる家は特にご注意下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼はかなりの年齢と思われますが、目が常人とは異なる光を発しております。又、
自身では年齢を何千年とも、何万年とも自称しております。信用はできません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼は自分の住居では、何日も暗黒が支配したり、又は何日も太陽が照らし続けたり
すると公言してはばかりません。彼の現実把握能力に疑問があります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼は、頭部に赤い発光部位を持つ、体色が茶系の奇怪な多足生物を
飼育しております。何かの危険生物かもしれません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼は、真っ赤な血の色一色に染め上げた衣服を着用し、前述の生物を
多数引き連れて、深夜どこへでも出没致します。夜の独り歩きは控えてください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼の活動範囲はとても広く、当局に予想をつけさせません。日本国内全域、
更に海外さえもその範囲であると思われます。次はあなたの町かも知れません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼は深夜、皆様が寝静まった頃を見計らい寝室へと忍び込みます。
進入する手口に長けているらしく、どんな厳重な戸締りでも安心はできません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼の家宅侵入には一定のパターンがあります。どんな家にでも侵入しますが、
特に煙突を偏愛しており、これのある家では必ずここから侵入します。
ご注意下さい。
~~~~~~~~~~~~~・彼は家宅侵入を果たした後、家人の下着、特に靴下を好み、
その中に何かの包みを仕掛けていきます。爆発物又は劇薬の可能性があります。
見つけても不用意に触らないでください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・彼は特に12月24日の深夜を好んで出没します。この日は特に警戒を厳重に、
戸締りに気をつけてお休みください。
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貴方の安全をお祈りしております。
惨汰丸太研究神秘協会
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ぞっとする。いきなり『狙われている』とくる。なんの冗談だ?と思いながら、もう一度文面を読み直す。んん?赤い服?煙突?靴下?そして、12月24日?はは!わかった!header のゴミを探って、発信地を割り出す。やっぱり。こんな馬鹿をするのは、アイツしかいない。まったく、こんな事にばかり時間と労力を費すんだから。単位は大丈夫なのか?
12月25日、クリスマス。アイツからプレゼントの小包が届いた。
A:「一応、言っておきますが、『サンタクロース』の時期ネタですからね」D:「実際に、'95 年の冬に作者は、親しい友人一同に向けてこの手紙(〒)を
出した。結果は2重の意味で残敗」C:「まず、『おもろいけどやりすぎ』との批評ばっかしでしたね」D:「もう一つに無残なのは、「一歩」からだ、といきなりばれてる事」A:「よくみると見つかる所に署名はしておいたけど、それでばれた人は一人も」C:「『消印を見て判った』て言われた時はしまった!て感じですかね」D:「中にはそれで「いつもの友達からよ」てお母様に言われて渡されて、鼻から
「一歩」から、と認識して読んだ奴もいたし」作:「でもなあ。『こんなん書くのお前しかおらへん』て、それを根拠に俺からやて
断言されたのには、『なんでやねん』て突っ込みたくなったなあ…」A:「あ。作者がでてきた。…落ち込んでる…く、暗い。ちょっと」作:「おまけに、直後に読んだ4コマ漫画には似た様なネタが載ってるし…俺は真似
をしたんじゃない、決してパクリじゃないんだぁ…」A:「駄目だこりゃ。まあいい、ほら、先いこ、先」D:「無い」A:「え…終りなの?」
C:「あ、やっと終わりですね」B:「あ?ごめん寝てた」D:「くだらんの多いから」A:「まずいって!作者に聞こえる!
…ん、んん、え〜皆様、楽しんで頂けたでしょうか?」B:「これを読んだ皆さんがハッピーになってくれると嬉しいです」C:「酷評、失敗点、改良法、作者はいつでも受け付けております」D:「アドバイスしても見返りはないけど」A:「黙れってお前!もう…あ、では、皆様お元気で」D:「再見」