統一協会について


・はじめに

統一協会(世界基督教統一神霊協会)結成の裏側を幾つかの経路から調べても、すべて同じ所に行き着いてしまう。下らない陰謀論に思われてしまうが、それぞれの事件や出来事を追及してみて帰納的にそうなったにすぎない。当初、アメリカ占領軍(GHQ)と国家権力が共謀して行った悪事の数々(国鉄三大謀略事件や松川事件)を調査していた。そのうち、CIAや国際勝共連合につきあたり、芋蔓式に統一協会が姿を現わしたのだ。カルトを含め各宗教団体に対する興味は以前から持ってはいたが、全く異なるプロセスで統一協会が出てきた事に私は驚いた。そして、統一協会に特に興味をもつことになった。

・背景

右翼の活動組織として今も総会屋の裏に見え隠れする国際勝共連合は、1968年に統一協会を母体として作られた。その統一協会の設立は私の調査では未だ明らかになっていないが、1935年4月17日文鮮明が15歳の復活祭の時にイエス・キリストが現れ、神のみ旨を完成しなければならない使命があるとの啓示を受けた後、設立したらしい。そして、統一協会の育成には韓国の朴政権とKCIAが携わっている。クーデターによって成立した朴政権が出てきた以上、その指揮をとったCIAが必然と浮かんでくるのだ。
(笹川良一述「巣鴨の表情」参照)

・アメリカの意図

太平洋戦争後、アメリカの国策は明確なものだった。1950年の朝鮮侵略戦争の開始とともに、アメリカは、全アジア地域にたいする多角的な反共軍事同盟を次つぎにむすび、ソ連、中国、朝鮮、べトナムの社会主義諸国を包囲することだ。アメリカはこうして全世界各地に軍事基地をおき、軍隊を駐留させることに成功した。そして資本を輸出しイギリス、フランス、オランダなどの旧植民地を次つぎに自己の勢力圏にかえ、巨大な経済的、政治的、軍事的利益をあげていった。当時、この軍事機構結成を推進した立役者は、アイゼンハワー米大統領と、第三代CIA長官アレン・ダレスの実兄、ジョン・フォスター・ダレス国務長官であった。こうした公然たる軍事的、外交的運動の陰で、アメリカは、CIAという巨大なスパイ・謀略機関をつかい、各国の財界、政界、軍隊、警察から右翼やヤクザに至る反共勢力をあつめ、世界各地で露骨な反共運動、ひそかな謀略活動をやらせ、気にいらない政府を流血のクーデターでてんぷくさせ、指導者を暗殺した。そうして誕生したのが韓国朴政権である。朴政権では再び共産・社会主義に戻る事を恐れ、反共活動組織を必要としており、統一協会が宗教と反共活動の2足のわらじをはく事になった。

・日本においての反共活動

当時の日本の情勢は、日本最大の組合「国鉄労組」による左翼活動や安保闘争がおこなわれたのに続いて、池田内閣が強行しようとした政暴法案に反対する共産党・社会党を中軸とした行動が進められていた。米CIAにとっても、偉大な安保闘争におびえた日本の支配層にとっても、新しい共産活動に対抗する既成右翼勢力ではない新しいタイプの反共団体が必要であった。とくに献身的無条件に、疑いを抱かず反共活動たけに専念する若いエネルギーが求められていた。そして、韓国においてキリスト原理主義のもと、数多くの若者が献身的に活動している統一協会に目をつけるまでに時間はかからなかった。
すぐにソウル統一協会の宣教師崔翅翼が、文鮮明の指示で日本に密入国し、西川勝という日本名で統一協会を発足させ原理運動の「布教」を始めた。呼応するように笹川良一は、密入国で逮捕された崔翔翼の身元引受人となり、1963年、統一協会顧問に就任、財界、政界、警察にわたりをつけて大々的なテコ入れをした。
国家による暗黙の了解の下、原理運動はキリスト教の外被と呪術的な方法(血液精液を服用する)で、現代日本社会の矛盾に押しひしがれた若い男女の一部を吸収していく。そして、国際勝共連合が結成される。

国際勝共連合が、日本で誕生したのは1968年4月である。発足に至る具体的経過も明らかにされており、それによると1967年7月、笹川良一の肝入りで、韓国側文鮮明(統一協会教祖)、劉孝之、日本側笹川良一、児玉誉士夫代理の白井為雄、市倉徳三郎らが山梨県本栖湖畔にある全日本モーターボート競走連合会の施設に集まり、「第一回アジア反共連盟結成準備会」が開催されたが、ここで韓国流の反共運動を日本で受け入れることが決められた。日本の右翼暴力団の「二人の首領(ドン)」が、そのシマ(縄張り)の中で、韓国系ヤクザの活動を承認した手打式と言うことができる。
会合の目的とされた日本における「アジア反共連盟」という名の団体の結成は、日本の旧右翼の中につよい反発があって実現しなかったが、その後の話し合いで、日韓両国の統一協会が、「国際勝共違合」という看板を掲げ、宗教と反共団体の二足のわらじをはくことが合意された。

日本の反共団体として活動をはじめた国際勝共違合は、APACL(アジア諸国人民反共違盟)に参加する。APACLは、1954年、韓国の李承晩と台湾の蒋介石らの提唱によってつくられた反共運動組織であり、この根まわしをしたのが第三代CIA長官、アレン・ウェルシュ・ダレスである。こうして、東京でAPACL第八回大会がひらかれ、大会議長として岸信介、事務局長加瀬俊一(外務官僚)、以下谷正之(同東条内閣閣僚)、石井光次郎〈自民党顧問)中曽根康弘(自民党議員)、御手洗辰堆(評論家)、矢次一夫(国際研究会理事)、商杉普一(三菱電機会長)、堀越禎一(経団連事務局長)、椎名悦三郎(自民党議員)、松下正寿(立大教授)
、細川隆元(評論家)、小林中(経団連理事)ら三十五名が出席、アメリカ・マーフィ元駐日大使ら外国代表八十六名が集まった。
またこの準備委員会には、岸元首相のほか、吉田茂元首相、石坂泰三経団連会長、植村甲午郎経団連副会長、足立正日商会頭など日本の国家権力の最高首脳が名をつらねている。以上が結成までの背景だ。笹川や児玉そして岸元首相が船舶振興会
(日本財団)や各総会屋からの資金を使ってまで、CIAのために働かなければならないのかという疑問が残る。しかし、答えを出すには東京裁判の真実まで言及しなければならないため割愛する。

・実際の活動

統一協会の活動員は、警察および公安当局に多い。それを裏付けるように統一協会の営利団体の中に多くの自動車教習所がある。教習所には警察OBが天下ることで有名だ。60、70年代の学生運動など左翼的活動の影に、統一協会や国際勝共連合の反共団体としての動きがみられたが、80、90年代には目立たなくなってきた。順調な経済成長と冷戦の終結のなかで、共産・社会主義活動自体が収束してしまったからだ。そのかわり、芸能人を巻き込んだ宗教団体としての動きが活発になってきた。これらの背景には、教育および報道による反共への情報操作の疑いがある。笹川の親友で同じA級戦犯に正力松太郎がいる。正力松太郎は、読売新聞社の社主であった。そして国際勝共連合に参加した実業家の中には、のちに代議士となる渡辺元東宝映画社長がいた。彼らの働きかけにより、反共の思想を流す事は容易にできる。要は、若い世代を政治無関心にしてしまえば良いのだ。
国家権力と財界そして右翼系ヤクザが手を結び、結成された統一協会と国際勝共連合を妨害する組織は存在しなかった。最新の活動としては、統一協会のインターネットプロバイダ事業および銀行を始めとした金融への参入が挙げられるだろう。

・体験談

芸能人が信者になるほど人を集める力を持った統一協会。逆に言えば、人目につくようになり、アンチ統一協会の動きが起った、霊感商法による被害者の会発足や、脱会騒ぎにより加入者が減り、献身的な活動家集めに支障が出始めたのだ。そこで、統一協会は名前を変えて布教を開始する。「真(まこと)の家庭運動推進委員会」や「世界平和家庭連合」「世界平和女性連合」「世界平和統一家庭連合」「喜びの家庭再建委員会」がそれだ。新宿駅の京王線連絡口で布教をするおばさんがいるが、彼女がやっているのは、「真の家庭運動」だ。以前声を掛けて、説明を受けた事があるが、受け取ったパンフレットにはしっかり文鮮明の写真が載っていた。さらにあやしい飴玉(しょうゆ飴のようなもの)をもらったが、統一協会が血液精液を飲ませる事を知っていたので、すぐに捨ててしまった。最近では、戸別訪問が問題になりつつある。戸別訪問や街頭での署名集め活動を全国各地で行い、「不倫しない」「絶対純潔を守る」「家庭秩序を立て離婚しない」等の誓約事項(実際はアンケートになっている)を列挙した文書に住所氏名電話番号更には配偶者の氏名まで記入させたうえ、「ワインを味見して下さい」「幸せになるお酒です」「口をつけるだけでもいいです」などと言って合同結婚式で飲ませる「聖酒」と同旨のものと思われる成分不明な飲料を飲ませ、場合によっては署名した夫婦の写真を撮る。また、統一協会員でありながら、姿を隠し、偉い占い師と偽り、祖先の悪行を例に、霊界を通じて今後、家族に災難が降り懸かるなど言って脅すこともある。一般の宗教の勧誘活動との違いは、最初から統一協会とは決して名乗らないことであり、神、霊界、占い師を使い不安に落としいれ、高度に洗練された一方的な情報を吹き込んだ上でないと名乗らない。統一協会が一般社会で言われている悪徳団体ではなく、一般社会が嘘の情報を流していると被害者が思うまで名乗ることはない。何カ月間も名乗らないのは宗教の勧誘活動としては極悪である。統一協会の教義の中にはサタンという言葉が繰り返され、ものみの塔(エホバの証人)と同様に、キリスト原理主義とは似ても似つかぬイルミナティのサタニスムに染まっている。
原理主義やパリサイ派そしてサタニスムを知らないアジアにとって非常に危険な思想だと私自身は思う。

・最後に、、

統一協会であろうと他のカルト宗教であろうと、信じる事は自由であると思いますが、信教が真にみずからの意志で行われた場合に限ると付け加えさせて頂きます。宗教は信じる自由もあれば、信じない、信じ込まされない自由も保障されなければいけないと思うのです。社会や生活に対する不安から自然回帰=神秘主義=オカルトという図式は、すべての人間に共通のもので、カルト宗教の教義に共感を覚える事は、なきにしもあらず、、、なのかもしれません。しかし、超自然的だから神秘的だというより、自然そのものが元々神秘的だと感じることが大切であると思います。間違いを必ずおかす人間を導く宗教の教義の中にも、間違いがあって
しかるべきでしょう。要は、間違いがあったときにエラー訂正機能があるかないかが問題だと思います。エラー訂正のある宗教は良い宗教といえるかもしれません。話は変わりますが、科学はすでに宗教としてのイメージを持っていると私は思います。人間の行動規範に浸透した科学的思考はエラー訂正を持っています。グラハムハンコックに貶されたピラミッド学者は、現在必死になって確固たる反論の準備をしていますし、ニュートリノに質量があると発表した学者は、自らそのエラーを探しています。定義に対して徹底して疑うことを許さなければ、その宗教は必ず滅ぶでしょう。長々と変な話に付き合ってくださってありがとうございました。
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参考にした文書
 広瀬隆、太田龍著作、日本弁護士会のHP(霊感商法対策)
 統一協会のHP 笹川良一著作 あとは自分の記憶

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