FISHING with ABU

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2009

フレッシュ・ラン! 〜マルタウグイのフライフィッシング〜


鮭(サケ)や鱒(マス)の仲間が産卵のために川を遡上することを、英語で “ フレッシュ・ラン Fresh run ” と言うそうです。

日本の場合、鮭鱒族の産卵は秋に行われるので “ フレッシュ ” っていう感じがピンとこないのですが、カナダでは春先に一斉に川を遡るらしく、トロント近郊に住むなべちゃんの家のすぐソバに ( 車で10分もかからないくらいの近所の川に ) 、春になるとオンタリオ湖から鮭やら鱒やらが大挙して押し寄せるそうです。

氷に閉ざされた湖でのアイスフィッシングが終わると、山菜を拾いつつ雪解けの渓流釣りでスチールヘッドやサーモンを釣りながらバスの解禁を待つのだとか!?

羨ましすぎるよ、なべちゃん!

川幅10mに満たないくらいの、その川がフレッシュ・ランの鮭や鱒で満たされる光景を一度見てみたいなぁ。

□ □ □

春。 フレッシュ・ランの釣りがしたいと思いませんか? ご存知の方も多いと思いますが、実は東京を流れる多摩川でも大人気です、フレッシュラン!!

アブラビレの付いたトラウト(マス) じゃなく、 “ マルタウグイ ” ですが・・・。 

でもね、きちんと海から遡ってきてくれるんだからありがたい存在です! 日本の淡水で、フライフィッシングのターゲットとしてコンスタントに50cmオーバーの魚が狙えるのは貴重だといって良いでしょう。

正確にいつごろが “ ファースト・ラン ( 産卵のための遡上の第一グループ ) ” なのかは分かりませんが、2月後半から遡りはじめて、少なくとも3月になるとまとまった数の マルタウグイ が中流域の瀬でバシャバシャとハタキ(産卵)をする様子が確認できます。 

目を凝らして流れを注視すると、尾びれを出して一生懸命 ハタいている マルタウグイ が! 中には体を半分くらい水面上に出ている元気な個体も確認できます!

この産卵行為自体は、時間が経つと共にそのエリアを広げながらゴールデンウィーク頃まで続きます。 ただし後半は釣り人も多くなって釣りにくくなるし、それに基本的には彼らの子孫繁栄の邪魔をしているわけだからシーズン初期にサクッとフレッシュ・ランの釣を愉しませてもらって、後は初夏の釣りの準備へ移行したいと思っています。

もちろんワガママで利己的な言い分であることは重々承知しています。 大きな矛盾の中でヨロコビを感じているからこそ、またこんな偽善的な言葉を繰り返してしまうのでしょうか? 

「 リリースは優しく丁寧に! 」。 

□ □ □

やはり マズメ時の方が魚の反応は良いようです。 もちろんシーズン中は一日を通して、瀬のどこかでバシャバシャと魚の存在は確認できるのですが、夕暮れ時になると明らかにその数が増えるような気がします。

川原におにぎりやサンドウィッチを広げて、ゆっくりと遅めのランチを済ませてから ゴム引きのウェーダーに足を通す。

フライタックルは5番で十分。 バシャバシャと騒がしさを増した瀬の前に立ち、キャスト。 フライは何でも良さそうです。 もっともオーソドックスなのはエッグフライ。 僕は小さなストリーマーやクレージーチャーリーを良く使います。 

ボトムを転がすようなイメージでフライを流し、魚の鼻先に送り込む。 喰わない。 喰わない。 喰わない。。 ヤケを起こして引っ張ったらダメ。 スレ掛りしちゃう。 根気良く 丁寧に。

フッキングした後は 飛んだり跳ねたり派手にアクションする魚ではないし、数釣りをして楽しむ魚でもないと思う。

それでも毎年、この季節になると マルタウグイ が釣りたくなるのは、ひょっとしたら彼らの体に浮かび上がった、あの 非現実的なオレンジ・バンド の所為なのかも知れない。

あの、クレヨンで塗った跡のようなオレンジの鮮やかさは、繊細・可憐・気品を纏ったトラウトとは異なる魅力を持っていると思う。

この魚にストイックは似合わない。 大らかに、のんびりと、広い川原を楽しむように 日暮れまでの2〜3時間を楽しめれば、それで 充分。 

(2009.04.01.記)

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