![]() |
かわいいベルタ |
|
シュヴェックホイザーの中部には、かつてお城があり、シュヴェクホイザーの騎士が家族と一緒に住んでいました。騎士にはとても美しい娘がいて、"かわいいベルタ"と呼ばれていました。さて、シュヴェックホイザー城の隣には、あのイサンクが住んでいました。それがトラブルのもとでした。きれいな女の人が好きなイサンクは、ベルタに魅了され、奥方にほしいと申し出ました。ベルタはイサンクの妻にはなりたくなかったので、そっけなく断ってしまいました。かわいいわが子のプロポーズを断ったことに、イサンクの母はとても腹をたてました。イサンクの母親は魔女だったので、かわいいベルタに呪いをかけてしまいました。 「お前は私の息子の奥方にはなりたくないと言うんだね。それならば、誰とも結婚なんてできないよう、呪いをかけてやる。まず、お前を森に追放し、夜ごとにさまよい、誰かが、"神の愛がお前を救うだろう"と返事をしてくれるまで、"助けて、助けて"と叫びつづけなければならない。これが第一の呪いをとく方法さ。次にある女の夫が死に、その女が他の男と結婚し、将来司祭になる子を産むが、その子が初めてお説教をした日が来れば、呪いはとけるがね」 こうしてベルタはイサンクの母におそろしい呪いをかけられてしまいました。長い間、誰もかわいいベルタの悲しい運命を救うことはできませんでした。一日中、ベルタは森を歩き回り、時折、突き出た岩山の下で休むことを許されました。のどが渇いたり、お腹が空いたりしないように、毎日、新しいワインとパンは用意されるのでした。 ある日、ヒルデガルトという伯爵令嬢が、ベルタがさまよっている森の道を馬車で通りました。森からベルタのぞっとするような叫び声がいつものように響き渡りました。馬はその叫び声をこわがり、暴れたので、ヒルデガルトは馬車を操縦できなくなりました。そして、斜面をすべり、深い谷底に落ち、死んでしまいました。それから、100年は経ったでしょうか。エーバーゲッツェンとベージンクハウゼンの間にある森でおこる、幽霊現象は悪いうわさをよび、誰もそこを通ろうとするものはいませんでした。 エーバーゲッツェンに向おうとしているひとりの兵士が、酒場にいました。そこで、森で"助けて、助けて"と叫びつづける幽霊の物語を聞きました。兵士は長いこと、多くの戦いに参加し、自分には勇気があると自負していたので、幽霊をおそれる人たちを笑い、こう思いました。幽霊が助けを求めるなら、助けてあげればいいじゃないかと。兵士は酒を飲みほすと、幽霊の出る森への行き方を教えてもらい、馬を走らせました。兵士がその場所に行くと、ほどなく、"助けて、助けて"という声が聞こえてきました。
この言葉が消えないうちに、2つの腕が兵士にまきつくのを感じました。幽霊は馬にまたがり、兵士の後ろにすわっていました。さすがに兵士はぞっとしましたが、かわいいベルタの悲しい運命の物語を聞いてやりました。そして、ベルタは兵士にヴァーケ村まで行ってくれないかと、たのみました。
兵士は身の上には、ずいぶん大変なことがおこったものです。しかし、憐れなベルタを助けてあげたいと思い、ヴァーケまで馬を走らせました。すると、ツム・ジーケには本当に子供のいない夫婦が住んでいたのです。突然、理由もなく人の家を訪ねるのはおかしいので、言い訳として、兵士は一晩ここに泊めてもらえないかと、夫婦に言いました。夫婦が答える前に、早くも死神が静かに部屋に入ってきました。死神は杖で3回、夫の背中を叩きました。杖はスペイン葦で作られたもので、柄には銀のどくろがついていました。夫は突然、雪のように白くなり、凍えそうだといい、ふるえ始めました。すぐに死神は家から出ていったので、兵士もそうしました。 外に出ると、死神が兵士にこう言いました。
全ては死神の言った通りになりました。時が過ぎ、若い司祭は、初めてお説教をする日がきました。その時、死神が現れて、ベルタに言いました。
|