クウェデリンブルク ヴェクセルバルク
 

 ヴュルフテンに一人の亜麻布の職工が妻と下男が一年半ほど住んでいました。ある時、おかみさんは用事があって、オスターローデへ出かけなければならないことがありました。その時、かわいい息子をかごの中に入れ、背負っていきました。シュヴィーガーエハウゼンまでもうすぐというところで、道端に小人が突然現れました。小人は一言もおかみさんにあいさつを言いませんでした。おかみさんはさっさと小人の前を通り過ぎたとき、 おかみさんの子どもがかごから連れ出され、代わりに小人がそこに入ったことを全く気づきませんでした。

 しばらくして亜麻布職工のおかみさんはかごが重くなった気がしました。また息子は少しお話ができるというのに、おかみさんが話しかけても何の答えも返ってこないのもおかしいと思いました。おかみさんはとうとうふりかえってみると、小人の大きな頭が見えました。自分の子どもがヴェクセルバルグ(小人)ととりかえられたことに気づきました。オステーローデのお医者に見せたところ、確かにそれはヴェクセルバルクであると言われました。

 かごに入った小人を連れておかみさんはヴゥルフテンまで悲しみで泣きながら帰ってきました。子どもを失い多いに失望しましていました。その後、おかみさんは長いこと小人を自分で育てました。小人は話すようになりましたが、ほんの少しの言葉だけです。いつもいっぱい食べるのですが、大きくはならず、おかみさんをよろこばせてはくれませんでした。とうとうもうこんな生活が嫌になり、隣に住む靴屋のヘッセに相談しました。ヘッセは賢い男だったので、不思議な現象についてよく知っていました。ヘッセは一冊のとても古く黄ばんだ本を取り出し、ページをめくり長いこと読みました。それからおかみさんに言いました。
「冷たいかまどの上にヴェクセルバルクをすわらせて、泉から水を汲んできて、2つの玉子の殻に入れ頭にのせてやるんだ。そうすると、小人はきっと話しはじめ、いつ他の小人が息子を連れ去り、お前さんのもとに子どもを返してくれるか話してくれるさ」

 おかみさんは靴屋の言ったことを全て行いました。その際、小人をかまどの上にすわらせ、大きな頭がぐらぐら揺れるのにおどろきました。それから彼は頭のバランスをとれず、口を開き、話しはじめました。
「おいらはテューリンゲンの森より昔から生きているけど、玉子の殻に入った水をブラウエンに持たされたことはない!」
おかみさんは、靴屋に言われていた通り、再び小人をもちあげ、台所の床にもどしてやりました。しかしその後、小人は何も言わなくなってしまったので、またかまどの上にのせてやりました。

 おかみさんの息子がとりかえられてしまった日がき、かごの中にヴェクセルバルクを入れ、それを背負って、もう一度オスターローデに行きました。子どもが取りえられたシュヴィーガーハウゼンの手前で、お前がかつて出会ったあの小人が立っているいて、小人はかごの中にいるヴェクセルバルクに呼びかけました。
「お前がべちゃくちゃしゃべったのか?」
「ああ、おいらだよ。この女があんまり馬鹿げたことをしているからしゃべらずにはいられなかったんだよ」
とヴェクセルバルクは答えました。

 するとおかみさんの気づかないうちにかごからヴェクセルバルクが連れ去られ、本当の子どもが入っていました。それから靴屋に言われた通り、後ろをふり向かず、静かにオスターローデまで行き、ヴルフェンルンまで戻ってきたそうです。家に帰ってみたら、かごの中に子どもがもどっており、やっとおかみさんは幸せな気持ちになることができました。

 もちろん、おかみさんと亜麻布職人は子どもが小人のところにいた時、どんな風だったか知りたがりました。子どもが言うには、
「お母さんが前にオスターローデに行った時、小人がぼくをかごからとりだし、ある山に連れて行かれたんだ。そこできれいな花を摘み、山の前に置くと、入り口があいてね、ぼくたちは中に入ったんだ。そこにはほかにもたくさんの小人がいて、仕事をしていたよ。時々、遠くから小人が来て、その時はいつも花を手に持ってくるんだよ。みんな小人はいつもぼくによくしてくれたし、たっぷり食べさせてくれたよ。でも最後にみんな悲しがっていたんだ。どうして悲しいのかわけを聞いてみたら、ぼくを本当の両親のもとへまた帰さなければならなく、それはとっても小人たちにはつらいことだと言ったんだ。でも、小人たちと山に住んだことはとてもぼくにはよかったよ。そしてまたママとパパのところに戻れてよかった」

 こうしてみんな幸せになり、このお話はお終いです。
 

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