ベレヒテスガーデン ヴォルフテンの魔女  

 

 昔、ヴルフテン村の小屋にホベインという名前の老女が住んでいました。老女は隣人に特に悪いことも良いこともしていませんでしたので、近所でホベインのことをとりあげて言う人もいませんでした。しかし、突然、村中で彼女の悪い噂がたちました。ホベインは魔女として悪魔に仕え、魔法を使っていると。間もなく、ホベインは捕まり、魔女裁判にかけられました。

 ホベインは、自分は魔女ではないと無実を主張しましたが、誰も信じてくれませんでした。そこで、軍隊にいる息子のところに、無実の罪に着せられているかわいそうな母親を助けてくれやしないかと、手紙を出しました。息子は、母からの手紙を受け取ると、軍隊で休暇をもらい、急いで母親のところに駆けつけました。ところが、裁判の方がもっと早く進み、裁判官がすでに決定を言い渡していました。母親は魔女だとされ、火あぶりの刑にするために、木にくくりつけられていました。息子は、何故、母をそのような目にあわせるのかと、裁判官につめよりました。すると、裁判官はこれまでの経緯を話し、母が魔女であることを告げました。息子は、母にむかって言いました。
「母さんが、悪魔に仕えるような悪い人だったなんて信じられない!」

 すると、母親は煙の中からやっとのことで、こう答えたのです。
「お前の母さんはよい母だよ。悪魔は、母さんに教えたように、お前に魔術を教えるように無理強いしたけど、私は決して悪魔の言いなりにはならなかったんだよ。だから、夜中の11時から12時まで悪魔は母さんを叩いたんだよ。それでも母さんはお前に魔術を教えたりしなかったのよ。悪魔はとうとうお前の魂をとることができなかったから、母さんを見捨て、村人に私が魔女だってことを密告したのさ」

 母は燃えさかる薪の上から最後の言葉を告げると、意識を失い、死んでしまいました。息子は、母親が魔女だったということに大変ショックを受け、もとの部隊に戻っていきました。
      
                                               Nach Schambach und Mu"ller 1854
 

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