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彼女は同じ舞台に立っていた。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲…ソリストは彼女の憧れのヴァイオリニスト、コリンだった。その彼と同じ舞台に立っている…その喜びを、彼女は両手に抱えるファゴットを通じて表現していた。オケとは不思議なもので、素晴らしい演奏家と共に弾くときは、その力に引っ張られ、普段以上の演奏ができることがある。彼女は今、それを強く感じていた。第3楽章。ああ、あの部分がやってくる…彼女はリハーサル後のことを思い出していた。
憧れのコリンとの初競演にどきどきしながらのリハーサルが終わった後、楽器を片付けている彼女のところに、コリンが微笑みながらやって来た。あまりの流麗な動作、魅力的な笑顔に彼女がぼんやりコリンを見つめていると、コリンは響きのいい声で彼女に話しかけた。 その箇所がやってきた。コリンは彼女のほうに少し向き直った。視線が合う。コリンの意志の強さを感じさせる、それでいて温かさに満ち溢れた瞳を見ると、彼女はそれまでの緊張から解きほぐされ、心に浮かぶ音楽を自由に奏でた…そしてその旋律に、コリンの軽やかなヴァイオリンがそよ風のように絡んでくる。その部分が終わると、コリンは彼女に向かって微笑んだ。そして、カーテンコール。木管の首席奏者4人が指揮者に起立させられると、コリンは彼らに拍手を送った…そして彼女には軽く片目を閉じて見せるのだった。
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