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Sagen und Geschichten aus Goettingen uns Umgebung という本に出会ったのは、中部ドイツ滞在中の1999年冬のことでした。じつにシンプルに書かれたこの昔話の中に生きた人間の暮らし、心がつまっており、私は忘れていた何かを思い出しました。 この本の挿絵、Ilse Kollman-Guemmer夫人が表紙に描いたものは、イサンク伯爵の話の絵でした。夫人同様、私もこの話のドラマチックさ、人間らしし、大悪党ながらまっすぐな心をもつイサンクの魅力にとりつかれてしまいました。イサンクの城があったというゼーブルガー湖に行ってみたのですが、湖の真中まできた時のことです。急に波が強くなり、まるでイサンクに湖の中から引き寄せられるかのようでした。 また、『グライヒェン伯爵』の話も好きです。十字軍の時代に3人の妻をもった伯爵。人間の欲望のみから生まれる不倫とは違い、命をかけた人間たちの物語だからです。3人用のベッドがあるといわれるバート・ピルモントのお城を訪れました。 中部ドイツといえば、魔女伝説でもおなじみのハルツ山地のある場所です。毎年、4月30日にはハルツ地方で魔女祭りが行われます。魔女が集まるといわれる場所は多いのですが、中でもブロッケン山とターレは有名です。文豪であり自然科学者であるゲーテもかの地を愛し、私が行く場所には必ず彼もすでに訪れていたのでした。彼はターレで霊感を受け、文学作品、『ファウスト』を書いたといわれています。また、彼は単に自然科学への深い関心からではなく、役人として鉱山の測量のため、ハルツ地方を訪れました。バウマンの鍾乳洞にはゲーテの部屋となずけられた洞があったくらいです。シラーもまたハルツを愛した詩人です。 『かわいいベルタ』がさまよった森も魔女が出そうな暗い森だったに違いありません。彼女を助けてくれた兵士との悲恋に胸の痛みを感じました。『ある隠者の物語』の主人公がこもった岩穴もハルツの山の中にあります。 勇敢な『ハンザマンのおかみさん』、夫と子供を残して死んでいかなければならなかった『アンドレアスの日の予言』の奥様、女たちはいつでも強く生きてきたのだと思います。 翻訳はおろかドイツ語の勉強をはじめて浅い私が試みたことなので、いろいろ問題がありますが、お楽しみいただければと思っております。
翻訳者: YOKO(堀アンナ改め)
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