FISHING with ABU

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2003

トーキョー・ナマズ・フィーバー −夏の夜の夢!? キャットフィッシングの誘惑−


4月中旬。 春を彩るクライマックスの“サクラ”が散ると、急に気温が上昇する。 花見の時期は“春だ春だ…”と言いながら、いつも冷たい風にふるえるのだから、春ってホントは寒いのかも。 だって、サクラが散って温い風が吹きはじめると、新緑の初夏をすぐに感じるでしょ。

この頃になると、シャツ一枚の生活が、場合によってはTシャツ姿の散歩まで楽しめるようになる。 そう、気分はもう夏なのだ(やや強引)。 すると、奴が動き出す。 漆黒の大食漢、ナ・マ・ズ。

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トーキョーを流れる大河川の中流域(ちなみに僕がカワスズキを狙うのはこの川の下流域)。 太陽が沈む頃、水面がトロリとする頃に、僕は緩やかな流れの川岸に立つ。 水深は10数cmで十分。 ルアーは賑やかなトップウォータープラグを幾つか。 泡を出したり飛沫を上げたり、シュルシュルポコポコカシャカシャとなるべくやかましい物を選ぶ。 コンクリ護岸の際や葦の切れ目、ゴロタ石のポイントを忍び足で歩きながらの拾い釣り。

キャスト。 スローリトリーブ。 カシャカシャカシャカシャ・・・ボゴッ! ヒット?、いや沈黙。 そう、この魚、選り好みせずにどんなルアーにでも反応するのだけれど恐ろしくバイトが下手。 活性が高いときには一度のリトリーブの間に二度三度とバイトするけれど、なかなかヒットに持ち込めない。 食いきれてない。

思わず、“おいコラ、もちっと気合入れて食いなさい!”と叫びたくなるほど。 

でも、このじれったさがキャットフィッシング(catfishing と英語圏の釣り人は洒落て呼ぶこともあるらしい)の魅力かも。 この魚、パイクにも似てファイトそのものは案外単純。 走るわけでも跳ねるわけでも潜るわけでもない。 フッキングの直後水面でバシャバシャと騒ぎ、体重で抵抗はするけれどそれなりの道具を使えば比較的簡単にあがってきちゃう。

それでもナマズに出かけるのは、やっぱりあのド派手なバイト・アクションと、それでもなかなかフッキングできないじれったさが魅力なのかもね!?

それに特に厳しいカバーのポイントでもないから(どちらかと言えばオープンウォーター)、比較的ライトタックルでも安心。 もちろん不必要なほどの細いラインはNG。 ラインを細くするよりはロッドをワンランクやわらかくする方がきっと楽しめるハズ。

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しかし、釣り上げたこの魚、じっくりと見れば見るほど不思議がいっぱい。 夜の闇にまぎれて漆黒の体でクールを装ってはいるけれど、そのつぶらな瞳と大きな口はあまりにもキュートでユーモラス。 ホント、ビックリするほど大きな口なのに、ルアーに食らい付くのが下手って言うのも、大食漢で悪食の割にはヒレの力が弱くて、フッキングしてからは大した抵抗もなく釣られてしまうというのも、それはそれで結構かかわいい。

また、“鯰(ナマズ)”と魚へんに念じると書くところからも想像できるけれど、黙然としながら地震を引き起こす(?)って言うし、本当はなかなか油断ならぬ奴。

そのバイトの数に比してなかなかキャッチすることができない、夏の夜の夢のようなトップウォーターゲーム。 坊主頭にニタリとした顔つきの彼は、本当は偉い奴なのかも知れない。

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