「世界初、完全再利用ロケット開発へ」の報道について(朝日新聞2007年6月2日報道) (その1)


 今回の報道を一般から見れば、如何にも今回のコンセプトが世界初に見えますが、それは正しくありません。90年代にNASAが開発、効率性の悪さから中止された計画と同じであることを述べておきます。つまりJAXAオリジナル計画では全くありません。

 技術が分かっている人ならば、今回の報道は実現性よりイベント性(注目)をJAXAは重視しているのか?と推察してしまいます。


  DC-Y(NASA)    JAXA計画(JAXA) イベント用の空中神輿は意味が無い(JetPak)

 今回の再使用機開発は、ヘリコプターの世界で言えば「RH-66」を作るようなもの。使用するには高価過ぎで、100億円開発費、100回再使用、1回1500万円使用料で評価をするとまずコストが合わない。原価償却は無視している上に、見込みが甘すぎると言えます。

 また技術的にも問題点があります。利点ばかり報道されていますが、ペイロード使用率が非常に悪いのです。(これが海外で予算認可されなかった背景の1つ)。このペイロード使用率とは、ロケット全重量に対する観測機器(ミッション機器)の搭載比率です。簡単に言えば、重量の割りに物が載らず、非効率的なもの。

(軽量化するために複合材の使用が見込まれますが、再使用するとある問題が発生、そこが落とし穴に嵌ります。これは後日じっくり説明します)

また、再使用云々の前に「100億円かけて観測ロケットミッション開発」という趣旨に呆れ返りました。いったい何を考えているのでしょうか?

さらに海外では、90年代と同じ今回の計画よりも先進的で低コストの観測ロケット計画があります。

かけたコストに見合わない、再使用以外は何の取り得もないものが出来ることになるでしょう。DC−XやDC-X Liteがなぜ中止されたのか?分析・発表する必要もありそうです。

本件については、さらに徹底分析した内容を近い将来発表します。ISASにも時代の変化の中で取り残された、国際的に通用しない計画が存在するのだと、感じました。


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