![]() |
巨人の兄弟 |
| 次のお話は、ヴェーザーベルクランド地方のものですが、ゲッティンゲン地方でも語りつがれている、2人の巨人の話です。巨人たちはとても強く、当時は、まだ地上には、わずかしかいなかった人間たちを軽んじ、見下し、虫けらのごとき奴らとさげずんでいました。
2人の巨人は兄弟で、ひとりはプレッセベルクに、もうひとりはブランブルクに住んでいました。いつも巨人の兄弟は、仲良くお互いに助け合って暮らしていました。 ところで、パンを焼くという仕事はとても時間と手間のかかる仕事です。この仕事をそれぞれでするのは、馬鹿馬鹿しいので、巨人達はプレッセブルクの方で、共同のパン焼きがまを使って焼いていました。パンがなくなり、新しいパンを焼かなければならなくなると、プレッセブルクの巨人は、ブランブルクの巨人にこんな方法を使って知らせました。石でパン生地をこねる板を引っ掻くのです。これは、翌日、プレッセブルクでパンを焼くので、オーブンを温めておくので、ブランブルクの方ではパン生地をこね、発酵させておいてくれという合図です。 ある日、プレッセブルクからパン生地をこねる板を引っ掻く大きな音が聞こえてきました。ブランブルクの巨人はいつものように、2人で決めた約束を守り、パン生地を焼く準備をしました。そして、次の日の朝、いつも使っているチャック柄の袋に、醗酵させておいたパン生地を入れました。それから登山用の杖を持つと、プレッセブルクに向いました。 ブランブルクの巨人が、プレッセブルクに向う途中、すでに遠くから大きないびきが聞こえてきました。いびきはプレッセブルクに近づくにつれ、大きくなって行きました。そして、ぐっすり眠っているプレッセブルクの兄弟を見つけました。ブランブルクの巨人は、パン焼きがまにさわってみると、かまには火は入っておらず、冷たいままでした。仲の良い兄弟のことです。 しばらくは我慢していましたが、とうとう眠っている兄弟を起こし、今日はパンを焼く日なのに、かまに火が入っていないとはどういうことか、と尋ねました。ようやく、眠い目をこすって、起きたブレッセブルクの巨人は、パンを焼く合図などしていない、と言います。しかし、突然、何か思い出したようで、叫びました。 「そうだ、思い出した。昨日、昼寝をしていた時、ノミに刺されてちょっと掻いたんだ。その音をお前さんは聞いたに違いない」 ブランブルクの巨人には、その言い訳を信じられませんでした。 プレッセブルクの巨人にいっぱい食わされたと思い、まず、言い争いなりました。次第にけんかはエスカレートし、お互いをののしりあい、最後にはこぶしをふりあげました。こうなると、ブランブルクの巨人の方が、力が弱かったので、逃げなければなりませんでした。この兄弟けんかはその後もしばしば起こり、ある時、プレッセブルクの巨人は、ブランブルクの巨人に大きな石を投げました。幸い、ブランブルクの巨人に石は命中しませんでしたが…。 この石、というよりは岩の塊といった方がいいでしょうが、今日でも、ロェディンクセンとアシェの間にあります。岩を投げたプレッセブルクの巨人の指紋は、今でも岩にはっきりついているそうです。 |