衛星と航空機を利用した国際航空宇宙緊急援助システム(ジャパン・インターレスキュー計画)
      
エアワールド2005年10月号抜粋版(詳細はエアワールド10月号をお買い求めください)
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 本稿では防災先進国日本としての“経験”と“海外での事例”を踏まえ、平和国家日本として今後あるべき火災探知・災害救助・消防機・UAVシステムの構築検討を行いたい。

◎公共衛星の構築体制
 過去の誌面(2005年6月号)にて「ユーザーサイドのための衛星戦略(公共衛星戦略)」を扱い

・ 気象衛星を高性能化した「環境モニタリング衛星」
・ 警察、消防、海上保安庁が連携した「防犯・消防・安全衛星」
・ 秘話通信で人道支援活動組織を影で支援する「国際人道支援衛星」
・ 水戦争を未然に防ぎ、国際紛争を起させないための「国際水資源探査衛星」
・ 地球温暖化を監視して食料資源の状況を把握する「農業・水産資源監視衛星」
・ 災害時等の専用回線を多国間で確保する「広域国際貢献衛星」
・ 地震を未然に探知、被害を最小にするための「地震探知衛星」

という例を挙げたが、利用する体制を整えなければ意味がなく、日本に限らず国連やアジア・オセアニア諸国との連携が非常に重要となってくるであろう。しかし衛星ではわが国の“気象衛星ひまわり”が既に実績を挙げており、そのプレステージを生かして各国と話し合えば可能であると考えている。
 その一方、上記の衛星ミッションを実施するにあたり注意しなければならない事は衛星システムの構築コストである。衛星を打上げると“衛星の製造費用”だけにとかく目が行きがちだが、衛星を製造・打上げるだけではなく、運用もしなければならない。またロケットの製造・射場運用費用も当然衛星システムの構築コストとして加算される。従って上記の公共衛星構築には立案・役割分担・予算措置・衛星管理・後継検討(公共評価)の視点が非常に重要となってくる。では、衛星の構築費用に対するロケット関連・衛星製造・衛星運用の比率はどのようなものになるのだろうか?

 よって今後日本にも大型衛星システム構築においてコストダウンをしなければならないだろう。これは困難であるかもしれないが実施できる余地はあるかもしれない。
例えばロケットであるが、H-2Aロケットは将来的に製造が民間移管されるそうだ。よって製造におけるコストダウンは製造元の三菱重工が行うであろう。しかし打上げ管制は、現行法や書類提出等ではJAXAしかロケットを打上げる権限がないのだ。つまりこれがコスト増の要因になるのではないだろうか?JAXA職員は非常に優秀であるため、高い給料が支払われているのが現状である。したがって種子島でロケットを打上げる場合にはJAXA職員の援助がなければできないため、現状でH-2A等を打上げればそれがコスト増となって跳ね返ってくる。よって“コスト管理を第3者がする”か、“完全に民間ベースで打上げる”方法で経費を節減する方法を考えなければならないだろう。
 次に衛星運用のコストダウンである。衛星が打ちあがると管制センターでは大量の人が大画面を見ながら運用するという光景が考えられるが、これを見ると筆者を含む皆さんは“カッコイイ”と思うだろう。あのような大画面を見ながら作業する光景は宇宙のイメージとして有名だがその反面、大量の人数を配置するのは人件費として跳ね返ってくるためすでに時代遅れと海外では言われている。

        
     EADS衛星コントロールセンター(EADS)      SSTL衛星コントロールセンター(SSTL)

よって、衛星管制運用やデータの配信等の運用は現行と比較してコスト削減できる余地はあると考えている。

◎コストダウンの一方でインセンティブ(奨励金)制度を
 しかし“安かろう悪かろう”という訳にもいかない。もし無理なコスト削減を進めてろくでもない衛星が製作されてしまったらそれこそ納税者へ申し訳が立たない。よって衛星システムを開発する組織(JAXA等)はメーカーや宇宙機関の利害に関係しない第三者へコスト管理を委託し、今後はコスト削減・効率化を実施する方法が良いだろう。しかしそれだけではJAXAとしてメリットがない。よって、コスト削減が実施できた場合は褒美としてそのコストダウン額をJAXAの有人宇宙技術の開発へ使うというインセンティブ(奨励金)制度を設ける方法が良いと考えられる。

◎実用衛星から公共衛星の時代へ前進
 今後の衛星開発は“実用衛星“という表現は止めたほうがいいかもしれない。実用衛星はすなわち商用衛星である。商用衛星であるならば、衛星メーカーが一品工芸品を止めて独自に工業製品化をさせるものである。現に欧米が製造した商用衛星である通信放送衛星は、宇宙機関ではなく企業で開発が行われているのが現状だ。だからといって実用衛星政策が間違っていたわけではない。過去において日本は実用衛星という方針でよかったのだと筆者は考えている。しかし時代の変化と共に日本の技術水準は分野によっては上がってきた。よって実用衛星ではなく公共衛星という名のもとに競争概念を取り入れて進歩をしなければ、「技術では追いついてもコストで負ける」環境となってしまい、日本の宇宙事業が公共事業化してしまうと筆者は危惧している。

では次に実際の新たな公共衛星の事例を述べたい。

◎国際救助システムの提案
 今後の日本の宇宙は平和国家として人命救助を目的とした災害援助・消防・救急情報通信システムの構築を提案したい。それは”人命救助・災害援助“という観点に基づいて「国際援助システム」と「地球観測衛星システム」を構築すれば良いと筆者は考えている。現在の地球観測衛星システムは、構築しても“見るだけ”のシステムであり、“見る側の自己満足に過ぎない”という厳しい意見を聞いた事がある。また観測データから地形の変形や火災状況を把握したとしてもそれは現地の被災者にはプライオリティーの低いもので将来的に役立っても、被災時には直接役に立たない。災害時に最も重要なことは彼らへ援助物資、医療・消防等の援助チームを大至急派遣して犠牲者を可能な限り減少させる事だ。したがってこのようなシステムが構築されることによって真の意味で衛星が役立つと筆者は考えている。こうした観点で考えれば、通信衛星と火災検知衛星が必要だと筆者は考えている。

◎軍事衛星の公共利用バージョン化(火の見櫓衛星)
 今後の地球環境は温暖化の影響などによって自然発火的な森林火災が増加するだろう。また、数は増えないが火山噴火、タンカー火災、震災等による大規模火災も発生が予測されるため、衛星による迅速な検知システムにより、関係諸国へ通報し、迅速な避難・救助・消防活動を促してはどうだろうか?実は森林火災は年間全世界の焼損面積は約25万km2であり、これは日本国土の7割に値する程度だ。つまり年間日本国土の7割が落雷などの自然発火や人為的要因により世界的に焼損している。これは大きいと言わざるを得ない。また森林火災が発生すると、地球環境に悪影響を与える可能性もあり、航空機の航行や農作物の収穫に影響が発生し、経済的損失も発生する。よって今後増加傾向にある森林火災を迅速に発見、被害が拡大する前に鎮火するシステムが必要となる。よって“検知システム(衛星)”と“消防システム”がセットで必要になると筆者は考えている。このうち消防システムについては後述する。まずは火災検知システムを提案したい。

       
 宇宙から見た森林火災                           世界の火災分布図(北海道大学HP)

 では火災検知衛星だが、実は既に存在する。それはミサイル発射探知衛星(DSP)だ。このDSPは弾道ミサイル発射を検知して警報を発令するためにアメリカが開発した軍事衛星である。この衛星は1970年に初号機が打上げられ、太平洋・大西洋・インド洋の静止軌道に配備されており、ミサイル発射の熱を検知するために赤外線望遠鏡を搭載している。この望遠鏡は10秒おきに6000の走査線で地球を撮影し、ミサイル発射がないかどうか警戒している衛星だ。また将来的にはSBIRSとして発展し、解像度を上げるため24000の走査線を持った望遠鏡を搭載する予定としている。実はこの衛星、ミサイル発射探知以外にアメリカ国内では火災探知衛星として使用されているのだ。まず写真をご覧いただきたい。

    
        DSP(LS-3B)              山火事                森林火災検出(AerospaceCorp HP)

 この“森林火災検出”HPに掲載されているものだが、この森林火災はロサンゼルス郊外で発生したものであるが、この図によると10:45に火災発生の第一報が911(日本で言う110番、119番)にあった後、そのわずか3分後にDSPが探知しているのだ。
 では、日本も国内のほかに森林火災の多いアジア・オセアニア諸国への国際貢献を目的として火災検知衛星を製造できる能力はあるだろうか?実はある。それはJAXA宇宙科学研究本部(旧宇宙科学研究所)の天文衛星技術だ。宇宙科学研究本部は天文衛星を数多く製造し、打上げてきたアジアトップの宇宙科学機関だ。しかも旧宇宙開発事業団の10分の1の予算でロケットと衛星を脈々と開発してきた経緯や過去の実績により、海外から「Small but quick is beautiful(小さくても早いのはすばらしい)」と賞賛されてきた。この天文衛星のうち、赤外線望遠鏡を搭載し将来打上げ予定のASTRO-F技術は火災検知衛星として応用可能だと筆者は考えている。

   
ASTRO-F(出典:JAXA宇宙科学研究本部)

 これは海外の研究者からの意見であるが、「DSPよりも天文衛星は“観測している距離が違う(長い)”ため、高解像度の衛星が出来るだろう」という指摘を得た。しかし「火災検知して地上へ通報する技術は日本にはない」ため、ASTRO-Fの赤外線天文衛星技術をリリースする代わりにDSPの通報技術を貰うことは出来ないだろうか?いやもっと大胆に火災検知衛星を日米共同開発とし、“低コストで高解像度の赤外線望遠鏡(日本)”と“検知した情報を即時警報する通報技術とソフトウェア(米国)”を出し合って太平洋とアジア諸国周辺へ1機づつ打上げるのはどうだろうか?そうすれば互いに情報をシェアし、“火の見櫓衛星”として“サンダーバード5号”として国際貢献ができ、気象衛星と連動して警報を発令できるかもしれない。さらに火災探知衛星は火山噴火・都市火災・ヒートアイランド現象監視にも使用可能であり、国内にも限らず国外へも使用可能だ。よって日本が世界に誇る、地域貢献システム(衛星と援助システム)になり得ると考えられる。しかし衛星は万能ではないことも認識しなければならないだろう。火災検知衛星での問題点は、

(1) 場合によって衛星センサーは、太陽光の反射を火災と誤認識する可能性
(2) 空間分解能が粗いと、焼損面積を過大評価する可能性
(3) 雲下の火災は発見が困難

がある。しかしこれは衛星の宿命であり場合によって運用技術を身に付ければ、一部はクリアできる課題だと考えている。
では次に衛星本体から離れて、衛星を利用する国際援助システム及び公共航空システムについて考えてみたい。

◎国際救急システム(病院機、医療搬送機)
 では次に衛星を利用した援助システムについて述べたい。今後アジア・オセアニア地域において地震・山火事・津波・火山噴火が発生し、救援要請があった場合は迅速な展開が求められる。そうした場合、日本は何が出来るだろうか?先日のスマトラ沖地震では、医師団や自衛隊が派遣され救援活動や援助物資の輸送が行われたが、残念ながら展開スピードが他国に比べて遅かった事は事実だろう。事実援助物資輸送においては大型輸送機が無いため日本が出来たのはC-130を使った少量の物資輸送であった。よって援助物資輸送は他国へ任せておいて日本は病院機と消防機を保有してはどうだろうか?下図をご覧頂きたい。

 
病院機(出典:Airliners.net)

 これは旅客機を改造した“空飛ぶ病院”だ。しかもこの機体は過去の誌面で紹介した空中発射ロケットを打上げているL-1011トライスターと同型を改造した病院機である。そしてDC-10を使用した病院機ORBISは目の治療を専門とした病院機だ。もしこのような機体を日本が保有できたとしたら、人命救助の観点から最もすばらしい国民・国際貢献ができるのではないだろうか?また、内閣府の調査では国や自治体に期待する政策は「防犯、防災対策」がトップであるとのことで国民からのニーズはある。例えば震災が発生した場合、現地の病院はパニックとなる一方で電気・水道などのライフラインも切れているため治療は困難となるだろう。この場合、震災地域の負傷者をドクターヘリや警察・消防・自衛隊ヘリを使用、海外では現地のヘリコプターを使用し、空港へ搬送するのだ。そして空港ではこの病院機が待機しており、迅速に患者を搬送し治療を施す。もちろん被災地域外の病院へ患者を搬送する搬送機としての機能もこなせる。さらにこの機体はエンジンを回せば電力が発生し、医薬品や水は貨物区画を使用して貯蔵すれば良いため、空港さえあれば独立した急造病院となるのだ。もし大規模災害や大事故が発生した場合には非常に有望な機体となるだろう。

 
    L-1011 フライング・ホスピタル                  DC-10 フライング・アイ・ホスピタル

医療輸送機・病院機の1日あたりの処理能力


B-747 エア・モバイル・メディカル・ファシリティー
  
病院機内の様子(出典:ORBIS)

 よって日本が国内に限らずアジア・オセアニア諸国への貢献のために、中古旅客機を使った低コスト病院機を持つことは国策上有効であると考えられる。もし既にこの機体が存在し、スマトラ沖地震があったらと考えると、その効果は絶大だったろう。日本であれば、政府専用機であるB-747の機材更新時に改造する方法や民間旅客機B-767ではどうだろうか?また、日本の医療メーカーは優秀で一部の企業は実際に病院機の搭載機器として採用されているとのことで、医療メーカーから装置やベッドを寄贈してもらったり、海外の病院機とノウハウ・運用を連携したりするのはどうだろうか?平和大国日本というイメージから人命救助大国日本というイメージも悪くないだろう。
 以上のように病院機は新造機ではなく中古機を使い、さらに知恵を絞れば低コストで構築できるであろう。このような病院機があれば今後減少が予想されるODAの代替処置としても使用可能だ。

◎国際援助システム(消防機)
 では次に消防機である。英語では消防機のことをファイアータンカー及びスーパータンカーと呼ばれ、主に森林火災・コンビナート火災・タイヤ火災・RDF火災等地域消防では対応が出来ない大規模火災発生時に使用される機体である。また消防機は南アフリカで発生するバッタの大量発生やキラービー(殺人バチ)の発生を事前防止するための防虫航空機としても使用が可能である。また最近では、人工雲を発生させて人工雨を発生させる研究としても注目されている。さらにヒートアイランド防止策として可能性も研究されている。海外の事例を見ると消防機出動が最も多いのは森林火災であり、アメリカでは消火剤を補給する専用空港がある。

    
消火剤を補給・補給待ちの航空機(出典DoA)         消火活動中の消防機(出典:Wildland fire photos)

◎消防機はCO2ハンターにも!!(TOPIC)
 
さらにCO2削減効果だ。実は京都議定書によると、自国籍(日本籍)の消防機がアジアなど外国で森林火災による消防活動を行うと、火災期間に発生したCO2が「自国のCO2削減量」としてカウントされるのだ!!これには驚きである。つまり消防機は「国際貢献」に加えて、「自国のCO2削減カウント」としても寄与できて国策に適っていると考えられる。だからといって日本国内のCO2削減目標を達成しなくていいという「不順な動機」はよろしくなく、「恒久的は行為はダメ」と議定書では述べている。しかし、「CO2削減を達成できない」、もしくは「削減が遅延しそう」な産業界から資金を拠出してもらう一方で政府も資金を拠出し、消防機を構築・運用してはどうだろうか?よってJAXAや環境庁等が計画している温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)で「見るだけ」ではなく、消防機のように「実際にCO2排出防止や削減」できるシステムがあれば、さらにもっとすばらしいだろう。そうでなければGOSATの存在意義が薄れてしまうのではないだろうか?

では消防機の種類はどのようなものがあるだろうか?

大、中、小と様々な消防機がある。日本では新明和が製造したUS-2が消防機として使用可能であり、海外へセールスを展開している。

◎今後の消防は
 以上のように今後の消防機は様々な航空機・回転翼機が海外では出てくるだろう。それと同時に今後の消防はイノベーティブなシステムによって効率的かつ先進的になる必要があると筆者は考えている。現状の火災状況を見ると、江戸時代からの文化を引き継いだ破壊消防方式であるからだ。その一方、一部の消防システムは近代化が進み、ハイパーレスキューの登場や高層ビル火災専用の装置を装備した消防ヘリを東京都が採用しており、次第に近代化が進んでいる。

    
        ヘリ搭載型消火ホース(出典:新明和)       スペインビル火災(出典:news.scotsman.com)

 しかしこのようなシステムを構築するにはコストがかかるが、海外の消防機の選定について言えば、機材購入・改造費用だけでなく、メンテナンスや飛行などの運航費用、新規開発費など、ありとあらゆるコストをはじき出し、トータルコストとして計算している。選定事例を挙げれば、使用頻度が高くない理由により新造機ではなく中古機や軍用機払い下げ採用の事例が多く、メンテナンス費用が低い機体、強度のある機体等が使用されている。
 そしてUAV技術も重要だ。震災が発生した場合は消防機の出動もあるが、防犯という観点では役に立たない。また道路が寸断されているため、治安の悪化が心配される。現に神戸震災では一部で治安の悪化があったとの噂は存在する。したがって、火芯探知と地上の治安維持を目的として衛星とリンクしたUAVを低空で飛行させ、「赤外線センサー」と「地上画像を録画できる装置」と「パトカーのサイレン・回転灯」を搭載して飛行させるのだ。そして「地上を監視しているよ」という“安心感を被災者へ提供”しつつ、犯罪が発生しないよう“抑止効果”として使用するのはどうだろうか?この映像は警察・消防・内閣府防災センターと共有し各々が予算を出しあえば構築可能だと考えられる。またこのような技術の確立としてJAXAが協力すれば、オリジナリティーのある航空宇宙技術研究ができるので、すばらしいのではないだろうか?

◎消防機は物資輸送機にも
  (AW10月号をご覧ください)

◎航空宇宙産業発展には研究機が必要
  (AW10月号をご覧ください)

◎まとめ
・ 赤外線天文衛星の技術を流用して火災探知・ヒートアイランド監視・火山噴火監視・火芯探知の作業を地球レベルで行う火の見櫓衛星
・ 人命救助大国を目指した病院機と人道支援物資輸送機
・ 地域消防では手に負えない大規模火災や森林火災等を鎮火する消防機
・ 衛星と連動して火芯探知と防犯活動を行うUAV
を説明した。特に海外での消防機による消火活動は京都議定書で定められたCO2排出削減にカウントされるとのことで、国際貢献に加えて国益に適っていることも明らかとなった。
 最近の発想は、「衛星のみ」とか「航空機のみ」という視点で考える傾向があったが、現実は衛星だけでは観測と貢献という観点では不十分であり援助という仕事はカバーできないためナショナルシステムとして完璧ではない。つまり衛星には限界があるということだ。よって「衛星が不足している部分をどうするのか?」と考えれば必然的に病院機・消防機・人道支援輸送機が必要だという結論へ行き着く。よって今後の宇宙利用は国家全体(ナショナル)として考える視点が重要となってくるだろう。ただ衛星を作りたい、ただロケットを作りたいというやり方は、民間の資金で行うのであれば問題ないが、国家予算では承認できないものとなってくると考えられる。バブル経済時代のように税金を宇宙へ投入することはより困難となってきていることを認識しなければならない。今回は赤外線天文衛星技術というサイエンスが国民や国際援助として貢献できる事例と消防機・病院機を考えたが、今後もナショナルの視点で宇宙を考えたいと思う。


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