私の映画時評 2題 (20060128)

今日は、高倉健の封切り映画「単騎、千里を走る」とNHKテレビドラマ「氷壁第3回目」を観た。いずれも出来栄えのいい作品であった。 前者は中国の麗江、後者はK2(実際の山岳での撮影はニュージーランド)が舞台である。いずれもまだ訪れたことのない場所なので、今年の旅行したい場所のリストに早速載せた。

私は自分でもビデオ撮影や写真を趣味としているので、映画やドラマを観るときは、半分は製作者の立場で観ることが多い。そういった意味では両者とも脚本が良くできている。

「単騎、千里を走る」は仮面をかぶった人間が、最後には仮面を脱ぎ、新たな人間関係を築いていくまでの過程を描いている。この監督は、映画の中で将来の日中関係を暗示して見せているように思えた。特に最後の刑務所のシーンで、仮面を被った仮面劇の主人公と他の仮面を被らない囚人たちが一緒に踊るシーンからそれが読み取れた。それに続くのはラストシーンで、荒れ狂う日本海に立つ高倉健に暗雲の中からこぼれ日が射すところで映画は終わる。もうひとつのテーマである、言語障害を克服して異文化間コミュニケーションを確立していく過程もよく描かれている。脚本に5年の歳月をかけたそうだが、その効果は確実にでていた。私も何度か異文化間コミュニケーションの難しさを経験しているが、この監督はそれをよく理解して、役者に演じさせている。日本語の良く分からない通訳役の青年を、HNKスペシャルで観たが、まさにはまり役であった。今度麗江に行ったら是非会ってみたい。

「氷壁」、これは井上靖の山岳小説というより、恋愛小説である。私の青春時代の愛読書でもある。原作の舞台を上手に現在に置き換えている。最近登山は中高年の趣味と言う感が強いが、舞台を穂高からK2へ、事故原因をザイルからカラビナへの置き換えもなんら違和感を感じさせず、青春ドラマとして脚本も良くできている。私はこの小説に憧れ、かって上高地の徳沢(原作では、恋人が奥寺を待っている場所)に行ったことがある。名作の舞台を訪れると、好きな作品がより身近に感じられ、それは今も昔も変わらない。同じ作者の「蒼い狼」も面白かったので、モンゴールへもいつか行ってみたい。

 

戻る

Hosted by www.Geocities.ws

1