FISHING with ABU

Talk About Fishing

2006

氷の(上の)微笑!?;レイク・シムコーのアイス・フィッシング


昨年(2005年)初夏のカナダ行はイマイチの釣果だった。 いつもガイド役を買って出てくれる在トロント郊外のなべちゃんは相変わらず地元の旬の情報を提供してくれたのだけれど、狙っていたパイクもウォールアイもジャンボパーチも残念ながら僕には釣れなかった。 なべちゃんは確りパイクもウォールアイもキャッチしていたので、僕の腕の問題かもね。

その夜、なべちゃんが自宅で仕掛けを見せてくれながら熱く語ってくれたのは暗く長いカナダの冬の「アイス・フィッシング」についてだった。

当地の湖は氷の厚さが60cm位あること。 ワカサギの穴釣りみたいなタックルでクチボソに似たミノーを餌にパーチの数釣りができること。 ホワイトフィッシュ(美味な魚で大人気)の大物狙いには「ティップ・アップ」という小さなシーソーのような道具をロッド代わりに置き竿で狙うこと。 フィッシュハットと呼ばれる小屋の中ではプロパンのガスコンロがあってのんびりと漫画でも読みながら一日釣りができること、等々。

左の写真がティップアップ。板切れに12ポンドくらいのラインが巻かれていてスタンドに乗っています。底を取ってバランスさせておくと、魚がバイトしたときに板がパタパタ動いて当たりを知らせてくれます。

もちろん短竿を使っての釣りもします。右はロッドを置き竿にして備え付けのコンロでお湯を沸かしコーヒーブレイクしているところ。

「今度は2月においでよ!」

そんな風に言われたら行かないわけには行かないよ、なべちゃん!

***

そして月日は流れて年も明け、2月後半を待って僕は一人カナダへ向かうのでした。 これが2006年の初釣りです。

なべちゃんも長いカナダの冬には少々退屈しているらしく、僕のカナダ行に合わせて1週間のバケーションを取っていてくれました(感謝!)。 トロントのピアソン空港に着くと、魚釣りのTV番組みたいになべちゃんが出迎えてくれます。 僕も釣り番組風に「やぁやぁ久しぶり、よろしく頼むよ」なんて言いながら握手を求めるのでした(笑)。

実は、結果的に今回の旅行は僕にとってもかつて無い経験でした。 2/20に日本を出発、同日の夕方にカナダに着いてから、2/28に帰国(日本着は3/1)の飛行機に乗るまでの8日間の内、1日丸まるフリーになる7日間全てを釣りに費やしました!

ちなみに釣りのスケジュールは以下の通りです。

Day ターゲット 結果(2人)
1 パーチ 30尾くらい
2 ホワイトフィッシュ、レイクトラウト ホワイトフィッシュ×1、レイクトラウト×2
3 ホワイトフィッシュ、レイクトラウト ノーフィッシュ
4 パーチ 70尾くらい
5 パーチ 50尾くらい、へリング(淡水ニシン)×1
6 パーチ(ファミリーディ) 子供たちと一緒に40尾くらい
7 ホワイトフィッシュ、レイクトラウト ノーフィッシュ

それではレポートです。 どうぞ!


空港からなべちゃん家へ向かう途中で早速ライセンスを購入します。 今年は昨年より若干値段が上がって、24ドル/週でした(ただし幾つか種類があるので内容を確認することが必要)。

一言でアイス・フィッシングと言っても、対象魚や狙うエリアによっても幾つかの種類があるようです。

その中でも大きく分けると、「アイス・フィッシング」のイメージとして一般的な自分で穴を開ける釣りと、フィッシュハットという氷上に設置された小屋で床に開けられた穴で釣る釣りとの2種類に大別されます。

今回僕らがメインで行なったのはフィッシュハットを利用しての極楽釣り(?)です。 広大な湖の氷上に、各オペレーター(フィッシュハットの管理者)がハットを設置していて、湖畔のオフィスからハットまでの送迎をしてくれます。 プロパンのガス台があるので暖房と料理の両方に使えます。

湖上(氷上)にポツンポツンといくつものハットが建っています。 ハットの色や形、大きさはオペレーターによって様々です。 構造もベニヤ板を張っただけのものから隙間無く断熱材が施されているものまでオペレーター次第です。
人気のあるオペレーターは魚影の濃いポイントにハットを持っていることはもちろん、ハットの作りも良いようでした。 またこれもオペレーター次第ですが、トイレ用の共用ハットを別に設けてある場合が多いです。
当然、人気のあるオペレーターにはなるべく早く予約することが必要です。

またハットのポイントも比較的浅場のパーチ用ハットと深場のトラウト・ホワイトフィッシュ用ハットがあります。

朝7時にオフィスに集合、受付をして「ボンバディエ」と呼ばれるキャタピラの車で各ハットへ向かいます。 釣りの時間は大体8:00〜16:00で、それ以外にオーバーナイトフィッシングや丸々24時間ステイのメニューもあります。 僕らは一般的な昼の釣りしかしませんでしたが値段は一人当たりパーチエリアで40ドル、トラウトエリアで45ドルでした。

一番上の写真がオペレーターのオフィス。 オフィス左の黄色い、タイムボカンちっくな乗り物がフィッシャーメンを運ぶボンバディエ。
オフィスの中はビンテージタックルで埋め尽くされていました。クリークチャブやヘドン、フィッシュデコイがたくさんディスプレイされていてこのままオフィスに居続けたいくらいです。

上に書いたスケジュール表のように僕らはパーチとトラウト・ホワイトフィッシュをそれぞれ半々で狙いましたが、湖によってはそのほかにもウォールアイやパイク、マスキーなども狙えるそうです。

ちなみにハットは必ずしもレンタルのみではなくて、きちんと登録すれば個人でも自分のハットを無料で置けるそうです。 その場合ハットまでの「足」が必要となりますが、ピックアップやジープ、スノーモビルを横付けしている個人のハットも多く見かけられました。

また、ハットを設置できる機関は3/15までだそうです。


まずはパーチフィッシング。 

浅場のポイントで群れているイエローパーチの数釣りを楽しみます。 一応、今回の僕の目的は、アイス・フィッシングの最もメジャーなパーチ狙いが第一です。 昨年のパーチ釣りが不発だっただけに今回は意気込み十分です。

大人も熱狂するけれど、パンフィッシュの魅力は子供も楽しめることだと思うのです。

アイス・フィッシングの代名詞的なパーチですが、他のパンフィッシュと同じく数釣りの対象魚とは言っても、その「熱」は人によって様々です。

僕を含め多くの人は気軽に楽しむだけのことが多いようですが、熱狂的なパーチ・ファンも多く、小型のディプス・ファインダー抱えながら真剣に数を伸ばす人もちらちらと見られます。

パーチ狂には、カナダ人はもちろんですがアメリカ人にも多く、ミシガン州辺りから長距離を飛ばして週末をカナダの氷上に滞在するツワモノも多いようです。 人気の理由は食味の良さらしく、食用としては1番人気のようです。 僕はまだ食べたこと無いのですが。。

そんな人たちの釣り方は、ディプス・ファインダーで魚の群れを確認しつつ、極小ジグヘッドにマゴット(サシ)を付けて釣っているようです。 マゴットも日本のサシよりは大きいのですが、それより驚いたのは色々なカラーリングがあることです。 ベニサシのような赤はもちろん、黄色や緑、グローカラーなんていうのも売っています。

アブのアイス・フィッシング用コンボ「ピムペル2」でも釣りました。 ロッドが硬くて当たりが取りにくいのですが。。
下の写真は2刀流でのショット。 ベイトタックルはジグで、スピンタックルはミノーの置き竿で。 乗り合いのハゼ釣りみたいだな(笑)。

僕らは普通にミノーとルアーで狙います。 ミノーの場合はアイス・フィッシング用の短竿に10g程度のシンカーと1本又は2本の枝素を付けて釣ります。 シンカーをボトムに付けてラインを張っておくとピンピンと小気味良い当たりが手元に伝わります。

ルアーの場合も同じロッドに5gくらいのスプーンやジグを落とし込みます。 一度底に付けてから、あとはボトムから50cmくらいの範囲をシェイク&フォール。 ジグ、スプーン、グラブそしてアイスジグと色々試しましたが、やはり一番反応が良いのはラパラのアイスジグでした。 単純に縦に落ちるものよりも横にスライドしながら落ちていく方が反応が良いようです。 落としこんでしゃくりあげるときにググッと重みがかかる瞬間は、小さな魚とは言え十分楽しめます。

釣れてくるサイズは手のひらサイズが多く、たまに25cm程度の魚も混じる程度でした。 数釣りをしつつ、密かに昨年来のジャンボパーチを狙ったのですが今回もジャンボは僕の前に現れませんでした。

これは偶然つれたへリングと呼ばれる淡水産ニシンの仲間。 これはキープしてはいけない魚なので早々に写真を撮ってリリース。

次はトラウト・フィッシング。

深場のポイントではレイクトラウトとホワイトフィッシュを狙います。 ただし普通は2種をまとめてトラウトフィッシングとかトラウトエリアと呼ぶことが多いようです。

タックルは基本的にはパーチと一緒でOKです。 ただし当たりそのものも非常に少なく(一日やってノー・バイトも珍しくない)ミノーをエサに置き竿で狙うため、専門的に狙うには冒頭の「ティップ・アップ」を使う釣り人が多いです。

これだとボトムを取った状態でバランスさせているため、食い上げの当たりにも対応します。

***

クライマックスは釣行2日目でした。

その日のハットに入って早速リグをセットし、なべちゃんがトイレへ。 僕がもたついていると目の前のなべちゃんのティップ・アップがパタパタ。 !!!反射的に手を伸ばしてあわせるとズシン。 あとは夢中でラインを手繰りました。 それほど大きな抵抗は無いまま、氷に覆われた暗い水の底から浮かび上がったのは60cm程度のホワイトフィッシュ。

銀色に輝く体がギラリ。 瞬間的に「美しい!」と感じながらハットの外に人の気配を感じて叫びました。 「なべちゃぁぁん、きちゃったぁ!」

なべちゃんがネットで掬い取って無事にランディング。

ホワイトフィッシュ。 この後、切り身にされて清蒸魚となり僕の胃袋へ。

蛇足ですが、この魚、ミノーのエサに食いつくけれど顔は鯉科に見える。 口もそうだし、お腹を裂くと「ゼブラ・マッソゥ」と呼ばれるシジミに似た貝が出てきます。 フィッシュイーターと呼ぶには違和感があるけれど、名前の如く白身で癖も匂いもまったく無い、非常においしい魚です。 後日、本物の料理人でもあるなべちゃんが腕を振るって中華料理の清蒸魚(チン・ツゥ・ユ)に仕立ててくれました。 絶品と言うしかありません!

そして2時間後、もう一度なべちゃんに当たり。 今度はしっかりなべちゃんがあわせを決めて、やり取りします。 魚も抵抗激しく何度か糸を出して魚をいなしつつ寄せてきたのは・・・デ、デカイ。

先ほどのホワイトフィッシュに比べると白っぽい魚体。 今度はレイクトラウトでした!

しかしこいつはデカイ。 一般的なサイズより一回りデカクて、確実に70cmは超えています。

午前中ですでに2尾キャッチ。 トラウトエリアではノーバイトも多いと聞いていたのでびっくりしたのですが、なべちゃんの方がもっと驚いているようでした。

なべちゃんのビッグなレイクトラウト

ただし、まだ僕のティップ・アップが反応しません。 なんとか僕の目の前のティップアップに合わせをくれたいと念じていたのですが、そのチャンスは昼食のカップメンを食べて一休みをした後、14:00をまわった頃にやってきました。

沈黙していたティップ・アップがわずかにぴくぴくと反応したのに気づくと、次の瞬間パタリと引き込まれました。 左手で掴んで持ち上げ、あわせるとガツン。

はじめはすんなりあがってきたのですが、途中から抵抗が激しくなって体をよじり、頭を振るようにして横へ走り始めました。 周りの仕掛けをなべちゃんが巻き取ってくれたのでゆっくりと落ち着いてラインを少しずつ手繰り寄せます。 やがて細かな泡とともにゆったりと浮かび上がった魚は白く鈍い光を放ちながら全身を現しました。

なべちゃんがネットで掬い取ってくれた魚は、ほぼアベレージと思われる60cm強のレイクトラウト。 もちろん僕にとっての初めてのレイクトラウト。 トロフィーではないけれど僕にとってのビッグ・ワンです!

なべちゃんと強くゆっくりと握手しました。

僕の初物レイクトラウト。 感動したっ!

***

最終日。 もう一度、と希望を抱いて同じエリアへ向かいましたが結局一日やってノーバイト。

ハットの外へ出て氷に穴を掘り、雪降る中ミノーを落とし、ジグをシャクリ、スプーンをひらめかしましたが、残念ながら魚の反応はありませんでした。

やがて静かに雪降る中、迎えのボンバディエがやってきました。 「釣れたか?」「いや、ノーフィッシュ、ノーバイト」

最終日、最後のアイス・フィッシングが終って。 左端がフィッシュハットオペレーターのティム。 右の2人は彼のアシスタント。

彼のフィッシュハットの詳細はTimHalesFishHuts.comにて。

僕のはじめてのアイス・フィッシングが終りました。

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このページでは書ききれないアイス・フィッシングのこぼれ話を、姉妹サイトである「Paddle Freaks Diary」にて掲載しています。ご興味のある方は是非そちらも覗いてみてください。

 

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