「あはははははっははあはは!!」
「・・・」
「何考えてんだ?!アハハハハハハハ!!!」
「・・・」
「ハハハハハハッハハ・・・らしい・・・」
「・・・笑い終わりましたか、ギブスさん?」
口元は笑っているが、表現と目が怒りに満ちている。
「あぁ・・・終わった・・・プッ・・・お前がねぇ・・・ククク・・・」


ギブスは食堂でと向かい合わせで座っている
夜中、二人きりで


「でもな・・・ジャックにそんなモノ求めるお前がどうかしてるぞ」
「そうですか。わかっていることですがね。はい」
背筋を伸ばして、コクと頭をひねってギブスをにらむ
「そう睨むなよ・・・本当だろ?」
「ギブス、アタシはそんな事聞きに来たわけじゃないの」
「わーってるって・・・ジャックがせっ・・・せん・・・繊細っ・・・アハハハハハッハ!!」
「・・・もういい。ギブスのバカ。相談したアタシもバカ。海に溺れてアタシの銃で撃ってやる!!!」
立ち上がったは同時に強くテーブルを叩き、ギブスのショットグラスを倒した
「っっ!!割るなよ!唯一のグラスなんだからな!!」
「・・・」
中指と親指でLを作り、それをギブスに見せた。
そして食堂を出た








「なんでアタシが笑われなくちゃいけないの?!」
ラムの樽に八つ当たり
「大体ヤツが来なければっ!!」





が怒り狂っているわけは、彼女なりに、新しく乗ってきた女性に向けられていた。
けしてクルーではないが、クルーほどみんなと仲良くやっている女性・・・

「・・・エリザブス・・・」

エリザベスのこと。




元の始まりがこうだ:

ウィルが念願の『プリンセス』を救出して二人をポートロイヤルまで乗せていくと決まったときのこと。
『始めまして、エリザベス・スワンです』
出された細長い、真っ白な指。
『・・・です』
日に焼けて、海を知っているガサガサの手がエリザベスの手と握手する
『あなたがあの船長の・・・恋人?』
最後の言葉がのどに引っかかるように発音した
『そうですけど・・・』
普通に答えを返した
『よかったわ・・・あなたみたいなしっかり者が彼の恋人で』
笑顔も上品さがあり、美しい大人の女性


なにもかも、に駈けているもの


『・・・』


・・・何か嫌だ。






「考えるだけでムカツク。どうせ、アタシは金持ちの家庭から来てませんよ!」
夜の海に向かって叫んだ
「大体、船の上でベタベタしないでよ!いくら恋人同士でも、見ているこっちがいやになる!!!」



真っ暗な海は静かに一定の波を作り続けていた

「・・・はぁぁ・・・寒い」
両腕を抱き、部屋に戻る事にした


「・・・あれ?エリザブス?」
部屋に戻ろうとしたとき、見張り台に登って行くエリザベスを見た

彼女を見張り台の上から手を伸ばして待っている人物がいた。


「・・・そうか、今日もウィルが見張りか・・・」


一人用の見張り台にウィルとエリザベスが寄り添いながらお互いを暖めている
やはり誰もがうらやむほどの愛し合いっぷりだ・・・



いつもそうだ。
ウィルはさりげなくエリザベスの腰に腕を巻いたり、肩を抱いたり。
彼女だけに見せるやさしい、特別な笑顔

エリザベスを大切な人だと常に表している




「・・・」
またの心がギュっとする。
自分も大好きな人と一緒に寄り添いながら夜空でも眺めたい・・・
「・・・ジャックに出来るわけがない・・・」
そんな孤独感を感じながら見張り台の二人を見つめる
「どうせ今ごろ無神経ジャックは部屋でラムに溺れて寝てるんだから」


自分で言いながら寂しくなる





ジャックは本当に自分を愛しているのか・・・


そうなら、どうしてあれ以来自分に触れようとしないのか・・・




・・・前と変わらない毎日を過ごすのがイヤだ・・・






もっと・・・恋人として扱ってもらいたい・・・





「・・・ギブスが言うとおり、ジャックに繊細さを求めるアタシがバカなのかな・・・」
とうとう床に座り込んで、両膝を抱える
「・・・やっぱりアタシ、女を捨てられないよ・・・ジャックに特別扱いされたいよ・・・」


認めたくはなかったが、やはりエリザベスがうらやましい
ウィルにあれだけの愛を注ぎ込まれて、人がうらやむほどの幸せなエリザベス


「・・・ウィルにしとけばよかった・・・」



「やめとけ。ヤツはとっくに取られてる」
「わかってるわよ。あれだけエリザブスに・・・・・・・・・・・・っ、ジャック・・・」




見上げたら、悩みの種がいた


「ちっとも帰ってこねーと思ったら、こんなトコでなにしてるんだ?」
一緒にしゃがんで、目の高さをあわせる
「・・・べつに。あんたにはわかんないさ」
「俺様にわかんないだと?!言ってみろ!」
・・・また子供っぽくすぐ怒る。
「・・・星眺めてたの(大嘘)。綺麗だなって」
「綺麗か?ただの道しるべだろ」
見上げる。
「これだから(怒アンドあきれている)・・・ジャックは何が綺麗だと思うの?」
「お前」
「・・・」
目を見開いてジャックを見る
「何?」
ジャックも見返す
「・・・(/////)」
「・・・」
ジャックがコクっと頭をひねる


は小さく囁いた:
「綺麗と思うならもっとそばにおいてよ。常に一緒にいてよ。ずっと一緒に・・・」




言葉が途切れ・・・

ジャックの唇でふさがれた










「見て、ウィル」
エリザベスが見張り台からデックの二人を指す
「・・・人のプライベートなことに首突っ込むなよ」
「幸せよね、彼女。好きなことを好きな人と出来て・・・うらやましいわ・・・」
「ジャックも彼女だけは見張りに立たせず、ずっと大事にしてるからな・・・」










バシッ!!


「「!!」」
静かな夜に突然ひびいた痛々しい音

そして・・・




「何が『ラム飲んだ?』だ!!!ジャックのバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」






は自分が一瞬でもジャックが女心をわかってると安心したのが、間違えだった・・・













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