テキストの図や写真で見てきた装置や機器が、一つのシステムとなって動いている現場に立って、その機械の動きと機能を実感した。今まで紙の上でやってきたたわみやひずみ等の計算は本当に現場にも使うかどうか、将来に役に立つかどうか疑問をもったが、先輩たちのはなしを聞いているうちにそれは今後の基本になることがわかりかけてきた。そして、将来機械技術者としてどんな分野で活躍できるかを見聞きして、まさかそんなにいろいろあるということをはじめて理解できた。そんなに幅広い分野から何か一つを選んで集中しなければならないと感じた。
日本の企業の様子も働き場の雰囲気も十分観察できた。僕は2年前フィリピンで工場実習をやっていたが、向こうの企業と日本のそれとの大きいな違いに気付いた。まず、向こうのはそんな先端技術を扱う工場はたいへん少ないし、やっているとしても一つの品物を組み立てて完成するまでのノウハウや施設はない。したがって工学部を出た人達は本当の技術関係の仕事につくのは難しい。設計とか開発と言うような Engineering Works はあまりやらない。多いのは Maintenance や Production supervisor の仕事だけである。でも日本では実際にロボットを使っていて生産を行っていると言うことを自分の目を見てすごく感心した。流れ作業ラインの並び方はとても能率的だと思う。
六つの工場いずれも印象的だったと思う。YKKの工場の電気は自家発電だということを聞いたときに、やっぱり工場はこうあるべきだと思い始めた。なぜかというとフィリピンのような水力発電に依存している国では、夏になって水位が下がってくると発電できなくなる場合もあって、生産を中断さぜるを得なくなる場合もある。これは今国の大問題の一つである。九州NECでは半導体の話を聞いたが、そういうような電気関係のことの基本知識は何となく足りないような気がして、よくわからなかった。しかし、ミックロン程度の加工をあそこで実際にやっているのは感心した。三菱重工では大型タンカー、LNG船と大規模プラントを見て大変勉強になった。八幡製鉄所では鉄鉱石から品物ができるまでの過程を見学して、今までやった金属材料の授業を多少理解できた。トヨタ自動車九州の工場施設は新しくてとても働きやすい環境だと思う。ロボットの活躍を実感した。しかし、案内してくれたガイドさんは技術者ではなくて普通の receptionistだから、質問はできなかった。
いろいろなことを自分の目で見ることができて、たいへん有利な見学だと思う。よかった。